誘導分岐
- イギリスのロックバンド、QUEENの楽曲。→Bohemian_Rhapsody
- 上記を歌ったボーカリスト「フレディ・マーキュリー」の半生を描いた映画のタイトル。本項で解説する。
- 「ジョジョの奇妙な冒険」第6部『ストーンオーシャン』に登場するスタンド。→ボヘミアン・ラプソディー(ジョジョの奇妙な冒険)
映画「ボヘミアン・ラプソディー」
2018年に公開された。ラミ・マレック主演。
フレディ・マーキュリーたちのQueen結成からライブ・エイドまでの話がメイン。
監督が途中でやめて交代するなど紆余曲折を経て完成した。
楽曲はQueenの原曲を使い、ラミたち俳優は口パクである。
しかし、各メンバー役の俳優が本人の指導などで猛特訓しており、本当に歌っているかのように見える。
タイトルとなったボヘミアン・ラプソディー他有名なQueenの曲がふんだんに使われている。
なおストーリーは脚色が入っていて史実通りではないが、フレディの栄光と挫折、孤独と友情を再現している。映画冒頭に流れる20世紀FOXのファンファーレもQueenのメンバーが演奏するこだわりよう。
日本では字幕版オンリーにもかかわらず各地で応援上映が行われるなど社会現象を起こし、
日本での2018年公開映画では興行収入首位の130億円を記録するなど大ヒットした。
キャスト
主要人物
(演:ラミ・マレック / 吹:櫻井トオル)
主人公。Queenのボーカリスト。
本名はファルーク・バルサラで、ペルシアにルーツのある自らの出自や歯並びに内心のコンプレックスを抱えている。「パキ(パキスタン人)」と揶揄われる事を嫌っている。
かねてより関心のあったバンド“スマイル”にボーカリストとして加わり、バンド名が代わったQueenのボーカルとしてその才能を開花させていく。自信の性的指向の自認や恋人のメアリーとの破局、生活の乱れやソロ活動などによるバンドメンバーとの不和で孤独感を深めていくが、メアリーの叱責にて自らを取り戻すも、HIVのキャリアである事が判明。メンバーと和解し、史上最大規模のチャリティーイベントであるライブ・エイドのステージに臨む事となる。
演じたラミ・マレックは本作での演技でアカデミー主演男優賞を獲得している。
ラミはフレディの歯並びの再現の為に付け歯を着用していたようで、長時間の撮影になるとかなり痛かったそう。フレディの妹のカシミラはラミの熱演を見て泣いてしまったと語っている。
邸宅に金閣寺の札が飾ってあったり、女性用の着物をバスローブに使っていたりとフレディ本人の親日家ぶりも再現されている。
(演: グウィリム・リー / 吹:北田理道)
Queenのギタリストで、レッド・スペシャルという自作のギターを使用する。
ブライアン・メイ本人も絶賛するほど外見再現は完璧。
理知的な性格で、Queenは家族との信条を持っている。
本作では「ライブでファンと一つになって盛り上がる曲を作りたい」とWe Will Rock の有名なあのリズムを産み出したシーンが描かれている。
(演:ベン・ハーディ / 吹:野島裕史)
Queenのドラマーで、金髪の美男子。フレディの妹を口説こうとするなど女好き。
ボヘミアン・ラプソディのレコーディング時では幼少時聖歌隊にいた経験を活かし、高音のコーラスで活躍する。
ポールを“クローン”呼ばわりしたりフレディの生活態度やフレディの復帰時時に辛辣な言葉をぶつけたりと皮肉屋の一面もある。
「アイム・イン・ラヴ・ウィズ・マイ・カー」に関する自虐ネタもある。
「ブレイク・フリー」のPV撮影時の女装もちゃんと再現されており女性ファンを喜ばせた。
演じたベン・ハーディはドラム未経験だったものの、毎日10時間の練習を経て本物のドラマーのような迫力ある演奏を身につけた。
(演:ジョゼフ・マゼロ / 吹:飯島肇)
Queenのベーシストで、唯一フレディより後に加入してきたメンバー。穏やかな性格でバンドメンバーの緩衝材といえる存在。
メンバーの口論時に「アナザー・ワン・バイツァダスト」のリフを思い付き、演奏して宥めるシーンがある。
バンドに加入するシーンが描写されなかったり、自分がバンドにいなかったらお前らはこうなっていたと皮肉を飛ばすフレディに「ディーキーだけは何やってるか思いつかなかった」と言われるなど不遇気味。ジョンは現在音楽活動を引退しているため、ブライアンとロジャーと違い、映画のプロデュースには全く関わっていないが、息子がSmile(Queenの前身バンド)のライブの観客のエキストラとして参加している。
メアリー・オースティン
(演:ルーシー・ボイントン/ 吹:川庄美雪)
ブティックの店員で、フレディの恋人になり婚約までした仲だったが、破局。別れた後も友人としてフレディを支え続け、心の支えとなった。
本作で自分はバイセクシャルであると告白したフレディに言った「あなたはゲイよ」はネタとして有名だが、実際にこのやりとりはあった模様。
「ラブ・マイ・ライフ」はメアリーに捧げた歌とされている。
メアリー役のルーシーはこの作品がきっかけとなり、フレディ役のラミ・マレックと実生活でも交際していた。
ポール・ブレンター
(演:アレン・リーチ / 吹:鈴木正和 )
Queenのマネジメントをしていたジョン・リードの部下だったが、同じゲイという事でフレディを誘惑。肉体関係を結んだ後個人マネージャーとなり、ドラッグやハッテン場通いなどの悪い遊びを教えたり、
ソロ活動の話を薦め、バンドに不和を作るなど暗躍。フレディの孤立を招いた。メアリーの叱責で目が覚めたフレディにより解雇されるも、腹いせにフレディの私生活を暴露した。そういった黒さから日本のファンからは「闇のゲイ」と呼ばれている。
本作唯一ともいえるヒールの役割の登場人物だが「ベルファスト出身でカトリックの父は僕がゲイと知るくらいなら死ぬとこを見る方がマシだろう」という少しだけ悲哀を感じさせるセリフもある。演者のアレンは最初ジム・ハットン役でオーディションを受けていた模様。
本物のポールは1991年にHIVの合併症で死去している。Queenと交友のあった東郷かおる子氏はポールの事を映画公開後のトークショーで、
「本当に最低なやつで大嫌いだった。辞めた時大喜びした」と語っている。
ジム・ハットン
(演:アーロン・マカスカー / 吹:花輪英司)
フレディのホームパーティにてアルバイトで給仕をしていた男性。毅然とフレディの誘惑を断った事で興味を持たれ、会話をするうちに心を通わせていき、キスをした後名前だけ告げて自分を取り戻したらまた会いましょうと去っていった。
後にフレディは「ジム・ハットン」という名前を電話帳で片っ端から探すという手段で再開し、愛を告白し、ライブ・エイドに招いている。ファンからはポールとの対比から「光のゲイ」と呼ばれている。
本物のジム・ハットンはフレディの最後の恋人になり、その死を看取った後、2010年に肺癌で亡くなっている。HIVのキャリアではあったが、薬の進歩により発症は抑える事はできていたようで、フレディの遺産ともいえるHIV基金が愛する人の命を長らえさせたといえる結果となっている。
ジム・ビーチ
(演:トム・ホランダー/吹:赤城進)
Queenの顧問弁護士。フレディにより「マイアミ」の渾名を付けられる。
真面目なようでジョークや音楽にも理解があり、ボヘミアン・ラプソディの革新性を理解していた。
後にマネージャーとしてQueenを支え、ライブ・エイドへの参加に尽力した。
本人は映画のプロデューサーとしても名を連ねている。
ジョン・リード
(演:エイダン・ギレン/吹:志村知幸)
初期の Queenのマネジメントを担当していた人物で、デモテープを聴きバンドの実力を評価し、マネジメント担当に名乗りを上げる。後にポールの策略によりフレディと決裂しクビになってしまう。
実は彼もゲイでポールは彼の愛人だった。本作ではポールの策略の被害者というポジションだが、
本作に続いて公開されたエルトン・ジョンの自伝映画の「ロケット・マン」ではゲイの恋人であるエルトンをDVや暴言、さらに悪質な契約などで縛り付けるヒール役として描かれている。
レイ・フォスター
架空の人物で、Queenが契約していたレコード会社の重役。
新アルバムの「オペラ座の夜」の製作の際、「キラー・クイーン」のような曲を収録しろと要求するが、前作と違う新しい事をやりたいメンバーに拒否される。
シングルカットする曲を決める際、レイは「若者が車を運転する時に聞ける曲が良い」と「アイム・イン・ラヴ・ウィズ・マイ・カー」を推すが、メンバーは「ボヘミアン・ラプソディ」にすべきと強く主張した為、決裂。
結果的に大損することになってしまい、「ウィー・アー・ザ・チャンピオン」の「負け犬に用はない」の歌詞のところでアップになるといういじられ方を映画内でされている。
演者のマイク・マイヤーズは出世作である「ウェインズ・ワールド」の冒頭で運転しながら「ボヘミアン・ラプソディ」を熱唱するシーンを演じており、そちらを意識した発言とキャスティングとなっている。