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タブレット閉塞とは鉄道の運行方法の1つ。

列車同士の衝突事故防止のため、指定された列車に通票(タブレット)を渡し、その列車以外を走らせないための仕組みである。

概要

鉄道は馬車自動車と違って線路の上しか走ることが出来ないため、1本の線路は基本的に一方通行となる。ある程度以上の需要がある区間であれば線路を2本(以上)敷くことができるが、そうでなければ(信号所)間は対面通行とせざるを得ない。

そこで安全のために、1つの区間につき許可された列車以外を侵入させない仕組み、つまり閉塞という概念が考案された。


タブレット閉塞は、受け取ったタブレットと呼ばれる金属製の円盤を持った列車だけがその区間を走行できるというもの。

タブレットの中央には穴が、縁には切り欠きがあり、区間によって形が決められている。

代表的なものは丸、三角、だ円、四角などで、例えばA駅からB駅は丸、B駅からC駅までは三角、C駅からD駅までは四角といった具合に隣接する区間の形は必ず異なるものとなる。


タブレットは受け渡しがしやすいようにワイヤ製の大きな輪っかがついた革製の「タブレットキャリア」で運ばれることが一般的で、駅員以外が目にするタブレットといえばだいたいこの姿である。


通票を用いる閉塞

厳密にはタブレット閉塞といえば後に述べるタブレット閉塞機を用いたものであるが、これに似た方式で指定されたトークン(通票)を持った列車のみが走行できるという閉塞方式は他にも存在する。

事業者や媒体などによって呼び方が違うこともあるので注意。

スタフ・通票

最も原始的なものは、スタフ式・通票式と呼ばれるものである。通票は1区間につき1つで、これを持った列車以外は通行できず駅で待機することになるので、正面衝突は起こらないわけである。


事業者によって呼び名が異なるが、原理は同一と考えて良い。

  • 国鉄では、タブレット閉塞も一括して通票閉塞と呼んでいたようである。

スタフは杖状(棒状)の金属製の通票で、スタフの異義語としての意味合いの「通票」はタブレットと同じく円盤状のものを指す。(とはいえ現在日本で原義通りのスタフを使っているのは名鉄築港線津軽鉄道だけである)

  • 逆に複数本の棒状のスタフを機械を用いて管理するシステムもあった。
  • JISによると「スタフ式」の定義は通票1個を用いて運行する方法を指すため、タブレット閉塞同様に円盤状の通票を用いるものもJIS式に言えば「スタフ閉そく」である。

ただ、これは問題があって、列車が必ず交互に通行するのであれば問題がないが、例えばA駅からB駅への列車を2本連続で走らせる、というダイヤは組めなくなる

票券閉塞

通行許可証(通券)と通票を併用するもの。


例えばA駅からB駅に2本の列車を連続して走らせる場合、両駅が電話などで打ち合わせを行った後、最初の列車に通券、次の列車に通票を渡して運行させる。(3本以上の列車を連続させる場合は最後の列車に通票を渡す)


通券は通券箱と呼ばれる頑丈な箱に収められていて、通票を鍵として差し込むことで開く。

つまり通票がある駅からしか使用できない。


タブレット閉塞

前置きが長くなったが、タブレット閉塞はこの問題を解決したもので、列車の運転士は駅から指定された通票を受け取らないとその区間は走れないというのは先の2つと同じである。

タブレット閉塞は通票の管理をタブレット閉塞機(通票閉塞機)と呼ばれる機械で行うもので、閉塞区間の両端にある閉塞機は電気的に接続されている。

1区間につき両駅の閉塞機に合計で複数個のタブレットが格納されているが、一度に取り出せるタブレットは1個のみである。


一方で先に述べたものと違って、タブレットそのものは両方の駅あるため、例えば

  1. A駅からB駅に向けてタブレットを持った列車①が出発
  2. 列車①がB駅に到着後、臨時に同方向に列車を走らせる場合

であっても両駅で打ち合わせの上で所定の操作を行えば出発駅からタブレットを取り出せる。

ただし、これには到着側の駅でタブレットがタブレット閉塞機に格納される必要がある。


原則として1方向に2本連続して走らせることができない通票(スタフ)閉塞や、ある列車の出発前でしか続行列車を設定できない通券閉塞と違ってダイヤの自由度はかなり高くなる。


タブレットの交換

列車が指定された区間を走行する際には駅係員からタブレットを貰う。

ただ、対向列車がある場合は対向列車からタブレットを受け取り、自列車のタブレットを渡すこともある。

通過列車のタブレット収受

優等列車や貨物列車など、駅に停車しない列車でも、ホーム上の受器、授器と呼ばれる器具で停車せずに受け渡しが可能である。

タブレットキャッチャー』が詳しいので割愛。


運転士(か運転助士)はそれまで走行していた区間のタブレットキャリアを受器に輪投げの要領で投げ入れて、授け器にセットされた次に走行する区間のタブレットを受け取る。(喩えは悪いが引ったくりの要領である)

とはいえ、線形改良などで通過速度が上がると、タブレットの受取りで乗務員が怪我をするリスクが高まったため、車両側にタブレットキャッチャーが取り付けられるようになった。


このように停車しなくてもタブレットの収受自体はできるのだが、受取に失敗した場合はその区間に進入できないので非常ブレーキをかけてその場に停車して回収しなければならなかった。



終焉

ごく原始的な通票閉塞であれば(職業倫理に依存するが)ほぼ事故は起こり得ない。

タブレット閉塞も電気信号を使うシステムだが、20世紀に入った頃には技術が確立された古典的なもので、機械としては原始的な部類に入る信頼性が高いものである。


ただし、人が主役となる以上は人為的ミスは避けられず、加えて人件費という問題が存在する。

このため、自動閉塞などへの置き換えが進められている。

外部リンク

日本工業規格 E3013:2001

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