概要
主にプラスチックを素材としたプラスチックモデル(プラモデル)に対し、木材や金属といった身近な素材を使用して組み立てるキットである。
キットとしても発売されているが、材料を集めて一から自作する強者もいる。とはいえ、初期のころはキットは存在せず、自力で製作するモデラ―のほうが多かったのだが。
現在では主流となっているプラモデルもここから分岐したものであり、加工しやすいプラスチックにしたことでユーザーの製作ハードルを下げたものである。
ソリッド(solid)とは、英語で固体または中実(中が詰まっていること)を指す言葉であり、フライングモデル(グライダー模型やラジコン等の飛行可能な模型航空機)のように木材や竹などで構成された骨組みに紙や布などの外皮を貼った中空の模型に対するものである。
木製の模型は1920年代から始まったとされ、プラモデルが一般化する前のスケールモデルはソリッドモデルが主流であった。
プラモデルと異なりギミック持ちのキットはほぼない。あくまでディスプレイモデルであり、ある程度小さいものでもそれなりの重さがある。当然ブンドドには向かない。
木製の家屋や城などの建造物のキットもあるが、これも厳密にはソリッドモデルである。
なお、レジンキャスト製のガレージキットや3Dプリンターで作成したモデルはソリッドモデルではあるがその名称で呼ばれることは少ない。
日本でのソリッドモデル
日本でも少し遅れてソリッドモデルの販売が開始されている。現在ではプラモデルメーカーとなっているアオシマも最初に発売したキットがソリッドモデルである(同時にフライングモデルも販売)。
第2次世界大戦前までは自作のソリッドモデルが多く製作されており、開戦後は識別用模型としての用途が評価され、軍の主導による展示会も催された。当時は「實體(実体)模型」という名称も用いられたようだ。
敗戦後模型飛行機は戦争を意識したモデルとして禁止されたが1948年頃には解禁、競技会などの活動も再開された。また、1951年創刊の「航空ファン」を始めとする航空雑誌にソリッドモデルの製作記事が掲載されたことにより流行のきっかけを作ることとなり、各地にソリッドモデルの愛好者のクラブが創設されることになる。
1950年代になると静岡を中心とした多くの模型メーカーから飛行機、艦船、戦車などの木製の組み立てキットが多数発売されている。初期はブロック状や板状の木材がパーツとして入っており、それをユーザーが加工して制作するためハードルが高かった。そのことを察したメーカーはパーツを加工済みにし、組み立てやすくした。後に立体的な曲面加工を施したキットも作られている。
1958年末には最初の国産プラモデルが発売されたが、当初は期待を下回る売り上げしか上げられなかった(知名度が低かったのに加え、ユーザーの多くが模型はハードルが高いと認識していたため)。しかし、テレビ番組の提供などの宣伝活動によりプラモデルの人気は上昇、1960年代に入ると木製模型メーカーの多くがプラモデルの生産に参入し、急速にプラモデルへの切り替えが進むこととなる。
また、過渡期にはプラスキック製の部品と木製の部品を組み合わせた製品も発売されている(後の時代に発売されたソフトビニールキットとプラスキック製部品とのハイブリットキットと同じと思えばよい)。
プラモデルの普及により年少者の関心はプラモデルへと移ったが、各地のソリッドモデルクラブの多くは活動を継続した。世界(アメリカなど)ではソリッドモデルが衰退していったのに対し、日本のソリッドモデルはクラブ会員と一部の愛好家を中心に生き残り、独自の発展を続けていくこととなる。その中で、オールアルミモデルやパネルごとに分割して寄木細工風に仕上げるモザイクモデルなどの日本独自の技法も生み出している。
キャラクターモデルとしてのソリッドモデル
そもそもキャラクターモデル自体がプラモデル普及後に現れているジャンルであるため、ソリッドモデルキットとしてはほとんど見かけない。あくまでソリッドモデルはスケールモデルとしての趣が大きいものであったといえる。
とはいえ、木材や粘土などでキャラクター等の形状を作り出しているモデラ―もおり(これらをゴム等で型を取り、それで複製をし製品化したものがガレージキットとなる)、なかではそれに可動や変型機能を織り込んで製作した人物もいる。
特撮の撮影で使われているミニチュアやプロップもソリッドモデルといえる。他にも形状試作として製作する方式もあるが、これらはワンオフに近く、やはり一般には手の届かないものであった。
しかし最近ではわずかではあるが一般にも手の届くキットが存在しており、木製のガンダムキットなどのキャラクターモデルが販売されている。また、3Dプリンターの普及によりソリッドモデルとして出力したキャラクターモデルも生み出されている(ただし個人製作レベル)。
関連タグ
プラモ狂四郎:劇中にソリッドモデルが出ている模型マンガで、木製のガンダムまで登場した。