概要
リシカシュヤパと女神ディティの子のダイティヤ族(アスラ)で、この名は「金の衣を着たもの」という意味である。
かつて全ての大地を海底に沈めるという偉業を成したヒラニヤークシャの兄で、アヴァターラである猪ヴァラーハに倒された弟の敵を取るために、獣に自らの身を喰わせるという苦行を完遂し、ブラフマー神より「神にもアスラにも人にも獣にも昼にも夜にも家の中でも外でも、地上でも空中でも、しかもどんな武器でも殺されない体」を授けられた。
その力により無敵の存在となったヒラニヤカシプは三界の支配に成功したが、息子プラフラーダはあろうことかヴィシュヌ神を崇拝しており、いくら叱りつけても「ヴィシュヌはいつでも何処でも我らのそばに居る」と言い信仰を改めなかった。
怒り狂ったヒラニヤカシプが「この柱の中にもお前がいう神とやらが見えるのか」と怒鳴りつけて柱を蹴りつけると、突然玄関の柱の中から(家の中でも外でもない)獅子の頭を持つ獣人ナラシンハ(神、アスラ、人、獣ではない)が飛び出し、おもむろにヒラニヤカシプを膝に載せ(地上でも空中でもない)素手で(武器ではない)引き裂いた。
なおこのときは夕刻(朝でも夜でもない)であったと伝わる。