概要
ミルクヘア(Milk Hare:ミルク野兎)とは、スカンジナビアで伝承されている、みんなが飲むはずだったミルクを盗んで、魔女の元へ運んでいってしまうという使い魔・トロールキャット(Troll cat:化け猫)の一種。
ノルウェーではトロルノッセやトロルノア(Trollnøste,Trollnøa)と呼ばれる。
魔女は人間の髪の毛や爪、木の削りくずなどを使って生み出されたこの使い魔を使役し、家畜小屋に侵入させて牛や山羊のミルクをしこたま吸わせる。
また、家の中にしまってあるクリームも舐めとらせて、魔女の家にあるミルク桶に吐き出させることで盗むのだという。
牛が毛繕いをして吐きだす毛玉が証拠であるとされ、ある種の粘菌やアワフキムシの泡がこの使い魔の糞尿であると信じられていた。
多くは毛糸玉のような姿をしているのでトロールボールとも呼ばれており、傷つけると血の代わりにミルクを吹きだし、猫や野兎の姿をしているものを傷つければ魔女自体への攻撃になるといわれる。
スウェーデンやフィンランドではビャラ(運び屋)、アイスランド北部ではティルベリ(運び屋)、同国南部や西部ではスナックル(紡錘)と呼ばれ、魔女は霊降臨祭の早朝に埋葬された男の肋骨を灰色の羊毛で巻いたものを胸の間に挟み、聖体拝領のワインを吹きかけることで生み出すとされる。