「自分が……小国の貴族になった夢を見たことはありませんか?」
概要
スイスとフランスの境に位置する、「ローエンシュタイン大公国」の公女。18歳。
本名、エリ・アダム・ドゥ・ランベール・ティローム。
人物像
公女らしい品のある美女。
「「柔らかい石」は、いい笑顔の者に」に基づく有力候補として作中に登場するが、その笑顔は儀礼的であり、加藤鳴海からは「マネキン人形みたいだ」と形容された。
外からは華やかに見える一方で、公女として既に政治的に動くことを要請され、また、父と叔父のギュンター候の確執に晒されているなど、叶うならことなら自らの死を望むほどに自分の精神を殺すことに慣れてしまった生活を送っていた。
かつて人形を燃やすお祭りを通して、自らをマネキンに形容しており、これも上述の鳴海のマネキンみたいという台詞に衝撃を受ける原因となっている。
しかし、鳴海との出会いを通して自然な笑顔を取り戻すようになり、物語終盤では「しろがね」の協力者として、国の施設を提供する。
また、鳴海とのかかわり合いの中で、長かった髪をばっさりと切り、ショートカットにする。
劇中の活躍
ローエンシュタイン大公国編で初登場。
18歳の誕生日を迎え、公式に公務デビューする最中に、アプ・チャー及びギュンター侯の思惑によってその身柄を狙われる。
そこを「柔らかい石」の行方を追ってやって来た鳴海に助けられ、以降、彼とのやり取りや身分を隠して市井の人々と接することで押し殺してしまっていた自分の在り方を問い直していく。
編の終盤、自らに変装したアプ・チャーと対峙し、自ら決着を付ける道を選び、マネキンのような自分と決別し、人間らしさを取り戻す。
この一連の出来事を通して鳴海に恋心を懐き、最後に間接的にアプローチするが断られたため、潔く諦める。
その後、今度は自分の意志を明確にして父に反対意見を述べるといった成長ぶりが描かれた。
物語の最終章である「機械仕掛けの神」(デウス・エクス・マキナ)編で再登場。
しろがねの協力者となり、その過程でフウとも親しくなっており、彼から、彼の血が入ったワインを飲まされたことでゾナハ病に対する耐性を獲得していた。
鳴海を愛する者として、エレオノールやミンシアのことも理解し気にかけており、自動人形側の人間として疑われ孤立していたエレオノールを励ましたり、彼女に嫉妬も含めた激しい憎悪を抱きそのせいでやつれきったミンシアに、エレオノールが密かに自らの血を皆に与えていた真実を教えて、二人が和解するきっかけを作った。
最終決戦後は再び髪を伸ばし、女優として大成したミンシアとの会話で、父の右腕として政務に勤しんでいることが明かされた。