ドウグロライオンタマリン
どうぐろらいおんたまりん
別名:キンクロライオンタマリン。
マーモセット科の中では最大の猿の仲間であるライオンタマリン属の一種。
狭義のタマリン(タマリン属)ではない。
ブラジル東部のバイア州にのみ生息。
顔と手足が金色で、他が黒地金のフサフサした毛を持つ樹上性の猿の仲間。
カラーリングはどことなくギターのサンバーストっぽいのが特徴で、頭部がライオンの鬣のように見えることが名前の由来になっている。
樹上性で、地上3~10メートルで生活する。
食性は雑食。果物や昆虫、カエルなどの小動物、まれに天然ゴムも食する。
睡眠から覚醒すると、まず栄養価の高い果実を食べ、エネルギーを補充してから小動物を狩ると言われる。
2~11頭の群れで生活するとされる。婚姻制は一夫一婦や一夫多妻が確認されており、詳細は不明。
行動範囲は40~320Haと広い。これは、食料の枯渇を防ぐためと言われる。
また、縄張りの境界は不明瞭と思われ、領域が他のグループと重なることもある。
学名はLeontopithecus chrysomelas(金色の黒のライオン猿)
- leonto-(接頭辞『ライオンの』)
- pithecus(男性名詞『猿』)
- chryso-(接頭辞『金色の』)
- melas(形容詞『黒い』)
学名はラテン語の統語・音韻・書法に則って命名されるが、上記の形態素(単語の部品)はいずれも古代ギリシャ語由来である。
英語名は"Golden-headed lion tamarin"(金頭ライオンタマリン)
朝鮮語(韓国語)名は「ファングムモリサジャタマリン」(より発音に忠実に書くと『ホヮングンマォリサヂャタハマリン』に近い)。
漢字で書くと「黄金モリ獅子タマリン」。
「モリ」は朝鮮語の固有語で「頭」を意味するので、概ね英語からの直訳である。
和名の「ドウグロライオンタマリン」は、英語や朝鮮語とは逆の発想と言える。
また、別名に「キンクロライオンタマリン」もあり、これは学名(ラテン語)と英語名の折衷案的なものである。
アニメやゲームといった日本のサブカル文化において、名前がシュールギャグに使用されることがある。
詳細はキンクロライオンタマリンの記事を参照のこと。
「キンクロ」という語感のカタカナ語にも和語にも聞こえる奇妙さ、ほどよい長ったらしさ、「ライオン」で終わると思いきや「タマリン」という聞き慣れない動物名で結ぶ意外性によるものだろう。
同様の例として、セイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシ、スベスベマンジュウガニなどが挙げられるが、いずれもどのような生き物か概ね想像できる。一方「タマリン」は認知度の低さゆえに大まかな姿すらにわかにはイメージしづらく、ナンセンスさの演出にもってこいなのかもしれない。
「キンクロライオンタマリン」の記事にて、長らく「謎の生物」とされていたが、れっきとした実在の生物である。
また、近縁種のゴールデンライオンタマリン(Leontopithecus rosalia)と混同されていたが、本種の学名は先述の通りLeontopithecus chrysomelasであり、同属別種(現生人類とネアンデルタール人程度の差)である。
もっとも、先述の通り本種の生態はまだまだ謎が多く、謎の生物と言ってもあながちまちがいではない。