概要
スケイル・アーマーのスケイルというのは鱗のこと。丈夫な布地の下地衣服の上に、金属片や革片(RPGなどのファンタジー世界ではドラゴンなどその世界にしか存在しないモンスター類の鱗をそのまま使用してる事も有る)を魚の鱗の様に上端部だけ留めている。その起源は鎖帷子よりも遥かに古く、旧約聖書にも登場する歴史の長い鎧でもあり、紀元前1400年から1600年代の古代エジプトのファラオも使用していたとかなんとか。またこの方式で作られた盾「スケイル・シールド」も有った。
スケイル・アーマーの次に歴史のある1枚の胴当てと比較して、防御力は劣る代わりに、作りやすく、柔軟性があるため体を屈伸させることができ動きやすかった。また上端部しか留めない事で攻撃を受け止めた際鱗の様に動く事で相手の攻撃エネルギーをより減免する効果も有ったという。
しかし、後代に出現した鎖帷子と比べると防御性能こそ上回っていたが、鎖帷子よりも重量があるため、鎖帷子が全身を覆えるように大型化したのに対し、スケイル・アーマーは胴体部分までのカバーが限界だったという。また鱗の様に留められた装甲部分は動く事などで独特な音を発する為隠密性や着用時の快適性(普段から音が鳴るのでうるさい)には欠ける。
さらに後発のラメラーアーマー(小札鎧)やバンディットメイル(帯板鎧)などに比べると防御性能に劣りかつ音を立て五月蠅いなどの欠点がより目立つようになり消えていく事となる。
別名スケイル・メイルとも呼ばれるが、これは誤りで19世紀のイギリスの学者達が、中世では鎖帷子を表す語でしかなかったメイル(英:male)に拡大解釈をして生まれたものだと言われている。
現代にて復活、が
鱗状の装甲配置による柔軟性と衝撃緩和は現代にも通じ、最新技術による防弾素材と縫製技術を使うことで高い防弾と機動性を有した高性能防弾チョッキがアメリカにて開発された。
その名も「ドラゴンスキン」。
有名なTV番組の検証では東側の主力銃器であるAK47の7.62mmを至近距離ではじき返し、アメリカ陸軍の退役将校も絶賛するなど、未来の装備として持て囃された。
・・・が、議会と陸軍が調査・テストに乗り出したところ、「酷い製造管理で数百着の内、2/3がカタログスペック以下(TVでは成功したものだけ出したらしく、評価は撤回)」「軍用なのに自然環境に半日晒されただけで拳銃すら防げないほど劣化」「というかNIJ規格(アメリカ司法省が定める防弾性能の評価)の認証がそもそもない」と、防弾云々以前の問題が次々露呈。
鱗状配置の効果も、突き詰めればプレートの小型化なのでたとえ高品質だとしても連続した着弾であっさり貫通される(数十発となれば他の防弾チョッキでも起こるが、プレートが小さいドラゴンスキンではプレート破壊があっさり起こるので最悪、初弾しか防げない)、重なった分の重量が増えるので重量比性能は結局変わらない、と皮肉にも同じ問題が発生し、会社の破産とともに時代の徒花として消えていった。