前代未聞 空前絶後の エア夜食!!!
概要
第3部『範馬刃牙』のクライマックス、地上最強の親子喧嘩の果てに起こった出来事。
ダウンしても闘志のみでの攻撃をやめない刃牙に対し、勇次郎がリアルシャドーで味噌汁を作ったシーンである。具は豆腐とネギで、出汁はカツオの模様。
あまりにも完璧なパントマイムは観客たちにすら匂いやちゃぶ台を感じさせた。
しかし、食した刃牙に「少ししょっぱい」と指摘されてしまう。
当初は否定した勇次郎だが、刃牙のエアちゃぶ台返しを受けて「思い当たるフシがある」「嘘をついた」と認める。
親子喧嘩は夜食の末に
- 「たまには親父にも飯炊きをしてほしい」という我儘を押し通した刃牙
- 味について嘘をついてしまい、その上ちゃぶ台返しでうやむやにされたことで「救われた」勇次郎
という結果になり、刃牙の「我儘を通す力」を認めた勇次郎は彼に「地上最強を名乗れ」と告げた。
エア夜食の真意(?)
格闘漫画でありながら突然のパントマイムで食事をして終了するという結末から賛否両論となったが、人間ドラマという点で観た場合中々に深いものがある。
そもそもの親子喧嘩の発端が、刃牙の「勇次郎と家庭及び団欒を築きたい、親子としての仲を求めたい」という願いであり、その中で刃牙の口から出た夢とも言える望みが「父親が淹れたコーヒーが飲みたい」(父親の手料理が食べたい)というもの。
刃牙のそんなささやかな願いに対し勇次郎は「力尽くでやらせればいい」(意訳)と答えた為、親子喧嘩を勃発させる為に仮初の家庭を演じ、ホテルにて刃牙は勇次郎に執拗に問い詰め挑発し、開戦した。
そして激しい攻防の中、勇次郎は刃牙を『自分を満足させる為の玩具』から『壊すのが惜しい愛しい息子』と見るようになり、刃牙を殺害寸前まで追い込むも心境の変化から止めを刺さずに切り上げた。
しかし、満身創痍になり起き上がる事すら困難な状態になって尚、燃え尽きぬ闘志で勇次郎に立ち向かい続ける刃牙の執念に勇次郎は自ら折れ、意志を貫き通した『強者』である刃牙に「父親の手料理が食べたい」という望みをその場で叶え、勝利を譲った―――――
というものと考えられる。
余談
作者の板垣氏はエア夜食での締め括りについて「親子が喧嘩した後は食事して仲直りするもの」(意訳)という風に答えており、刃牙と勇次郎の戦いは飽くまで『親子喧嘩』『家庭内のいざこざ』である事を強調している模様。(作中でも梢江に『戦闘』らしくないと言われた際に刃牙は「戦いではなく親子の時間だから」という様なニュアンスの返答をしている)
ちゃぶ台返しをされた際に勇次郎は素で取り乱していた事から、シャドーはシャドーと小馬鹿にしていたものの、本気で刃牙を労っていたのだと思われる。
連載時当初は刃牙が勇次郎に純粋な戦闘力で勝つ予定だったが、途中で板垣氏が「勇次郎が負ける気がしない」(意訳)と戦いで勝つ事が無理と判断し、打ち合わせを他所に急遽『和解して決着』という形に変更して担当を大いに困惑させた。
先生!!打ち合わせと全ッ然違うじゃないですか!!?(担)