概要
幼馴染の高校生の男女がSMプレイを通じて互いの関係を意識し合う姿を描いたラブコメ漫画。
2008年から『ヤングアニマル嵐』(白泉社)で連載開始、2009年から『ヤングアニマル』に移籍して連載している。また2010年から『ヤングアニマル嵐』で本編より少し時間が進んだ話の『ナナとカオル Black Label』が連載。また同誌にてせんせいのお時間等の作者ももせたまみ氏による4コマ版『ナナとカオル ぴんくぴゅあ』も連載されていた。
これまでに実写映画とアニメ(単行本の付属DVD)が作られた。
あらすじ
高校生の千草奈々(ナナ)と杉村薫(カオル)は幼馴染で、アパートの隣部屋に住み同じ高校に通っている。
が、ナナは学校では文武両道のヒロインで、カオルにとっては遠い存在となっていた。カオルはナナに対してSMプレイの妄想に明け暮れ、
一方ナナはカオルの事をちょっと気にしつつも、人の良さが災いして気が張り詰め、成績も伸び悩み、丁度いい息抜きの方法を探していた。
そんなある日、いろいろあってナナがカオルの持っていたボンデージ衣装をうっかり着て脱げなくなってしまうハプニングが起こる。
ここぞとばかりにビビリながらもナナを弄びだすカオルだが、途中で我に返り衣装のベルトを壊して脱がせてあげる事でどうにか事無きを得た。
あまりに刺激の強い体験に頭が真っ白になってしまったナナは、テスト前日だったにもかかわらずそのまま寝てしまうのだが、どういうわけかテストの成績は満点だった。
実はあの時、カオルに弄ばれた時に味わった恐怖や刺激、その最中込み上げてきた謎のドキドキする感覚が息抜きになっていた事にナナは気付く。
数日後、意を決してナナはカオルにお願いした。
「・・・あのね、また、アレみたいな事、してほしいの・・・。」
登場人物
杉村薫
背が低く顔も成績もイマイチで、学校では"キモムラ"とあだ名で呼ばれている。一言で言うならムッツリスケベで、SMグッズを集めては妄想にふけるのが趣味。手先は器用。
ナナに対して幼馴染以上の想いを抱えているが、同時に自分とナナでは絶対に釣り合わないと諦めている。そんな鬱屈したジレンマに悩んでいた頃にSMという世界に出会い、以来すっかり虜になってしまった。
初めのうちは、ナナを相手にSMプレイができるという願ったり叶ったりな状況に内心舞い上がっていたが、「息抜き」を繰り返す内に、自身のナナに対する想いと、ナナの心の底にある苦痛に向き合っていく事になる。
「息抜き」中の立場はS側。先生と呼び敬愛するSM小説家"更科修太郎"が説く「SMにおいてはSが全ての責任を持つ」事を常に心掛け、ナナに必要以上の傷を付けまいとしっかり道具を手入れし、「息抜き」の計画も間違いがないよう毎度毎度綿密に立てている。
万が一「息抜き」の事が周囲にばれた時には、全て自分がナナに無理矢理やらせていた事にしてナナだけは助かるようにすると覚悟を決めている、キモヲタの皮を被ったイケメン。
千草奈々
高校2年生の女子。本作のヒロイン。黒髪ロングで左目下に泣きぼくろがある。
気持ちぽっちゃりだがナイスバディな巨乳系美少女。
成績優秀・スポーツ万能で周りからの信頼も厚い。・・・但し、料理に関してのみいろいろと絶望的。
未だはっきりと自覚が無いものの彼女もカオルに対して想いを寄せており、信頼もしている。口には出さないが、カオルが"キモムラ"などと呼ばれ周りから忌み嫌われている事が気に入らない。その信頼は「息抜き」を始めて以降も変わらないどころか、むしろ強くなっている。
実はカオルと並んで結構な妄想癖があり、ちょいちょいカオルとのロマンチックなシチュエーションを一人思い浮かべてはキャーキャー騒いでいる。無論「息抜き」を始めてからはそっちの妄想もはかどってしまい、一人で顔真っ赤になる事もしばしば。
「息抜き」中の立場はM側。初めは勉強を捗らせる為の文字通り息抜きのつもりでやっていたが、回を追うに連れ、ナナが長年抱え続けていた心の底の苦痛が浮き彫りになってくる。
ナナは人が良く、頼まれると断れない性分なのに加え自身は人に頼るのが苦手。なまじ優秀で信頼が厚い為に何かと面倒事を背負ってしまいやすい。それは学校の友人はもちろん部活の後輩や先生にまで、挙句には離婚後も中途半端な関係を持っている両親にまで縋られている。
それ故ナナには本当に心を許せる人間が誰一人おらず、どこにいても誰といても自分の辛さや本音を吐き出せないという苦悩を抱えていたのである。
が、カオルだけはこれに気付き、「息抜き」を通してナナに自身と向き合わせ、最後には今まで抑圧し続けてきた本心を吐き出させる事に成功。カオルのおかげでやっと心を楽に保てるようになったナナは、カオルを本当の自分をさらけ出せるただ一人の相手として受け入れた。
・・・が、ここまでやってもまだ二人は告白していない。
館涼子
ナナ達とは別の高校に通う高校2年生の女子。本作のもう一人のヒロイン。ショートカットで褐色肌。
ナナとは対照的にスレンダーで引き締まった体型。性格も活発でボーイッシュ。一人称は「ボク」。
陸上部に所属しており、競技会でナナと対決した事もある、いわばライバル的存在。
ひょんな事からナナとカオルの「息抜き」の事を知ってしまい、初めは二人の関係を異常だと言って頑なに認めなかった。挙句その異常さを証明するために強引に「息抜き」に割り込み参加するが、結果逆にすっかりハマってしまい、今では「息抜き」の事を知る数少ない仲間となっている。
ナナとカオルの互いの想いには気付いており、二人に茶々を入れ掻き回しながらも心根では応援している。
橘満子
カオルがよく行くアダルトグッズショップの店長。
一見大人のおもちゃ屋の店長とは思えない上品な印象の美女だが、中身は筋金入りの痴女でありドM。ことSMに関してはかなりうるさく、カオルやナナに何かとアドバイスしたり世話を焼いてくれる、二人の「息抜き」の水先案内人。
別誌で単発連載された際に初登場し当時は名前も出なかったが、あまりにキャラが濃かった為か(?)後に本編にも登場。さらに『Black Label』では、ナナの進学志望の東大出身であることや、カオルが先生と呼び慕うSM小説家「更科修太郎」が"ご主人様"である事が判明し、三人目のヒロインともいうべき活躍を見せる。
更科修太郎
カオルがSMの師と仰ぐ官能小説家。本編では名前のみ出ていたが、晴れて『Black Label』にて登場しカオルと初対面する。
小心者だが根は純粋だったりとカオルと似ている所が多く、はたから見ているとまるで父と子のよう。
実はとあるpixivユーザー(活動自体はネット黎明期かそれ以前から)がモデルらしいがはたして・・・?