概要
スコピアムとは、宇宙に何億、何兆と存在する機械生命体群。彼らはDUMAと呼ばれる調査用のユニットを派遣し、有機生命体が生息する惑星と接触し、進化の可能性を模索している。特に人類と定義される生命体が存在する惑星は、もっとも可能性を模索しやすいと考えている模様。
尚、DUMAというのは個体名ではなく上記の調査ユニットの総称。
進化の方法と目的
スコピアムは融合によってその惑星の生命及び自身の進化をも探求する。それだけを見れば、その惑星への侵略行為と取られるが、スコピアムはDUMAを通して会話によって意思の疎通を図ることが可能で、最終的な融合は接触された有機生命体に委ねられ、スコピアムの全体意志としては他の星系への侵略の意図はなく、進化のための融合それ自体がスコピアムなりの友好関係の築き方。
ただし、DUMAの言い回しが独特すぎる上に融合した生命体の外見が元とかけ離れた姿になることがあるために、融合自体が侵略行為と誤解されるケースも存在する。
そうした結果全てを膨大なスコピアムネットワークで共有し、進化の形として保存しているスコピアムは有機生命体と機械生命体による知性と心の進化及びそれらの可能性や形の模索自体を目的とする、謂わば巨大な情報集積と学習ネットワークのような生態系。
電脳融合(スコピアマイズ)
スコピアムの融合の行き着く先で、意識をスコピアムネットワークに接続し、個体を確立させた融合個体は意識そのものをネットワークに保存して融合時の身体を使用して行動するということも可能。
スコピアムの融合はスコピアムの居住コロニーが存在し、中には母星を失った人類を保護し、その上でスコピアムとの融合を促して共存し、その融合はコロニー内の融合プラントで行う。
それによって融合したスコピアムは全ての個体が構築されたネットワークで情報を共有し、全ての個体が平等な関係にあるので、軍隊や政府のような上下関係は存在しない。また、融合個体の外見も様々で完全なヒューマンと見分けがつかないものもいれば、ヒューマンに機械が融合した、或いはロボットと間違えられそうな個体も存在する。
ゲーム中に登場したスコピアムにはヒューマンと機械が合わさった姿、普段はヒューマンとして活動して見分けがつかない、完全なサイボーグやロボットが存在する。エネミーとして登場する個体には過去のシリーズに登場したレッサー・フェルプール、フェザーフォルク、更にはカルディアノン*が存在する。
以下、ネタバレにつき注意
総統派
だが、宇宙歴583年にスコピアムの歴史に狂いが生じる。銀河連邦の加盟惑星ヴィープスにDUMAが派遣され、そこでの融合を行った折に全銀河の生命を強制的に融合する=侵略行為による進化を推し進める『総統派』と呼ばれるスコピアム群が発生、スコピアムネットワークが融合適性があると見做した惑星への侵略を開始する。
このスコピアムの分裂と暴走は当時、ヴィープスでスコピアムの是非を巡り内戦鎮圧に派遣された銀河連邦軍人レミントン・カーツマンとの融合が一因となっており、巨大すぎるネットワーク故の歪みという連邦とスコピアムの双方が抱えていた危うさがレミントンの融合によって表層化、もともと連邦自体が腐敗しかけていたところに加えて野心家でもあったレミントンとスコピアムの融合理念の相性が最悪の方向で作用し、『強制的な融合と支配』という方向性をネットワークに発生させ、最高指導者の呼称の一つである『総統派』の発生に繋がってしまう。
それらによってヴィープスの住人達の生命としての在り方は大きく変質してしまい、その歪みは反銀河連邦の立場で独立独歩を貫こうとするベグアルドや未開惑星のアスター4号星にまで及び、同時に連邦は総統派スコピアムが浸透し、腐敗が加速することになる。
そして、アスター4号星のヴァイル帝国皇帝ボルドール・イル・ヴァイルとの接触が総統派をより巨大にして暴走させることとなってしまう。
総統
レミントン・カーツマン――二十年前にヴィープスに赴任し、融合した総統派出現によるスコピアムの分裂の元凶。元々ケニー一族が強い影響力を持つ連邦に不満を持っていたのが、スコピアムとの融合で野望実現の力を得たと確信し、連邦の多くを総統派スコピアムにして乗っ取る。だが、スコピアムの存在とその分裂を知り、その暴走を止めようとするレイモンド・ローレンスとレティシア・オーシディアス、連邦の腐敗を知ったマリエル・L・ケニーの奮戦でその野望は絶たれる。
その野心は自分が銀河を統べると豪語するほどに醜悪な私利私欲。マリエルは条約違反で実績を挙げてきたケニー一族を盾にするレミントンの方便を『あいつもやったから自分もやっていいという子供の理屈』、レティシアから『卑小な男』、レイモンドから『お前がいない方が連邦もスコピアムも健全』と吐き捨てられ、同じスコピアムのDUMAとJJからも総統派の理念と存在諸共全否定される。
実際に、連邦非加盟の形で対立があるとはいえレイモンドの故郷ベグアルドに侵攻したのは反連邦の立場で権益を侵害するという余りにも強引な理屈で、マリエルの先祖や祖父の未開惑星保護条約違反とは状況もあまりにもかけ離れている。
???――レミントンから総統の権限の全てを奪った。より正確には、レミントンは仮初の総統で、総統派のネットワークが真の総統として選んだ人間。
総統派の消滅と新しい進化の道
銀河連邦との接触によって起きた総統派の出現とそれに伴う侵略的融合をベグアルドに派遣されたDUMAがスコピアムの融合理念が潜在的に有していた「進化の押しつけ」という危険性を認識。この危うさをネットワークで共有する事を決意し、ベグアルドのアンドロイドを生身の人間と同じように扱うレイモンド・ローレンスや当時のアスター4号星には到底理解できないであろう「星の世界」=宇宙の存在とそこに住まう人々を受け入れられるレティシア・オーシディアスとの出会いを通じてスコピアムと有機生命体との共存の可能性を見出し、彼らに後を託した。
レイモンド達のDUMAが得た経験はネットワークで共有され、総統が消滅した後も派閥を維持しようとする総統派の弱体化とネットワークの方向修正に大きく貢献した。
類似種
宇宙歴10年にはMP(ミッシング・プロシージャ)と呼ばれる存在が確認され、グリゴリというケイ素に近い性質を持った結晶体を通して情報を集積、それらを元に泥人形のような類似したエージェントを発生させている。これらは生命体という概念はほぼ持っていないが、生命体に融合することも可能、更には生命体と同じ形や言語を用いることなどが可能。
スコピアムと決定的に違うのは、恐ろしいまでの異常進化をもたらす性質。地球人類が初めて降り立った外惑星エイオスで当初は確認されていなかったにもかかわらず、短期間で巨大な甲虫の化け物が徘徊する程までにエイオスの進化を歪め、地球でいう原始時代相当の文明しか持っていなかったアルクトゥルス8号星カルディアノンをわずか二百年で当時の地球や地球と接触した外惑星エルダーと同等かそれ以上の文明レベルに進化させたが、逆にそれによってカルディアノンは自分達の惑星を滅ぼし、移住を目的とした他の星系への侵略を行った果てに異常進化による殺し合いまで起こして自滅、グリゴリを有していた移動母艦諸共MPとグリゴリのネットワークを有するコロニー、『バロックダーク』の一部にされて種としてのカルディアノンは滅亡するという末路を辿った。また、惑星ロークでは魔王アスモデウスを崇めるシュドネイ教に接触しており、その教祖がロークの人間を模したMPである可能性が高く、危うくロークもカルディアノンと同じ運命を辿っていた事になる。
意思疎通の手段を持ち、明確な侵略意志を有していなかったスコピアムはMPよりは安全だが、一歩間違えればMPと同じ末路を辿っていた証明でもあるだろう。かつてのMPが未開惑星保護条約締結のきっかけとなったように、スコピアムは未開惑星保護条約をベグアルド人に一定の意義があると認めさせることとなる。
関連タグ
スターオーシャン6 JJ DUMA ボルドール・イル・ヴァイル
類似生命
ELS――機動戦士ガンダム00に登場する変異性金属体。融合によって相互理解を図るのは同じだが、言語ではなく頭の中での対話を行うため、それらが侵略と誤解されてしまう。DUMAに相当する言葉によって意思疎通を図るメッセンジャーがいないのも誤解の原因の一つ。
フェストゥム――蒼穹のファフナーに登場するケイ素系の生命体。ミールと呼ばれる所謂総統に類する上位の結晶体が生み出している。当初は個体という概念を持たなかったが、北極ミールが破壊された後、分裂したミールごとに群れという形で独自のネットワークを形成する。人類との敵対、共存の模索、或いは人類や他の群れとも距離を置くといった分裂が発生している。