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グール(クトゥルフ神話)

ぐーるくとぅるふしんわ

クトゥルフ神話に登場する独立種族。 設定上はアラビア伝承の魔物と同一だが、クトゥルフ神話の性質上、その扱われ方や姿などは大きく異なる。
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前提編集

 クトゥルフ神話は他の伝承や神話とも関連づけられて体系化された創作神話である。

 そういった神話などで言い伝えられる存在も架空の存在などではなく、多くの場合より人間にとっておぞましい事実とともに実在しているとされる。

 グールもその一例として取り込まれており、現実と同じようにその他の伝承がある一方で、作品世界内で実在するものとしての設定はオリジナルの要素で大きくアレンジされている。

 故にこの記事で扱われるのは飽くまでクトゥルフ神話におけるグールである。

 似た例にダゴンバステトなどがある。


概要編集

 漢字表記では食屍鬼と書かれる。

心からの捧げものだよ

 ゴムのような弾力のある皮膚を持つ怖ろしい姿をしている。二足歩行だが前屈みで犬のような特徴があるとされる。ヒヅメ状に割れた足、犬に似た顔、かぎ爪を備えている。

 早口で、泣くような声と形容される独特の話し方をする。

 その姿は見る者に不潔で不愉快な印象を与える。食料は動物の死骸や排泄物。人間の死体を求めて活動していることが多い。

 文献や作品にて語られる場合、とにかく不潔であることが特徴としてあげられる。


食屍鬼

 いろいろな都市の地下のトンネル網に巣くっている。魔女と結託していて、ときには人間を襲うこともある。

 グールのトンネルのうちでも非常に古いものはドリームランドに繋がっており、そこでグールは推測できないほど古い墓で宴にふけっている。ドリームランドではグールの姿がよく見られる。

 その食事は人間の死体である。墓を暴いて屍肉をあさって食べている。時には、生きた人間を襲う事もある。

 稀に地下鉄事故を誘発し、大量の食料を得ようともする。このグールの存在を知っている各都市の警察や、それに準じる組織とは、日夜攻防を繰り返している。

 人間以外にも、ガグやガーストなど別種族の死体も彼らの食料になる。特にガグの大きな死体は、グールにとっては一年分の食料になるらしい。


 グールは時折人間と交配して醜い胸の悪くなるような子供をなす。また、グールは面白半分に、人間の赤ん坊と自分たちの赤子を入れ替える(所謂チェンジリング)。取り替えられてグールに育てられた子供は屍肉を食べて育ち、グールに成長する。


 死した人間はグールになることがある。このことや近年のファンタジー作品では「グール」といえばアンデッド系の魔物として扱われていることから、このグールもアンデッドと勘違いされることがあるが、れっきとした生物であり、単独の種族である。

 独自の種族ではなく、元々は魔法で姿を変えられた人間なのではないかとする資料もある。


文化編集

 他のクトゥルフ神話のクリーチャーや神性とはほとんど関わりを持たない。汚らわしいご馳走を食べることに満足しており、ほかの種族や存在から離れて、自分たちの陰謀に専念する。


 覚醒の世界(クトゥルフ神話における現実世界)とドリームランドの双方に生息しており独自の言語、文化を持ち生活している。人間の言語を扱える個体も多く、人間と接触し取引を持ちかけることもある。

 グールと気の合う者やグールの文化になじみすぎた人間は、グールに変異してしまうことがあるという。実際、長い期間をグールと生活した人間がグール化し、後にドリームランドに移住してグールの仲間とともに生活している様子を描いた作品もある。


 同じくドリームランドに生息する巨人の独立種族ガグからは、理由は不明ながら恐れられている。上記にあるように、ガグ族の死体で一年はグールの社会全体を賄う食料になるので、しばしばガグ族の墓を荒らす。

 ガグ族の見張りは、自分たちの墓を荒らすグールに手出しをしないようである。

 時にはガグとの間に抗争が起こることもあるが、体格で勝るガグとも数と連携の上手さで互角に渡り合う。また、互いに抗争に発展することは避けようとしているようだ。


 また、ドリームランドのグールはナイトゴーントと契約しており、時には共通の敵に対し共闘する事もある。グールはとある合図をする事で、ナイトゴーントを召喚し、空中を運んでもらっている。


 彼らは人間の持つモラルやタブーに縛られず、あえてそれを破壊する事を好む。人間の尊厳や倫理などは、彼らの冗談の種でしかない。

 しかし意外な事に、必ずしも凶暴と言うわけではない。また、他の種族や神性などと異なり、世界征服や人類滅亡といった野望とも無縁。

 彼らが望んでいるのは、自由に、面白おかしく毎日を過ごす事だけで、自らの自由を守るためには、勇敢に戦う事も厭わない。そういった意味では、他の独立種族や邪神及びその奉仕種族などよりましかもしれない。


食文化編集

 前述したとおり、食文化が特別奇妙であることが知られている。

 新鮮な肉より屍肉を好み、生きた人間を襲う事もあるが、すぐに食べようとせずにわざわざ殺して持ち帰る。

 その他不潔な食べ物を喜び、動物の死骸や糞尿で宴を催す。

 人間並みの知性と独自の生活文化や言語すら持っているわりに、清潔にしようとする意識は皆無で、身体からは苔が生えているという。


崇拝編集

 わずかにニョグタを崇拝しているものもおり、また遠い未来地球、人類が最後に棲む場所となる大陸ゾシークにいるグールはグールの神、モルディギアンを崇拝している。


  • モルディギアン

 死体を生け贄として受け取る奇妙な神。悪意のある存在ではなく死者のみを求め、生きている者には構わない。ただし、神殿から死者を奪おうとした者には、容赦ない制裁を下す。


関連タグ編集

グール クトゥルフ神話

リチャード・アプトン・ピックマン

:ラグクラフト「ピックマンのモデル」に登場。グールを召喚し、その様子を写真に撮影して絵のモデルにしていた。

ランドルフ・カーター

:ピックマンの友人。彼とともに、人間でありながらグールと交流。協力関係を築いている。


トンネルズ&トロールズ

:TRPG。登場モンスターの中に、このクトゥルフ神話のグールが入っている。モンスターをプレイングするヴァリアントルールでは、このグールもプレイヤーキャラクターにする事が可能。


邪神伝説シリーズ

:漫画家・矢野健太郎のクトゥルフ神話を題材にした作品。あるエピソードでは、人間に協力するグールが登場している。人間のように服を着てマスクと帽子を着用。密偵として活動し、更にはディープワンズとも直接戦闘を行った。

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