概要
植物由来のタンパク質やアルカロイド、金属イオンなどの巨大分子と強固に結合して、難溶性の塩を形成する性質を持つ水溶性化合物の総称。
樹皮や葉、種子などに含まれており、ポリフェノールと呼ばれる成分としても知られる。
名前の由来は「皮を鞣す」という意味の英語「tan」で、抽出されたこの物質は、古くから動物の原料皮から不要なタンパク質を除去し、安定させる効果を見込まれ製革の鞣し作業に用いられてきた。
また黒色染料としても用いられ、日本で江戸時代まで行われていた風習であるお歯黒の素材の一つである。
現在は化学合成も可能であるが、主にウルシ科植物ヌルデに生じる虫こぶ「五倍子」や、ブナ科植物の「没食子」に含まれるものを原料としていた。
なお、この物質が含まれている植物体を口にすると、強い渋みが口腔内に感じられる。
含有している食品の中で代表的なものとして、お茶に含まれているカテキンが結合してできた紅茶や番茶のものや、赤ワインの渋み、ドングリや栗の持つ渋みや渋皮、渋柿などが知られている。
実は渋みを感じる原理は、口腔内や舌の粘膜表面のタンパク質に結合して変質させているからであり、本来は味覚では無く触覚や痛みに類する感覚であるといわれている。
そのため、摂取量が多かった場合には粘膜を痛めてしまうある種の毒となる。
しかし、粘膜の分泌を抑える効果があることから、止瀉作用や整腸作用を期待して漢方などの薬として用いられることもある。