実写版演者:綾瀬はるか(本編)/清原果耶(少女期)/横溝菜帆(幼少期)
概要
上橋菜穂子の異世界ファンタジー小説である守り人シリーズ、またそれを元にしたテレビアニメ及びテレビドラマシリーズ「精霊の守り人」の主人公。
「短槍使いのバルサ」の通り名を持つ凄腕の短槍使いの女用心棒。物語開始時は30歳。
カンバル王国での政争で親を失い、父の友人だったジグロに助けられる。放浪中にジグロから短槍術を習い、ジグロ死後は用心棒稼業をしている。
ジグロとの逃避行の中で数々の修羅場をくぐり抜けてきたこともあり、作中では大陸中の闇社会で名の知れた経験豊富な実力者である。長年培った技術と機転、強靭な精神力で人間の戦士との戦いはもとより、異界の怪物との戦いをも乗り切る。しかし物語の後半になると、少しずつ身体能力の衰えに悩まされるようになっていく。
タンダとは放浪中に知り合った幼馴染で、槍の稽古で怪我をする度に彼の治療を受けており、タンダを一番大事な存在と思うようになる。
作中での活躍
『精霊の守り人』
川で溺れかけた新ヨゴ皇国の第二皇子・チャグムを助ける。チャグムは水の精霊の卵をその身に宿していたが、国の始祖が精霊を倒した伝説があり、実父である帝は国の威信を守るため皇子を殺そうとしていた。
チャグムの母二ノ妃からチャグムを守って欲しいと依頼され、バルサはチャグムを王宮より連れ出す。帝の追っ手から守りながら精霊の卵を孵すべく、呪術師トロガイやその見習いであるタンダと協力し始める。
チャグムを守りながら、かつて自分を守り育てたジグロの立場を経験し、己の過去と向き合うことを決める。
『闇の守り人』
養父ジグロの関係者を訪ね、整理をつけるため、25年ぶりにカンバル王国を訪れる。故郷ではジグロは裏切り者の汚名を着せられていた。バルサは陰謀の秘密を知るユグロに追われる身となる。
同じ頃、35年ぶりに山の王の扉が開き、儀式が始まろうとしていた。カンバル王国の重要な資源であるルイシャ<青光石>は、<王の槍>が山の王の儀式に勝利することでしか得られないものであったが、ユグロは山の王を武力で征服しようとしていた。バルサはその企みを阻止するために、用心棒として儀式場に向かい、ジグロの魂と対話する。
『夢の守り人』
新ヨゴ皇国に戻ったバルサは、放浪の歌い手ユグノを助ける。彼の使命は夢の中で咲く花の養分として、多くの人間を夢に誘うことであったが、夢を司る花番は何者かに乗っ取られていた。
同じ頃タンダは、夢に囚われた姪を呼び戻すために魂を飛ばし、花番の罠にかかってしまう。タンダの体は意志を持たぬままユグノとバルサに襲いかかる。バルサは、トロガイやチャグムと共にタンダや夢に逃げる人々を助け、かなわぬ人生について考える。
『神の守り人』
タンダと共に草市に出向き、タルの民の兄妹と出会う。妹のアスラは、かつてこの地を恐怖で支配した恐ろしき神をその身に宿していた。アスラの力を葬り去ろうとするロタ王国の密偵スファル、その娘だが父とは異なる展望を持つシハナなど、様々な思惑の者達からアスラを守りつつ、ロタ王国建国の祭儀場に向かう。破壊の力を「神」と信じようとするアスラを見て「命を救うだけではこの子を救えない」と苦悩する。
『天と地の守り人』
タルシュ帝国軍が新ヨゴ皇国に迫るなか、ロタ王国やカンバル王国と同盟を結ぼうとするチャグムを守るよう、宮のチャグム派の密命を受け、バルサはロタ王国でチャグムを探し始める。(第一部)
チャグムと共にカンバル王国に向かい、王都を目指す。一時はタルシュ帝国と組んだ王の槍に囚われるも、ロタ王国の密偵と協力してカンバル王に謁見する道を探す。(第二部)
チャグムと別れ新ヨゴ皇国に向かい、四路街の人々をロタに逃す。戦で左腕を負傷したタンダを見つけ、彼を生かすために自ら彼の腕を切断する。(第三部)
『「守り人」のすべて』収録「春の光」
タンダと共に暮らしている様子が描かれる。
『流れ行く者』
13歳頃、自らも流れ者であるバルサが、各地で流れ者の悲哀を目にする。(タンダの村で稲刈りや祭りに参加し、村の外れ者を弔う「浮き籾」、賭事師の老女と出会い、彼女の身分的制約と苦悩を知る「ラフラ<賭事師>」、年老いた護衛士の最期に関わる「流れ行く者」、トロガイ達の元に戻る「寒のふるまい」。)
『炎路を行く者』収録「十五の我には」
15歳、酒場に住み込みで働いていた折に、先の旅で自分たちを裏切った護衛士の男と出会う。彼らに嵌められたバルサに、ジグロは詩を吟じてみせる。
『風と行く者』
新ヨゴの戦から1年半後、タンダと出かけた草市で、かつて共に旅した風の楽人たちと出会う。彼らの護衛として旅をするなかで、かつての旅を思い出し、また以前から続く氏族同士の確執に関わっていく。
実写版の設定
短槍使いの女用心棒。カンバル王国出身。
6歳の時、王室の陰謀に巻き込まれ、父親の親友ジグロとともに祖国を脱出した。
追っ手に命を狙われる毎日を過ごすなかでジグロから習った【短槍】を武器に用心棒として生きている。
主に商隊の護衛などを生業とし、商人からの信頼も厚い。
タンダは旅の途中で出会った幼馴染。
実はタンダから想われていて、時々さりげなく気持ちをアピールされていたりするが、バルサはまったく気がついていない。
原作との性格の違い
ドラマ版のバルサは、原作の成熟した大人なバルサと比べると、若くて未熟で、闘犬のような荒っぽさをどこか残した性格として描かれている。
ドラマは、愛情の見せ方すら知らなかったバルサが、チャグムとの交流の中で成長していく話となっている。
第一部
新ヨゴ国の王子チャグムが川に落ちる所に遭遇したバルサはその縁で二ノ妃からチャグムを連れて逃げるように依頼され、仕方なく用心棒となる。
最初は、幼く気位の高いチャグムを持て余し気味なバルサだったが、帝や魔物からチャグムを守りながら旅を続けているうち、いつしかバルサとチャグムとの間に深い信頼関係が築かれていた。
だが、チャグムが宮に帰らねばならない日が来て、二人の旅は終わる。
夏至祭りの日、帝と、今は皇太子になったチャグムの見る前で、群集に紛れ現れたバルサは、国賓として新ヨゴ国に来ていたカンバル国王ログサムの命を狙い手裏剣を投げた。
第二部
月日は流れ4年後、新ヨゴ国のお尋ね者になったバルサはロタ王国で用心棒として生きていた。
ある日、バルサはタルの民の兄妹を助ける。妹のアスラは破壊神を召喚する異能の持ち主で様々な陣営にその身を狙われていた。バルサはアスラの用心棒として旅をすることになった。
第三部
タルシュ帝国の戦が始まろうとしていた。バルサは、ロタ王国とカンバル王国との同盟を結ぼうとするチャグムの用心棒となり、共にカンバル王国へと向かう。
カンバル国王ログサムは、貴重な宝石をもたらす山の王の扉が開いたのを好機とし、山の王を征服しようとしていた。バルサは親の仇でもあるログサムに捕らえられ、自らに協力すればチャグムの同盟に応じると告げられる。バルサは山の王の儀式場で、ヒョウル<闇の守り人>と対峙する。
新ヨゴ国では、タンダが草兵となり、負傷していた。バルサは新ヨゴに戻ると、タンダを探し始める。