概要
北海道の方言。
元々は産卵を終えた鮭・鱒のことを指し、そこから転じて「クタクタな状態」を表す。川を上る間エサを食べず、さらに産卵(放精)で力尽きた状態なので、身は風味(特に脂肪分)が落ちていてマズいとされる。語源は「放っちゃれ」=捨てておけ、から。
ちなみに川を遡上してきた鮭は茶褐色をしているので「ブナ鮭」ともいう。
北海道でなくても、鮭や鱒が遡上する川ならば晩秋から冬にかけて水底や川辺に弱ったり死んだりしたほっちゃれが転がっているのが見られたりする。遡上する鮭を懸命に捕食する熊でさえ、ほっちゃれは食べないらしい。
ほっちゃれの利用
「熊すら捨て置く」と評されるほっちゃれだが、アイヌ民族や一部のネイティブアメリカンの間では干し魚として食料にする(脂が落ちてパサパサな身は乾燥させやすく、冬の保存食・タンパク源として適しているため。また彼らは鮭・鱒などの漁撈に生活の重点を置いているので、ほっちゃれも重要な糧である)。
そしてほっちゃれ状態は既に産卵を終え、あとは死ぬだけの個体であるため獲り過ぎによる資源の枯渇の心配がなく、弱っているため獲りやすいという利点もある。
自然界でもキツネ、カラスといった肉食・雑食の小動物にとっては冬越し前に労せずして手に入る貴重なタンパク源であり、もちろん水生昆虫・微生物などの餌にもなる。どんな有機物でもそうだが、これら「分解者」の働きで最終的には養分としてムダなく還元されるのだ。
お菓子
北海道・北見市の老舗メーカー「菓子処大丸」発のまんじゅう。鮭をかたどったデザインで中身はこしあん。子孫繁栄・いのちを全うする喜びが込められているという。