「立ち上がれ、吠えろ、牙を剥け・・・!」
「人間共が作ったもの全て・・・この世界を破壊するのだ!!」 (第7話)
「今はそうでも、いずれ裏切る。人間はそういう生き物だ・・・」
「これ以上話す事は無い。我が願いは唯一つ。仲間の無念を晴らす為・・・人間達に報いを与える!」 (第39話)
CV:大塚剛央
概要
はるか昔のアニマルタウン周辺に生息していたオオカミ(ニホンオオカミ)達の群れのリーダーにして、ニコガーデンに棲んでいたキラリンアニマルやニコアニマル達を黒き獣へと変貌させた本作の事件の黒幕。
第3クールからはアニマルタウンに住む普通の動物たちをも黒き獣に変貌させている。
今は寂れて朽ちかけている山中の遠吠神社の御神体にその魂が長らく宿っていたようであるが、第1話直前の時点でニコガーデンに闇の波動を放って、住人達を黒き卵に変貌させてアニマルタウンの各地に放った。
卵から孵化したガルガル達がアニマルタウンの人間社会に破壊と混乱をもたらすことを目論んでいたが、わんだふるぷりきゅあの妨害でガルガル達は次々と鎮められた。
業を煮やしたガオウは第29話にて御神体を依代に受肉する形で現世に復活。さらに、眷属であるザクロとトラメの魂を呼び寄せ、狛犬像を依代に受肉させることで現世に復活させる。
ガオウは自分が力を完全に取り戻すにはまだしばらくの時間がかかることをザクロとトラメに語り、それまでは二人がガオガオーンを使役して人間社会に破壊と混乱をもたらすようにと命じた。
人物像
一人称は基本的に「我」だが、素の状態では「オレ」を使っている。
自分達を絶滅に追いやった人間達に激しい憎悪を抱いている。
ガオウの目的は、かつて自分達が住んでいた「この地」に現在のさばっている人間達の社会を破壊することであるようだ。
「この地」は現在のアニマルタウンに該当する場所だが、アニマルタウンの発祥が鏡石の伝説にあることから、この地には古くから動物と人間が共存するコミュニティがあったことが示唆されている。
ガオウは人間全体を恨んでいるが、特に「鏡石のあるこの地の人間」への怨嗟が強いようであり、闇の獣であるガルガルやガオガオーンはアニマルタウン周辺にしか出現していない(ただし、例外としてクレヨンしんちゃんにおけるコラボエピソードにおいて、ガルガルに変貌したとある某豚が別の街で出現したことがある)。
一方で疲れて倒れてしまったこむぎに水を飲ませたり、小動物達と仲良く接したりする等、人間以外の動物に対しては優しい一面を見せる事もある。
150年前の過去の人物である「スバル」の日記によれば、かつて怪我をしていたところを彼に助けられ、種族を超えた友情があったらしい。
昴の日記では「狼たちの頭領であり、部下思い」とのことで、現在の部下のザクロに対して「すまない」と謝ったことがある。
一方で、年月や復讐で内面が変わってしまったのか、人間と狼の怨恨と関係ないニコアニマルや地上界の動物たちを怪物に変えて暴れ回させていることについて「人間に尻尾を振る動物たちを真の自由に目覚めさせるため」と正当化しており、革命家気取りの認知の歪みもある。
彼自体はシリアスなのだが、ザクロからはキャラ崩壊レベルの妄想をされていたりする。
容姿・能力
ガルガル達と同型のアイマスク(配色は白地に青い目)を装着する和装姿の男性だが、人間への憎悪からか狼の獣人の姿をしている。体色は青。一切口が動かないが、会話することは可能。
手には炎が閉じ込められたような水晶の宝玉を持っており、これを使って力の行使ができる。掌は人間に近いが指先はオオナマケモノを思わせる程に長く鋭い。尚、この水晶の宝玉には奪い取ったニコダイヤの欠片の一部が込められており、この力を使って怨念(闇の)力を増幅し、行使していることが39話で判明している。
プリキュア達と直接対面した際、ワンダフルパクトとシャイニーキャッツパクトを使用不可にした。
帯は水引のようになっており、結び切りのような形で結ばれている。
結び切りは一度結んだらほどけないことに転じて「これっきり、一度きり、二度とは繰り返してはいけない」などの意味合いが込められており、慶事や見舞いや、なにより弔事等のお悔みで多く使われる。
対するプリキュア達の衣装モチーフに、何度繰り返してもよい贈り物に用いられる蝶結びのリボンが使われているのは皮肉に思える。
正体が判明するまでは目を赤く光らせた狼(あるいは狼男)の影のような姿で描かれていた。
各話エピソード
- 第7話
- 第11話
- 第16話
- 第19話
- 第23話
- 本拠地が鏡石神社よりもさらに山奥にあるニホンオオカミを祀っていると思わしき遠吠神社であることが仄めかされた。
- 第29話
- 「光の力を感じる・・・。人間達の笑い声が聴こえる・・・。」
- 「何故だ・・・!?解き放った黒き獣達は・・・、どうした!!?」
- 「幾星霜の時が過ぎようと、この怒りは消えぬ…!!」
- 今話でその全貌が判明。奥山の奥地に存在するニホンオオカミ達を供養するために建てられたと思わしき「遠吠神社」を拠点としていることが確定した。
- そして、ニコガーデンの創造主が復活した事と、解き放った黒き獣達の破壊活動が進展せず、人間達の悲鳴や慟哭がまるで聞こえてこない事に苛立ち、力を蓄えるまでの間、神社に設置された左右二体の狼像にかつての同胞達の魂を現世に呼び戻し、現状を確かめさせた。
- 第30話
- 第39話
- 約2ヶ月ぶりという長き眠りから目を覚まし、本格的に再登場。ハロウィンに沸き立つアニマルタウンにオオカミの格好をした謎の人物として紛れ込んでいた。
- コスプレと言うにも浮いた姿に周囲からは不思議がられるが、当の本人は驚くほど静かに散策するのみだった。憎悪の対象であろう人間と、彼らと共に過ごす動物たちの姿を見つめながら何を思っていたのか…
- 人混みを抜けたところで狼の格好をした少女から話しかけられるも、無視してそのまま立ち去ろうとする。「それなら……ワオオーーーーン!!!!!」「…って狼は鳴くんだよね?えっと、こういうのなんて言うんだっけ?」と自問自答する少女に、「遠吠えだ」と答えを教えるのだった。
- さらに目の前の少女は突然犬の姿に変身。流石に驚いた様子だったが、彼女を近くの川に連れてゆき、水を与えるガオウ。そして何故かニホンリスやベニマシコと言った小動物や小鳥達が全く彼を恐れず、沢山近寄ってきて仲良く接している様子が観られた。その様にこむぎは「いろはと同じ」と話し、こむぎを捜しに来たいろは達がやって来たのだが…
- 第40話
- 他の2匹と共に遠吠神社を離れ、遠吠山の岩の上に佇んでいた。
- なお、この岩は昴とガオウが佇んだ岩でもあり、現在のガオウは過去で昴が座った位置にいた。
- ザクロから話しかけられるも、無言だった。
- 他の2匹と共に遠吠神社を離れ、遠吠山の岩の上に佇んでいた。
- 第45話
- 山中の洞窟内にて、宝玉に力を注ぎ込むように瞑想中。ザクロは添い寝していた。
- 「…トラメ…」
- 遠吠山にまで響き渡るトラメの別れの遠吠えに、独り静かに呟いた。
- 第47話
- オオカミの同胞達をガオガオーンとして蘇らせ、アニマルタウンへの侵攻を開始。
- ザクロの「こんな事をしてもガオウ様は幸せにはなれません!」という声にも聞く耳を持たなかった。
モチーフ
彼らのモチーフであるニホンオオカミは、かつて北海道と沖縄県を除く日本全国に生息していた絶滅種である(北海道には同亜種のエゾオオカミが生息していたが、ニホンオオカミと同様に、1900年代前半に絶滅した)。
大型の肉食獣の一種として日本国内の生態系の上位に君臨してバランスを保ち、地域によっては大口真神として古来から篤く信仰されていたが、江戸時代に入って人間の衝突が増え1732年には狂犬病に感染したニホンオオカミが人間を襲うようになり、明治時代に入ると人間の生活圏の拡大による森林破壊、さらに牛や馬、鶏などの家畜を襲う害獣として次々と駆除されていった。
(江戸~明治時代の馬や牛というのは農家にとって開拓や農作業などに利用される現代のトラクターや車のような役割を持ち今より重要な存在であるので飼っていた馬や牛の1頭の死が生活に関わるレベルであり、実際東北地方のニホンオオカミや北海道のエゾオオカミは江戸時代から明治にかけて牧畜や開拓関係で甚大な被害を与えている)
こうした被害が続いた上に文明開化の影響で海外における「狼は悪」という考え方の影響もあり、日本でもオオカミは悪の存在としての考え方が広まっていく事になり政府主導で高額な懸賞金がつけられる事になり金目的の駆除も相次いだ。
また狼信仰のある地域ではニホンオオカミの骨を魔除けなどに用いるための狩猟や、海外から輸入された犬から感染するウイルス「犬ジステンパー」など複合的な要因が絡み1900年代の前半辺りに絶滅した。
日本の絶滅動物としては認知度が高いニホンオオカミではあるが、その絶滅理由には様々な要素や社会文化的側面が絡み専門的である為、ファン内でもニホンオオカミである正体が判明した際には意見が分かれていた。
女児アニメにおいて流石にここまで複雑かつ難解な内容を説明をするわけにもいかないためか、劇中でも「人間が憎しみを抱いてオオカミを駆除した」という解説にとどまっている。
現在では、ニホンオオカミの生き残りとも思われる動物の目撃情報が多く寄せられ、生存説が囁かれているが、そのほとんどが野犬やタヌキ、キツネ、アライグマ、ハクビシンの見間違いと考えられている(※特にアライグマは特定外来生物に認定され国内の生態系に悪影響を及ぼしている)。
ニホンオオカミが絶滅した後の日本では、ニホンジカやイノシシといった獲物の数が膨大に増え続け、農作物にも影響が出ている。
また、現在日本国内にはニホンオオカミの剥製が国立科学博物館に2体、東京大学農学部に1体、和歌山県立自然博物館に1体の合計4体が現存している。しかし、どの標本も体格と顔つきがそれぞれ異なり、特に和歌山県の剥製は日本犬の顔つきに似ていると指摘されている。
ちなみに、国立科学博物館に展示されている2体目の剥製は当初ヤマイヌの一種と考えられていたが、2024年にニホンオオカミの剥製と判明した。
前述の通り、シカやイノシシの食害に悩まされている農家の人にとっては嬉しい話だが、外来種が増えれば、生態系が破壊されるのか、逆にオオカミがシカやイノシシを食べてしまったらどうなるのかという死活問題になり兼ねない状況にある。
余談
名前の由来は猛獣の咆哮を現す擬声語「ガオー」+牙持てる者達の王からと思われる。また、我王という言葉もかけている(アニメージュ2025年2月号より)。
犬は元々狼を飼い慣らして生まれた存在である。また今回のプリキュアになった動物達は人間に拾われ救われた存在であり、ガオウ達は上記したように人間に疎まれ、絶滅させられた存在である。こむぎとガオウは、ちょうど対の存在と言える。
声優について
演じる大塚剛央氏は本作がプリキュアシリーズ初出演。
過去作の敵首領役はベテラン声優がキャスティングされることが多かったが、大塚氏は1992年生まれの(第29話時点で)31歳と本作のプリキュア声優とほぼ同世代であり(声優としての活動期間でみればメイン声優6名+敵幹部・怪物役3名の計9名全員と比べて後輩)、ふたりはプリキュアSplash☆Starの真の支配者ゴーヤーン役の森川智之氏(当時38歳)を抜いて歴代最年少、かつ初の平成生まれでの抜擢となった。
また、8年前のシリーズである魔法つかいプリキュアの朝日奈みらい/キュアミラクルを演じた高橋李依女史とは、別作品にて親子として共演している。
関連タグ
わんだふるぷりきゅあ! わんだふるぷりきゅあ!の登場キャラクター一覧
プリキュアシリーズ歴代首領
カイゼリン・アンダーグ/カイザー・アンダーグ←ガオウ→ダークイーネ
謎に包まれていた彼の真相
大量のオオカミのガオガオーンを引き連れてアニマルタウンを侵攻するガオウと対峙するニコ。
ガオウはニコの隙をついてニコダイヤの力を奪うが、ニコもガオウに一矢報い、アイマスクにひびが入り、顔がボロボロと崩れていく…。
なんと中から現れたのは人間であった。
ニコ達はその人間が、ガオウに関する日記を書いたガオウの親友・スバルだと断定する。
つまり、今までプリキュアと戦っていたのは「ガオウの姿を借りたスバル」であり、本物のガオウは現代に蘇っていたわけではなかった。ザクロはこの事実を把握していた。
第48話以降の彼の行動については「スバル(プリキュア)」の記事を参照。