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我らはしろがね-O。

Oは中心、しろがねの中心のO。

Oは始まりと終わりを告げるO。

自動人形(オートマータ)の終わりを告げるO!


CV:古川登志夫


概要だよ~ん編集

からくりサーカスの登場人物。名前の意味は顔無し。変装の名人。

非常に優れた”現代の錬金術師”で、しろがねたちの中でも影響力を持った人物であり、「しろがね」の中から志願した者に強化改造を施し、マリオネット無しでも戦闘を可能にしたサイボーグ「しろがね-O(オー)」達の司令官(リーダー)でもある。

部下が殺されても自分のペースを崩さないため、何を考えているのかわからない彼を気味悪く思う「しろがね」もいる。特に、ルシールからはあまり快く思われていなかったようだ。シリアスな場面でも冗談を言ったり、顔を伸ばしたりしてふざけることはあるが、「自動人形(オートマータ)」を殲滅したいという気持ちは強い。


過去編集

加藤鳴海には以下の過去を語っている。

  • 幼少から親戚をたらいまわしにされ冷遇されて来た。その中でふざけることを学んだ。
  • 自分の冗談に笑ってくれる幼馴染の恋人がいたが、自分は彼女の母親に嫌われていたので引き離されてしまった。
  • 恋人と再会した時、彼女は自動人形の妻にされていた。
  • 恋人を連れて逃げ出すも自動人形と対決になる。恋人は井戸に落ちて亡くなってしまう。

最期編集

サハラ砂漠での戦いではフランシーヌ人形を破壊するために戦うが、回転粉砕機から加藤鳴海を救うために自らの身体を歯車に噛ませ、犠牲になった。


ナルミ君…僕の好きな言葉にこういうのがある…ジャン・コクトーだったかな…

『運命とは、地獄の機械である』

…面白いよ…本当に僕の運命は―地獄の誰かが設計した巨大な機械のようだよ…

ある日それに何かがはさまって…止まってしまったんだ。あのトゲトゲのようにね…


「三解」のフェイスレス編集

彼の特技からついた二つ名。

「分解」編集

服の中にしまってある工具を使い、自動人形を素早く分解する。


「溶解」編集

掌の装置から強力な酸を放出する。


もう一つの特技は本人曰く、「自動人形を完全に沈黙させる秘密の技」とのこと。しかしそれを使う前に鳴海を庇ったため、実戦で披露されることはなかった。




ネタバレ編集

以下は『からくりサーカス』の重大なネタバレを含みます!


























フェイスレスオー・マイ・フランシーヌ!

白金、ディーン・メーストル、才賀貞義、フェイスレス指令。全員、同じ人間。君らにゾナハ病と災厄をばら撒いた男だよーん!



その正体は、作品内で起こった事件の全ての元凶であり、作品世界における「しろがね」と「自動人形(オートマータ)」の因縁という物語の根幹部分を生み出した黒幕。

元々の名は白金(バイ・ジン)。

より正確に言えば、金が誘拐した白家の子供が金の溶けた生命の水を飲み、彼の記憶に取り憑かれた存在が「フェイスレス」である。白金自身の肉体は老化による衰えが酷く、これではフランシーヌ(の生まれ変わり)にも嫌われるし、何よりそこまで衰えて辿り着ける事も不可能、と金は別人に乗り換える決意をしたのだった。


「フェイスレス」の本名はディーン・メーストル。

フランシーヌを失った後、ディーンはフランシーヌ人形の回収に出向くが、

そこは自動人形の復讐者の村であり、しろがねの本拠地となっている上にフランシーヌ人形は「真夜中のサーカス」を引き連れて、もういない。しかし、そこにはフランシーヌそっくりのアンジェリーナと出会い彼女を思慕して、フランシーヌ人形の回収に向いたしろがねに属すと共に彼女と共に戦って関係を深めようとするが、彼女は村を出て別の男(才賀正二)に惚れてしまった。

アンジェリーナも失った後、よく似た少女であるエレオノールに目をつける。そこで彼は正二になりすまし、彼の名を騙って幼少期からエレオノールに接触していた。

そして自身の肉体のスペアである「才賀勝」を守るように導き、二人の絆が強まった頃を見計らって勝に記憶を移すつもりだった。


才賀貞義

一方で「才賀貞義」を名乗って財閥を築き、才賀勝の母親を愛人とした。つまり彼は才賀勝の父親でもある

ただし、実際には勝はフェイスレスに肉体を提供するためだけの存在として特別教育クラスの中から選出された少年に過ぎず血縁関係はないとのこと(公式ガイドブック「からくりサーカスのすべて」のP.259「重箱のスミ」にて。そもそもしろがねは生殖能力が低く、子作りが極端に困難で、作中の成功例は正二とアンジェリーナのみ)。

彼が言うには勝の兄たちも血の繋がりはなく、全員が養子とのこと。勝の祖父ということになっている正二との血縁関係もない。


要するに、フランシーヌ、アンジェリーナ、エレオノールと横恋慕した女性を三代にわたって追いかけ回し、その個人的な欲望の過程で全人類を不幸にした。

そしてエレオノールを手に入れるために勝を護衛させ、二人の仲が縮まったところで自分が「才賀勝」としてエレオノールと結ばれるつもりだったのだ。


だがこの計画は、本性を知った才賀正二により阻まれる。

才賀貞義の姿で暗躍していた際、正二との戦いに敗れ濃硫酸入りのタンクローリーの中に落とされたのだが、なんと濃硫酸のプールの中で、タンクローリーを分解して脱出していた。とはいえさすがに無傷では済まなかったため、身体の殆どを機械化していた(上記回転粉砕機に巻き込まれたのに蘇ったのもその為)。


以後は「フェイスレス」としてしろがね-Oを率い、一部の者たちを配下にして暗躍していた。


彼は自分が悪という意識が更々無く(身も蓋もなく言ってしまえば、自分の事を愛した女性と結ばれない悲劇の主人公と思っている)、自分のためになることは全て良いことだと認識している地上最強の自己中心主義者である。勝は彼のことを「ドス黒く燃える太陽」と形容したが、正鵠を射た言葉だと言えよう。

動機は美学もクソも無い俗物・小物然としたものだが、ここまで来るといっそ悪役として清々しいまでの存在感を放っているためか、前作の敵ボスキャラクター「白面の者」に負けず劣らずのインパクトを読者に与え、高い人気も誇っている。


なお、彼が鳴海に語った虚偽の過去だが、自分を不審に思って引き裂いた彼女の母(ルシール)、再会した幼馴染みの恋人(フランシーヌ/アンジェリーナ)には自動人形の夫(白銀/才賀正二)がいたと、金時代およびディーン時代のいずれにしても配置が綺麗に収まっており、嘘とは言えないが、実際はおぞましい妄想のフィルターがかかった歪なものだった


終盤、は黒賀村に住む人形遣いの少年へーまと猛獣使いのリーゼリョーコと4人でモン・サン・ミッシェルへ向かいフェイスレスを倒しに行くが、フェイスレスに自分の記憶と人格を完全にコピーしてしろがねロケットに乗せて宇宙へ逃げるつもりでいた。そして自身は『悪役』として『勝』に倒され、しろがねに恋慕されるための捨て駒になるつもりだった。

しかし、勝はゾナハ病の予防として柔らかい石を宿したエレオノールの血を飲んでいた為、ダウンロードは状態異常と見なされ記憶と人格のコピーは失敗。挙句の機転によって間一髪でしろがねを救出するのに成功し、フェイスレスだけがロケットで宇宙へと飛び立っていく。


自らの計画が失敗に終わり、三度目の失恋をしたフェイスレスは「もうぜんぶどーでもいいや」とヤケを起こし、超微細自動人形「アポリオン」に司令を下しゾナハ病を促進。全世界を滅ぼそうとする。このため勝は、人々を救うために再びフェイスレスと対峙することとなる。


白金

そして再登場した時はあのプラハで錬金術を修行していたころの若い姿で登場する(あらかじめクローンとナノテクノロジーの技術によって生成していたとのこと。身体は普通の人間であり、しろがねではない)。

なお、国際宇宙ステーションでの最終決戦に半壊状態の旧フェイスレスがぶら下がっているのが確認できる。

宇宙ステーションにたどり着いた勝の土下座による懇願を「いやあぁだよバアァカ!」と嗤って切り捨て、「兄さんが作ったのより強力」と語る完全版あるるかんを持ち出し、占い師アルメンドラ、白金が融けた命の水を飲んでしろがね化した犬が見守る中で最終決戦の火ぶたが切られる、果たして勝つのは誰か?。


ボクの名台詞だよ~ん編集

だって、僕は『自分を信じている』もん。自分を信じて『夢』を追い続けていれば、夢はいつか必ず叶う!


勝クン、僕とゲームしようぜい!


僕は君達創造主だよ~ん!!

※実はこれこそが三解の最後の意味でいわゆる「理解」である。フェイスレスの回想にて使用されており、生き残った自動人形たちに創造主であることを理解させ、平服させた。こうして彼は新・真夜中のサーカスの頭目となったのだった。



関連項目だよ~ん編集

からくりサーカス しろがね

才賀勝 加藤鳴海

















最後のネタバレ編集















勝との激闘の最中、勝自身も愛するエレオノールを何故鳴海に譲ったのか問いただすが、「しろがねを最初に好きになったのは、ナルミ兄ちゃんなんだもん!!」という言葉にかつて自分が「兄さん、フランシーヌは僕が最初に好きになったんじゃないか」と言った事を思い起こし、動揺した隙にあるるかんを真っ二つにされる。


 そもそもの話として、初めから鳴海とエレオノールは両想いであり、そこに第三者が立ち入る隙はなく、勝もフェイスレスのように腐った性根は持ち合わせていない。それでも終盤で(鳴海と勝の関係が白兄弟の投影ということもあってか)エレオノールに異性としての好意を抱いているとされた勝は、フェイスレスとの対比として舞台に上がる。

 通常、返答として正しいのは「エレオノールは鳴海のことが好きだから」だろうが、フェイスレスが他者の幸せを願えない利己的な人物である以上、真っ当な答えを返したところで彼には届かない。

 しかし、勝は自分なりに子供の理屈で返答した。良い歳をして幼稚な恋愛観と肥大した自我しか持たぬフェイスレスには、同じ目線の人物、即ち子供で、尚且つ『フランシーヌの面影を持つ女』を愛した共通経験を持ち、200年も時間を費やしながら、自分には終ぞ持ち得なかった利他と慈愛の精神を、齢12にして持つ勝だからこそ響く物があり、結果として彼の心を折ることに成功したのである。

 この点に関しては作者も『北風と太陽』に喩え、もし鳴海がフェイスレスの企図に乗って彼に挑んでいたならば、フェイスレスを倒すことは出来てもゾナハの治し方までは聞き出せなかっただろう、と語っている。


結果として

彼の言い分を否定すれば、自分がフランシーヌを愛する資格を失う

彼の言い分を肯定すれば、エレオノールに愛される資格を失い計画が破綻する

というどちらに転んでも自己否定にしかならない完全論破になったのである。


それでもなお「あはは、バカだなァおまえは!そんなのぜんぜんカンケーないね!好きなら他のヤツなんてカンケーないさ。さらっちまやぁよかったんだ!」と悪態をつき勝を痛めつけるが「……そうしたら……僕…幸せに…なれたかい………?」と問いただされ、フランシーヌを攫ったが幸せとは程遠かった過去を思い出してしまう。


苦し紛れに勝を刺殺しようとナイフを繰り出すが、それを庇ったのはしろがね犬だった。「もう一人の自分」と言っても差し支えないしろがね犬が勝の犠牲になったことで攻撃を止め、呆然自失とする。


更に、追ってきたディアマンティーナは、ステーション中に仕掛けた爆弾でフェイスレスに脅しを掛け、それを楯に愛の言葉を要求する。

それも「"エレオノール(フランシーヌ)なんかよりも(ディアマンティーナを)愛している"と言って欲しい」「ワタクシひとりをずうーっと愛してくれるって言ってェ」という、フランシーヌのために突っ走ってきたフェイスレスからすれば嘘でも絶対に言えない一言

そしてそれは自身が拉致したフランシーヌに愛の言葉を強要し、そしてついぞ一度も言ってもらえなかった状況と酷く似ていた。


そうして彼女が見せる自分への身勝手な愛を通して、とうとう自身の愛の醜さを自覚


「……流石は…ボクの作った自動人形だなディアマンティーナ…お前はボクにそっくりだよ…」


「でもねディアマンティーナ、ボクを愛するのはお前の自由だけどさ…」


「愛されるほうにも都合ってもんがあってさ、愛されたからって、そのヒトを一番に愛するとは限らないんだよ」


「僕が別のヒトを愛する自由だってあるんだよーん」


「ククッ、勝。お前が言いたかったのはこういうことなんだろう?」


ディアマンティーナを拒絶し分解するも逆上した彼女に刺され、負傷する。爆弾クマちゃんの爆発によって宇宙ステーションが黒賀村へ向けて墜落し始める。この際、勝も爆弾に巻き込まれかけたがアルメンドラが庇って犠牲となっている。ついにフェイスレスは本当の意味で孤独になってしまったのだった。


あんなことがあったっけな…

すでに限界の身体で、確実な死を目前にしてもなお必死に落下点を変えようとする勝を見ているうちに、宇宙空間に出て作業しなければならないが、宇宙服を着るだけで時間切れの状況下、自分達には操り人形がある、と叱咤するように勝を指導してグリムと合体させたあるるかんの上半身を操作。2人で協力してブースターを噴射させる作業に取りかかる。

やがて勝が自分の弟ならばと思いを馳せ、いつも駄目な自分を教え導いてきた兄の家族愛、そしてフランシーヌが抱いていたような、大切な人々の幸せが何より自身の幸せである人間愛を理解する。


作業を終えた後、白銀、フランシーヌ、フランシーヌ人形、アンジェリーナ、エレオノールと他人に縋り続けた自身を頼みとし縋り付く、たった一人の観客である勝に、彼の望みであるゾナハ病を止めるカギがエレオノールの歌う子守歌であることを教える。

そして一緒に脱出しようという誘いを断り、「舞台が終われば観客は家路につくもの」として、勝を一人で脱出させた。


ひとりぼっちはさびしい

崩壊する宇宙ステーションに残った彼は、懐かしい子守歌を聞きながら『一人ぼっちだから』と自分に付き合って残った自動人形のグリュポンを抱きしめ、恐らく200年もの間、口にしてこなかったであろう反省の言葉と後悔の涙を流しながら述べ、人生の幕を閉じた。


「本当にバカだよなァ…あのガキ。」

「僕の大きな計画の、ほんの小さな歯車にすぎなかったヤツが…結局全部ぶち壊してしまった…」

「…バカのくせにさ。」

「でもな…」

弟を助けるのが、兄だもんなァ。

銀…兄さん…僕が、まちがっていたよ。


最終巻末のカーテンコールの最後には、勝や鳴海やエレオノールと共に、満面の笑顔で手を振る彼の姿が見られる。



余談編集

作中の根幹を成す要素大半を作り上げ、人格の転送でいくつかの技術の欠損があってもなお現代科学を学ぶことで現代科学の枠を超えたものを生み出せる、作中でも最高峰の技術力の持ち主だが、根本的には「人形師」としての自負とプライドがあり、ハーレクインの気象制御装置を始めどれほど強力な機構や装備であれ、それを量産して多くの自動人形に組み込むという真似をせず、各々の人形に個性や違いをもたせる、最終決戦に持ち込んだあるるかんにも外見が白い事と両手足に聖ジョージの剣を装備させる以外目立ったアレンジを加えない等、妙に一本気が通ったところがある。


その一方で、目的のために長期的視野で行動を展開する計画性や、人形製作や錬金術に関しての優れた知性と博学を誇りながら、彼の行動指針には全くの思いつきだったり感情のままに動いたりする幼稚性があり、更にまともな感性もある程度残っていたがための罪悪感による自己正当化、何をしても思い通りにいかない人生もあって、その性質が悪化の一途を辿っている。

 余談だが、金の言うように弟の好意を知りながら、好意に我を忘れて(白金視点では早い者勝ちと言わんばかりに)フランシーヌに求婚した白銀も弟に似た周りが見えなくなる勢い任せな面は、流石兄弟と言うべきか、若干の血の争えなさを感じさせるものがある。

そのため、世界を滅ぼしたくても大抵は一個人ではどうしようもないけど、本当に馬鹿に世界を滅ぼす知性と実行する力があったらと言う一例として反面教師に挙がることもある。


多くの人間の人生を狂わせた巨悪だが、一方で白金だった頃、最初の時点では兄とフランシーヌが惹かれ合っているかも知れないと知っても、まだ「兄を嫌いたくない」「大事なのはフランシーヌの気持ち」と考えていた。彼が狂う原因となったのは『兄がフランシーヌに求婚し、二人が結ばれてしまうという場面に偶々居合わせた』為である。

この瞬間、白金はフランシーヌへの失恋に重ね、弱くて拙い、一人ではなにもできない自分を助け続けてくれた兄との別離を感じてしまい、「大好きな兄が恋した女性と共に自分を置いていってしまう」、「大好きな兄(女性)を奪った憎い相手が大好きな女性(兄)」という、彼にとって筆舌に尽くしがたい絶望を味わったことが、彼を狂気に落とした。


またフランシーヌへの異常な愛ばかりが目立つ彼だが、兄である銀への依存も同等か準ずるレベルで根深く、そのせいか兄と似た面影を持ち、その記憶を色濃く受け継いだ鳴海を気にかけていた。彼にエレオノールとの結婚を見届けてもらいたいという理由で彼と親しくし、サイボーグとは言え自身の身体の大半を犠牲に彼を助けている。


そんな彼を狂気から引き戻したのは、かつての自分と同じ境遇でありながら「大好きな兄貴分と愛した女性の幸福を願って身を引いた」勝の献身、今までの自分と同じく『己を愛させるために手段を選ばない』ディアマンティーナの醜い愛、そして駄目な弟を助ける兄としての立場の自分だった。


生命の水に己を『溶解』させ、精神のダウンロードを利用して幾人にも自身を『分解』し、ただ一つの理由を抱えて舞台の上に立ち続けた男は、最期に己の過ちを『理解』したのだった。


ディアマンティーナ - 彼の作り出した自動人形のうち「最後の四人」と言われる最強クラスの自動人形が一体。高度な知能と自意識を持つが、皮肉にも作成者そっくりの歪んだ感情を見せたことで、ようやくフェイスレスが自身を客観的に見れるきっかけを作った。


からくり逆境サーカスナインでは編集

野球部ちょうだい!?


映画「逆境ナイン」の放映を記念した島本和彦藤田和日郎の合作漫画である短編「からくり逆境サーカスナイン」ではなんと主役に抜擢されている。

ストーリーは、失恋続きの人生を送るモテないオヤジの”顔なし(フェイスレス)”あらため”面目なし(メンモクレス)”が、「野球部に入って甲子園を目指せば好きなあの娘が惚れてくれるかも!?」という発想にいたり、自動人形(オートマータ)を引き連れ全力学園野球部を乗っ取りにやって来た!というツッコミどころしか無い内容となっている。


他にも

某野球漫画のストーリーを聞いて共感のあまり大感動

・持ち前の変な律儀さから、わざわざ不屈の偽者オートマータを作って野球対決に持ち込む

しろがねに制服を着せ某名言を色紙に書いて貰い、ベンチで応援して貰う

・青春の空気に触れたのが嬉しかったのか甲子園をノリノリで楽しんでしまう

等々、

からくりサーカス本編ではまず見られないようなフェイスレ・・・もといメンモクレスのはっちゃけぶりも見所だが、特筆すべきは様々な場面にわたってフェイスレスが逆境ナインの面子から熱い激励を受けるという謎の愛されっぷりであろう。頑なな人柄故に不屈闘志らのエールを素直に受け入れられないフェイスレスであったが、野球部顧問のサカキバラ・ゴウの言霊を受けて遂に氷解し、熱き魂に目覚めるという驚愕のラストを迎えている。


ささいなボタンの掛け違いから人生に躓いて狂気にいたり、自分で自分の人格を歪めてしまったフェイスレスだが、そんな彼であっても真っ正面から自分と向き合ってくれる人との出会いがあれば前向きに生きられたのでは無いか?という島本和彦らしい熱きアプローチが成されており、ある意味フェイスレスという哀れなキャラクターが救われる物語であると言えよう。

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