概要
ランボルギーニがかつて製造・販売していたスーパーカー。アルファベット表記「Gallardo」。(とてもこれをガヤルドとは読めないが。)
名前は18世紀の闘牛飼育家フランシスコ・ガヤルドに由来する。
最大の特徴は、当時のランボルギーニの通例であったV型12気筒エンジンと上方向にはね上げる「シザース・ドア」の両方を採用しなかった事。エンジンは大排気量でこそあるもののより小型のV型10気筒で、ドアも一般的な横開きである。
12気筒未満のエンジンを搭載する通称「ベビー・ランボ」と呼ばれるモデル、および横開きドアを採用したモデルは、どちらも80年代に販売されたジャルパ以来14年ぶりであった。
製造には同じフォルクスワーゲン傘下であるアウディの技術が使われている。本車で用いられた技術はのちにアウディのスーパーカー・R8の開発に生かされ、両車種の設計には共通する部分も少なくない。また、R8とはFIA-GT3車両のベースモデルに選ばれたことがあるという共通点もある。
大手企業のバックアップにより、それまでのランボルギーニでは考えられない約14000台という生産台数を記録したことでも知られている。
なお、2003年にデビューしたガヤルドは2013年までの11年の間前期型→後期型→最後期型とマイナーチェンジを繰り返し、それぞれでバリエーションモデルを生み出し続け、2013年9月デビューのLP570-4 スクアドラ・コルセを最後に、2014年、ウラカンにバトンタッチした。
バリエーション
ガヤルド (2003~2008)
前期型ガヤルドのベースグレード。このガヤルドは、バンク角90° V型10気筒エンジンを搭載。排気量は5L。最高出力500ps/7500rpm、最大トルク510Nm/4500rpm。
ガヤルドには2つのトランスミッションの選択肢があり、従来のHパターン6速MTとランボルギーニが「Eギア(E-gear)」と呼んだ6速電気油圧作動式シングルクラッチ自動マニュアルトランスミッションであり、「Eギア」トランスミッションは、昨今のスーパーカー・ハイパーカーにはお馴染みのパドルシフトによる変速を可能とする。ただし、当時のEギアは壊れやすいという声が多く、中古車としてもそこまで買い手が付く様なものではなかった。
前期型ガヤルド自体はそのバリエーションも含めて、2003年5月から2008年4月まで製造された。
2005 クーペアップグレード (2005)
2005年後半に発売された2006年モデルのガヤルドは、自動車評論家や顧客からの要望に応えるべくガヤルドのあれこれを変更。エンジンについては最高出力が520psに上昇。最大の変更点として、1速~5速のギア比がある。この変更によりパフォーマンス性能が向上した(下手なギア比の調節はパフォーマンス性能の低下を招く)。なお、これらの変更点は後述のガヤルド SEにも反映されている。
SE (2005)
2005年に発表されたツートン・カラーに塗装された特別仕様。250台の限定生産
専用の5本スポークホイール「Callisto」を装着。ベースのボディカラーは4色(白、イエロー、オレンジ、グリーン)で、ルーフやエンジンボンネット、前後スポイラーとサイドミラーが黒に塗装された。
ネラ (2006)
アルファベット表記「Nera」。2006年9月にデビュー。全車が専用の黒色の塗装をまとう。
スパイダー (2005)
2005年デビューの、前期型ガヤルドのオープントップモデル。
ルーフには開閉時間20秒の電動格納式ソフトトップを採用。5本スポークホイール「Callisto」を装着し、ランボルギーニはエンジン出力が520ps、低比率の6速MTのまったく新しいモデルと見なした。
なお、パワステ(パワーステアリングの略称)の液漏れ及び火災の可能性があるとして、2004年から2006年のモデルイヤーで約1500台のクーペとスパイダーのモデルをリコールした。
スーパーレジェーラ (2007)
アルファベット表記「Superleggera」。
前期型ガヤルドの最高級モデル。全世界618台の限定生産。
スーパーレジェーラという名前は、カロッツェリア・トゥーリング(イタリアの、自動車のボディや、自動車に搭載する装備を造るメーカー)によって製造された、ランボ初のプロダクションモデル「350GT」にて使用された「スーペルレッジェーラ」構造(アルファベット表記はスーパーレジェーラと同じ)なるものに敬意を示して付けられた伊語「超軽量」の意。
その名前の通り、車の随所にカーボンファイバーを使用し、チタン製ホイールナットとカーボンファイバーのシートのパーツを使用し車重をベースグレードより100kg軽量化(1330kg)し、吸排気系、ECUの見直しにより最高出力を10psアップの530psとした。パワーウエイトレシオは2.5kg/ps(1330kg÷530ps=2.51、少数第3位四捨五入の結果の数値)。
6速Eギアトランスミッションは、米国仕様モデルに標準装備されており、6速MTは無料オプションとして提供された。オプションとして大型カーボンリアウイングがあり、ノーマル仕様に装備されている非可動式リアウイングとは選択式。
なお、スーペルレッジェーラ構造は説明が難しいので「そういう構造があるんだ」程度に思って頂けると幸い。
LP560-4 (2008~2011)
後期型ガヤルドのベースグレード。前期型と比較するとビジュアルはシャープになり、最近のランボらしいデザインを呈する。特筆すべきビジュアルの変更点として、今や様々なモデルで採用されているあの六角形(?)のテールランプの意匠の原点である後期型ムルシエラゴのテールランプがガヤルドにもやってきた。
LPはエンジンが後方搭載を意味する「Longitudinale Posteriore(後方縦置き)」の略で、560は最高出力を、4は駆動方式を表す。つまり4は4WDである。なお、後にこの4の部分が2のモデルが登場する(駆動方式はMR)。
排気量が5.2Lにボアアップ、最高出力が560ps/8000rpm、最大トルク540Nm/5500rpmにチューンされたエンジンを搭載。クランクシャフトの形状が変更され、燃焼効率が向上した事により燃費と二酸化炭素排出量は、性能の向上にもかかわらず18%低減した。不均一燃焼「Iniezione Diretta Stratificata」直接燃料噴射システムを新しく搭載する。
手直しされたEギアトランスミッションがついてくる。6速MT、6速Eギアの2択が選べる。
LP560-4 ゴールドエディション (2012)
アルファベット表記「Gold Edition」。
後期型は2011年までの生産だったが、LP560-4 ゴールドエディションや、デビュー年が「2012年」と書かれたモデルは例外的に後期型での生産となっている。
中国市場専用のモデルで、インテリアは販売市場にあわせて赤色のステッチが施された。
LP560-4 ビアンコ・ロッソ (2012)
アルファベット表記「Bianco Rosso」
2012年5月にランボルギーニの日本上陸45周年を記念して、10台限定で生産された日本専用仕様。車名はイタリア語で「白・赤」を意味する。日本の国旗に敬意を払った白ボディーに、差し色としてミラーカバーやブレーキキャリパーが赤色塗装のみの設定。
LP560-4 スパイダー (2008)
先のLP560-4のオープントップモデル。
LP550-2 ヴァレンティーノ・バルボーニ (2009)
アルファベット表記「Valentino Balboni」。40年以上に渡ってすべてのランボルギーニの開発に携わり、テストドライバーも務めたヴァレンティーノ・バルボーニに起因する。
ガヤルドとしては初の2輪駆動モデル。変速機は6速MTを標準設定とし、Eギアはオプションとなる。リアデフの設定を最適化、LSDも新たに開発。スタビライザー、ダンパーをはじめとするあらゆる部分を変更。
ヴァレンティーノはある日、自分の名前のついた車に乗って帰宅。翌日の出勤途中にフェルッチオ(ランボルギーニ創業者)の眠る墓地に差し掛かると「ありがとう」と、心の中でフェルッチオにお礼をするために車を止めたという。
LP550-2 (2010)
LP550-2 ヴァレンティーノ・バルボーニが好評だった為カタログモデルとしてデビュー。
LP550-2 トリコローレ (2011)
アルファベット表記「Tricolore」。
イタリアの統一150周年を記念したモデルで、専用色として白と黒の2色にイタリア国旗の3色(緑・白・赤)のストライプが手作業によって塗装されている。
LP570-4 スーパーレジェーラ (2010)
2010年3月のジュネーブモーターショーにおいて発表。上述のガヤルド スーパーレジェーラを後期型ガヤルドで造ったモデルであり、後期型ガヤルドにおける最高級モデルとなる。
カーボンファイバーを多用し、重量はベースモデルから70kg軽量化した1340kg。ガヤルドとしては最強のエンジンを搭載し、その最高出力は570psを発揮する。その結果、パフォーマンスが向上した。
エクステリアの改良で空力性能を向上、ムルシエラゴ LP670-4 SV(ムルシエラゴの最高級モデル)で採用されているものと同様のレヴェントンの様なフロントバンパー、大型エアインテーク、レーシングカー的なリアディフューザーやリアスポイラーを装備し、インテリアにも専用装備を多数採用している。
セストエレメント LP570-4 (2010)
アルファベット表記「Sesto Elemento」。
2010年10月のパリ・モーターショーにおいてコンセプトモデルとして発表され、2011年にサーキット走行専用車として生産が決定した。
詳細は当該記事参照。→セストエレメント
LP570-4 スパイダー ペルフォルマンテ (2011)
アルファベット表記「Spyder Performante」。
ポジションとしてはLP570-4 スーパーレジェーラの対極にくるグレード。ガヤルド ペルフォルマンテはオープントップモデルしか存在せず、レースゲームへの収録は少ない(LP570-4 スーパーレジェーラが収録される事になる)。この為かガヤルドの中では知名度が極端に低い。
なお、ペルフォルマンテというグレード名はガヤルドの後継であるウラカンにおいて、最高級モデルの名前として継承されている(かわりにスーパーレジェーラは消失)。
LP570-4 スーパーレジェーラ エディツィオーネテクニカ (2012)
アルファベット表記「Superleggera Edizione Tecnica」
2012年のパリ・モーターショーの前日に発表されたLP570-4 スーパーレジェーラの軽量化オプションモデル。
以前のバージョンとの違いは、二酸化炭素排出量を20.5%削減できる「直接層状噴射」システムの使用である。専用色として3通りの組み合わせ(黒×オレンジ、白×オレンジ、オレンジ×黒))が設定された。
LP570-4 スーパートロフェオ・ストラダーレ (2011)
アルファベット表記「Super Trofeo Stradale」
2011年9月のフランクフルトモーターショーで発表されたモデル。ビジュアルはほぼLP570-4 スーパーレジェーラだが、リアウイングの形状に変更が加えられた。また、ブレーキを中心に改良が施されている。
LP570-4 スーパートロフェオ・ストラダーレ・エディツィオーネ・テクニカ (2012)
2012年のパリ・モーターショーの前日に発表された軽量化オプション・プログラム装着モデル。
LP570-4 スーパーレジェーラ エディツィオーネテクニカと同じ3通りの専用色が用意される。
LP560-4 (2012~2013)
2012年~2013年に生産されたガヤルドは名前こそ同じだが最後期型となる。
2012年10月のパリモーターショーにてLP560-4 スパイダーが発表され、追ってクーペモデルが発表された。
ビジュアルの変更点として、後期型と同じ様なシャープなデザインを残しつつフロントバンパー・リアバンパーに、斜めに走る部分が追加された。
LP560-2 50 アニヴェルサリオ (2013)
アルファベット表記「50th Anniversario」。これは伊語なので英語に直すと「50th Anniversary」となる(この関係の為か50thアニバーサリーの方が通じる場合がある)。
2013年4月、上海モーターショーにて発表された、アウトモビリ・ランボルギーニの創立50周年記念モデル。
LP570-4 スクアドラ・コルセ (2013)
アルファベット表記「Squadra Corse」。
車名の由来は、ガヤルドのワンメイクレースである「スーパートロフェオ」シリーズやGT3レース活動を管理するために作成されたランボルギーニのモータースポーツ部門「スクアドラ・コルセ(Squadra Corse)」から。
ビジュアルは最後期型のLP560-4をベースに、先のスーパートロフェオ・ストラダーレと同じデザインのリアウイングを備える。
なお、本モデルがガヤルドの最後となり、2003年から2013年までの11年間の歴史に幕を閉じ、5.2L V10エンジンを引き継ぐ次のモデル──ウラカン(Huracan)が登場した。
カロッツェリア・トゥーリングについて
1926年3月25日、イタリアのミラノにて設立されたコーチビルダー。コーチビルダーとは、自動車のボディ部分を製造・架装(車に搭載する装備の事)する業者の事。
創作物における扱い
「とある科学の超電磁砲」の登場人物・木山春生の愛車として、本車をモデルとしたスポーツカーが登場する。
ライセンスの問題からか「車の前半分は前期型、後ろ半分は後期型」というちぐはぐなデザインとなっており、ドアも横開きではなくシザース・ドアである。さらに、エンジン音もランボルギーニと無関係な車から取られた水平対向6気筒エンジンの音源が使用されているとのこと。
関連タグ
創作物関連:
外部リンク
以下Lamborghini公式:
- Gallardo
- LP560-4 Coupe
- LP560-4 Spyder
- LP550-2 Valentino Balboni
- LP550-2 Coupe
- LP550-2 Spyder
- LP550-2 Tricolore
- LP570-4 Superleggera
- LP570-4 Spyder Performante