概要
広島県広島市安芸区瀬野町に建設された住宅団地「スカイレールタウンみどり坂」への交通手段として1998年(平成10年)8月28日に開通した鉄道路線で、運営はスカイレールサービスがしていた。正式な路線名称は「広島短距離交通瀬野線」。起点となるみどり口駅では、JR西日本山陽本線(瀬野駅)と接続。
元々スカイレールみどり坂線及び当路線が運行していたスカイレールタウンみどり坂は1997年〜1998年頃、平均4300万円という価格帯が話題を呼んだ県内最大規模(約1800戸)のニュータウンの分譲開始とともに開業し、「鉄道と一体になった街」としての広告塔の役割も兼ねていた。しかし想定ほど分譲が進まなかったこともあり経営は厳しく、コロナ禍以前から運営会社は1億円以上の赤字が続いていた。それでも、当路線の運営している会社の親会社である積水ハウスなどの支えによって運行を続けていた。
しかし、このモノレールは国内での採用例が1例しかなく、開発・実用から四半世紀で採用が1例だけとなると、部品調達(メンテナンス)や設備更新などのコストはなかなか下がらなかった。これからの維持の困難さと費用の上昇を踏まえた結果、運行終了が決まった。なお当初の廃止は2023年末だったが、代替交通機関の電気バスの準備が整わなかったため一度延期されている。
2024年(令和6年)4月30日の運行をもって運行終了・翌日付で廃止。
運行形態
みどり口駅〜みどり中街駅〜みどり中央駅の3駅間を、全線通しで約6分をかけて結ぶ。
6時40分から22時まで便が設定され、日中の10時台から16時台は15分間隔で運行。通勤通学時間帯は最短7分間隔で運行みどり口駅は瀬野駅に直結していた。運賃は距離に関わらず均一制で、未来の鉄道らしく全ての駅に自動券売機・自動改札機を設置。定期券には全国で初めて非接触型ICカードが採用された。
乗車改札時に定期券以外のきっぷは回収され、旅客は無札の状態で乗車する形だった。出口での集札は行われない。
余談
2010年度までは平日早朝には瀬野駅横の広島市立瀬野小学校へ通学する小学生のために小学生専用車両が運行されていたが、2011年4月1日に、団地内に広島市立みどり坂小学校が開校したため廃止された。この小学生専用車両には、通学する小学生の安全確保から、専用便には小学生以外の乗車はできず、逆に専用便が運行されている時間帯の一般便には小学生を乗車させないようにしており、小学生と一般客を完全に分離していた。