概要
イズミの本店のある広島県を中心に九州・中国地方に展開し、イオングループのイオンモールやフジ(フジグラン)と熾烈な争いを繰り広げている。
1990年代は総合スーパーの形態(イオンでいうかつてのジャスコ、サティ等)で展開していたが、2004年に開業したゆめタウン光の森(熊本県菊陽町)以降、シネコンや専門店街を備えたコミュニティ型ショッピングセンター業態(イオンでいうイオンタウン等)での展開も行っており、いくつかの既存店舗にもシネコンを併設している。
店舗構成としては、直営売場を最低限(主に食品・日用品・実用衣料)を抑え、かつ中央部に配置して専門店との区切りを曖昧にしているパターンが多い。
1990年(平成2年)6月14日開店のゆめタウン高梁(岡山県高梁市)を1号店とし、同年10月18日開店のゆめタウン東広島(広島県東広島市)を皮切りに、中国地方を中心として九州北部地方、香川県(四国地方)、兵庫県(近畿地方)へと店舗網を拡大している。
社名と同じスーパーマーケット業態である「イズミ」からリニューアルした店舗も存在する(ただし、店舗面積が小規模の場合など、食品スーパーに小規模の専門店を併設した「ゆめマート」にリニューアルされた店舗もある)ほか、2018年には西友よりザ・モール姫路、ザ・モール周南の2店舗(両店舗はゆめタウン姫路、ゆめタウン下松としてリニューアル)、2019年にはセブン&アイホールディングスとの業務提携により、イトーヨーカドー福山店(店舗はゆめタウン福山としてリニューアル)の譲渡を受けた(なお、隣接する天満屋ハピータウン福山ポートプラザ店もセブン&アイ傘下の天満屋ストアが運営するため、結果的にセブン&アイはヨーカドー撤退よりも掌握する権限が拡大された形となった)。
2024年8月には西友が運営していた九州のスーパーマーケット「サニー」も子会社のゆめマート熊本に買収させる事で傘下としている。この中には長崎県の「西友」ブランド2店舗も含まれていたが、買収後に屋号を「サニー」へ変更する。これにより九州(特に福岡県)でのシェアを大幅に拡大した。
当初はニチリウグループに加盟していた(かなりの大口であったために、脱退後は西日本における勢力図が著しく変化した)ため、プライベートブランドは「くらしモア」を販売していたが、セブン&アイへ鞍替えしたため「セブンプレミアム」へと切り替えている。
…が、2024年2月、ニチリウグループ脱退後セブン&アイ側の「イトーヨーカドー店舗網再編」に伴い運営エリア縮小に伴う戦略的観点から不利になる可能性が出てきたため「顧客ニーズの多様化を背景に、スケールメリットを共有し相互に調達力・収益力を高め、お客さまのご要望にお応えしていくこと」として実に4年ぶりに再加盟(一部メディアでは「一時脱退について一切触れず、あたかも『新規加盟』かの様な報道」が成されているが、実際は前述通り「再加盟」が正しい)となり、実質的にニチリウグループへ「出戻り」する形となった。
なお、2020年2月のニチリウグループ退会時とは異なり、セブン&アイとの提携は維持される方針であり、イズミの店頭にセブンプレミアム商品とくらしモア商品が併売されるが、出戻りに伴う制裁なのか「加盟企業」の項目には2020年2月の脱退時点のまま「イズミが復帰した旨」が反映されていない。
医薬品コーナーの名称としては「ゆめドラッグ」を用いているが、マツモトキヨシとのフランチャイズ契約があるため、通常の「マツキヨ」をやや薄めた様な印象の売場構成をしている。
イズミ独自の電子マネーとしては「ゆめか」が存在するが、セブン&アイとの提携により(ゆめタウン・ゆめマートを出店している地域という条件付きで)セブンイレブン(具体的には「nanaco」をゆめタウン等で、逆にセブンで「ゆめか」を用いて決済する事)との相互利用も本格的に開始(提携以前からごく一部のゆめタウンの店舗では運用されていた)している。
広島のJリーグチームのサンフレッチェ広島のユニ左肩のスポンサー企業となっている。
2020年代からの閉店ラッシュ
これまで閉店した同社が開発・運営する「ゆめタウン」業態の商業施設では以下の様に
- 他企業からの譲受店舗(大村・鳥栖。いずれもニコニコドー)
- 居抜き店舗を閉店(小野田)
- 他企業へ店舗を譲渡(宗像。施設自体はLIXILビバ運営の「ビバモール赤間」としてリブランドされ、直営食品売場は引き続き「ゆめマート」として残る)
と分類されていた。
しかし、2020年代になり開業後から一貫して「ゆめタウン」として営業し、そのまま完全閉店する事例が頻繁している。しかも現時点で該当する店舗は全て創業地である広島県に存在している。
ゆめタウン松永
2021年1月15日、同年3月21日にゆめタウン松永が閉店する事が発表(ただし、実際の閉店日こそ一致しているものの、この時点ではイズミ本体ではなく同店内にある場外車券売場を運営する兵庫県競馬組合が先んじて明らかにしており、イズミ本体から正式に発表されたのは2月4日になってからである)された。「イズミ直営の『ゆめタウン』としては初の完全閉店」となる。
なお、閉店後は同年8月31日にドン.キホーテ(より厳密にはドンキ傘下の長崎屋)が広島県内2店舗目(広島市外では初)となる「MEGAドン・キホーテ」が開業(総合スーパー跡地にMEGAドンキが居抜き出店する事例そのものは珍しくは無いが、当然ながら旧・イズミ系の店舗では前例は無かった。ただし、通常のドンキまで範囲を広げれば「イズミ八丁堀店」を業態転換したファッションビル「ウィズワンダーランド」内に入居する「ドン・キホーテ広島八丁堀店」の事例はある)し、ゆめタウン時代からのテナントであるダイソーは引き続き営業している。
ゆめタウン竹原
2022年7月1日、同年11月下旬にゆめタウン竹原が閉店する事が発表された。イズミによると閉店の理由として「入居する建物の老朽化(築43年)が進む中、同年末に迫る賃借期限が近づいたため継続を断念した」という。
閉店後の動向については「土地も含め所有者に返す」としているが、2024年時点で建物自体は塔屋が白塗りにされたのみで解体はなされておらず、今後建物を改修してイズミ以外の他企業が居抜き出店するか、建物を解体し更地にして再開発されるのかは現時点では不明である。
余談
店内で流れている「ハロー!ゆめタウン(同じ系列であるゆめマートに合わせて歌詞を変更した「ハロー!ゆめマート」という替え歌もある)」「ゆめカード5倍デー」「4時から市」「5時から市」は公式サイトで音声ファイルをダウンロードする事ができるが、ゆめタウンのサウンドロゴなどは聴くことができない。
山口県下関市にはゆめタウン長府の開店(1993年)に伴って誕生した『ゆめタウン』という地名がある。
創業者である山西義政は、伊400の機関兵長として乗り込んでいた。2015年5月6日のNHK「歴史秘話ヒストリア」(この日の特集は伊400で、創業者もかつての乗組員として出演し、イズミ創業の経緯が紹介された)放送後には、ゆめタウンのホームページへのアクセスが殺到してサーバーが落ちた。