概要
フィニー王国・ギュスターヴ12世の次男。ギュスターヴ13世にとっては実弟に当たる。両親のすぐれた術の資質を受け継いだ生粋の術士であり、12世の願う「平穏に王家を継いでくれる跡取り」としては理想的な才覚を持っていた。
しかしギュスターヴ13世が追放され、その時に13世を庇った母ソフィーも一緒に追放されたことを知ると、まだ幼かった彼は心に大きな隙間を作ることになる。そして、やがて13世を憎むことで心の隙間を埋めようとした。城にある一家が描かれた肖像画は、13世の部分だけ破られていた。バケットヒルの戦いでも13世と敵対する立場で参加する(ただし腹違いの兄弟である14世がリーダーだったため戦闘参加は消極的だった)。後に、ギュスターヴ13世がソフィーのアニマを宿していたことを知り、わだかまりも小さくなっていった。
だが同時に、13世追放後にノール侯に任命された彼は、12世の跡取りに必要なファイアブランドの儀式に挑戦しておらず、成人してから儀式に挑戦しようとするも、すでに成長していた本人のアニマ(魔力)に過剰反応して大火傷をしてしまう。
13世のアドバイスで、すでに生まれていた子供フィリップ2世を儀式に参加させることにしたが、儀式の成功とは裏腹にフィリップ2世は差し金不明の暗殺をされることになる。この現場を目の当たりにした彼は、もともと持っていた精神的な脆さもあったのか、狂乱状態になり、ファイアブランドを手にして自暴自棄となり故意に自分のアニマを暴走させ、赤い鱗のドラゴンへと自らを変質させ、もともとの自我を失いどこかへ飛び去っていった。
息子のフィリップ2世を殺したのは殺された異母弟ギュスターヴ14世の残党やカンタールの仕業と言われているが、真相ははっきりとしない。
- パーフェクトワークスの設定では、エッグの仕業であり、戦争を起こさせて犠牲者を大量に出し、それにより具現化される大量のアニマを吸い取ろうと企み、その火種を作る為に、当時操っていたアニマ教徒を使った。
- アルティマニアの設定では、逆にエッグの関与を否定されている。カンタールが黒幕じゃないかと勝手に思われないよう、あえて真相が不明になった。
そしてしばらくの後兄ギュスターヴ13世がアニマとなってこの世を去り、オート候カンタールとヤーデ伯ケルヴィンの争いが起こる。政争に劣るケルヴィンはカンタールの策略に嵌り、ハン・ノヴァを退去せざるを得なくなり、守りのない今が好機とばかりに盗賊やモンスターの集団が襲いかかり、街は火の海と化す。
兵士たちは疲弊の色濃く戦うにはあまりに無謀。だが盟友たるギュスターヴが育てた街が廃墟と化していく様をケルヴィンが黙って見ていられるはずもなく、折衷案として、防衛を買って出た息子のフィリップ3世に少数の兵士を付け、街の中に入ることは禁じながらも様子を窺うよう命じる。
しかし血気に逸るフィリップ3世は言いつけを守らず、火にまかれることも顧みずにハン・ノヴァに突入。やはり寡兵であるがゆえに圧倒的に分が悪く、炎と魔物に囲まれ万事休すとなったその時、一匹の赤い鱗のドラゴンが魔物たちを瞬く間に蹴散らし、飛び去っていった。
ドラゴンの正体は語られることはなく、これ以後姿を見せることもないものの、ギュスターヴ13世が築いた都に現れ、何より助太刀によって窮地を脱した人物の名がフィリップであることに、運命的なものを感じる向きも多いのではないだろうか。