概要
「裏世界ラボ」にて投稿されているシリーズのひとつ。広域指定暴力団大判組系「今川組」の面々を通して、現在のヤクザ社会の事情や暴力団対策法などを解説している。組の名前の大半は和菓子が由来と思われる。
のちに「ヤクザシリーズ」に改名。その後、公式HPを作成するに当たり「ヤクザ」という単語を使う訳にはいかないとして2022年11月26日の動画にて「ニート極道 牧村ユタカ」が正式名称となった。
2021年14月24日にヤクザシリーズのサブチャンネル動画として「裏世界ラボ別館 ~今川動画製作所~」が配信開始される。
2024年4月12日には宝島社よりノベライズ版「ニート極道 気がつけばヤクザになってました」が出版されている。
ヒューマンバグとの違い
同じヤクザをテーマとしたYouTubeの作品として、ヒューマンバグ大学のヤクザシリーズが挙げられるが、以下の様な違いがある。
- 警察があちらほど無能でなく、警察側にも鷲尾や森など主要人物も出てくる
- それに加えて国の法もしっかりと機能しており、暴対法や元暴5年条項、監督責任といった法律が関わってくる
- ヒューマンバグはヤクザでも「武闘派でなければ、人に非ず」といった感じで頭脳派は軽視されていたが、主人公やライバルがそれ寄りなため、ある程度扱いが良くなっている。抗争もヒューマンバグの様なバトル物ではなく、それぞれの陣営の思惑や過去が絡み合った心理戦が主になっている。
登場人物
今川組
大判組傘下の暴力団で、今川辰雄が旗揚げした組。今川が引退してからは野口剛が代行という形で組を取り仕切っている。大判組は越庵派と小倉暗派の二派が対立しており、小倉暗派が組長を服役させた要因を作った事から越庵派に付いている。
小規模ながらも昔気質の組員が多く、シノギに関しても用心棒や債権回収がメインで薬物や詐欺などには積極的ではない。それゆえに経済力の低さと兵隊の少なさが欠点で、一時期は新興勢力の鯛八木組に圧され、構成員も減ったことでかなり組の格が下がっていたが、牧村ユタカがシノギで貢献したことや今川に続いて抗争で刑務所務めをしたことで組全体が再評価される事となり、第2部の『渦』中編時点では大判組の中でも特に力を持った5団体の一角に数えられている。
牧村ユタカ(まきむら ゆたか)
現状シリーズで最も登場している事実上の主人公と言える存在。
後述の様々な功績から一見は凄い人物に見え、小塚を始めとした一部の人物からかなり慕われているが、本当は全て運が良すぎるだけに過ぎず、実際は臆病風に吹かれる事が多いタイプであり、野口からは「ただ流されて生きているだけのバカ」と本質を見抜かれ、大判組組長の大判孝蔵からも「覇気がない」と評価されていた。
野口剛(のぐち つよし)
今川組の若頭。
ヤクザの父親と水商売の母親の間に生まれるが、父の岩城は失踪しており、母親も度々スーパーの万引きなどを手伝わせた挙句に失踪し、養護施設に預けられるという親の愛情を受けた事のない幼少期を送る。その後中学でもその件でいじめを受けていたが、ある日突然岩城が現れ、いじめの件を解決してくれたのがきっかけでヤクザに憧れるようになる。その後、岩城のシノギを手伝うようになるが、18歳の頃に知り合った当時大判組幹部の今川辰雄から事の真実と、いい様に利用されている事を知り、岩城を半殺しにして決別する。そして、傷害罪で服役後は今川の人柄に惚れて今川組に入った。
自身の生い立ちから今川組を「家」として、組員を「家族」として接しており、組に害成す者を容赦無く潰す。組長の元妻、佐千子の影響で、料理を作って組員に振る舞う事を趣味としており、その腕はプロ級だと牧村も太鼓判を押している。また、牧村が「ただ流されて生きているだけのバカ」であるという本質を唯一見抜いているなど観察眼にも長けている。また、牧村がソシャゲに力を入れている事に、合法的だが組をソシャゲ会社に転換しようとしているのではと一時期疑った。ヒロを庇い、自身の手に刃を突き立てた牧村に自分が憧れたヤクザの姿を見出している(本人には言っていない)。
2021年10月16日の動画では、実は武闘派で有名な「要完組」の現組長である事が判明し、前組長が引退する事を機に大判組に譲り、要完組長と懇意にしていた野口を組長に指名したのだが、抗争で全員逮捕、刑務所に入ったため、組員が出所するまで今川組代行として今川組に籍を置いていた事が語られている。
副業として食事処・野口を経営しており、偶に店を開いている。横見タツヤや小鳥遊華といった単発物の主人公達が客として来訪している。小鳥遊華には人柄を純粋に惚れ込まれており、片想いされている。
ちなみに提供するお茶は無料。客の要望で料理をつくるためメニューが無く、会計がめんどくさいとの理由で会計は一品全て150円(場合によっては無料の時があり、全て材料費のみ)。テナントを含めるビルは丸ごと牧村の所有物であり、店は顧問税理士の横田名義で登録しており、法的に野口は雇われ店主という扱いになっているため暴対法の対象にならないとの事。
先述の父・岩城とは全体的な容姿が似ているのがコンプレックスであり、長髪だった岩城に対して野口は五分刈りにしていたり、体も「塗りつぶしたい」との思いから上半身のほぼ全体に刺青を入れている。
小塚カズキ(こづか かずき)
牧村の後輩。
経済関係の専門学校を卒業後、何気に今川組の募集を見て入社、牧村同様騙される形で今川組のフロント企業に入社する。今川組を近々辞める気だったが、牧村が代わりに鉄砲玉になって服役した事に自分のために身代わりになったと勘違いして改心し、正式に今川組の組員になり、推んで部屋住みになったが、牧村の仕事を引き継いだ事でシノギに支障すると2年程で野口に止められた。また、それ以降は牧村のことを本気で尊敬するようになる。牧村の仕事をそのまんま受け継いだとはいえ、5年間も維持させた事に牧村も相応に認めている。
コミュ力が高く、様々な方面に女性友達がおり、大量のバレンタインチョコをもらったり楓花と遊びに行ったりしている。闇金の槙野とは幼馴染。
ヤクザやマフィアの映画を見過ぎた影響で時折危ない発想をし、野口を閉口させている。
加地コジロウ(かじ こじろう)
今川組に入った部屋住みの新人。組員たちからはカジと呼ばれている。
同じく部屋住みのヒロと組んで行動している。また、ヒロとは異なり、組からは信用されておらず、そのため拳銃を渡されていない。元々は半グレに入っていたが、揉めて半グレを抜け、行き場を失くしていたところを人手不足で困っていた今川組の部屋住みを紹介され、部屋住み自体を何も知らないまま今川組に入る。それ故に何の覚悟もなく、また休みなくただ雑用をやらされたり、理不尽に怒られたり、殴られたりすることに度々不満を抱いており、ヒロと共に出所した牧村の御付きに任命された後は牧村から金を盗んで逃げることも考えていたが、後に全て運が良かったことや一部誤解があったことなど偶然が重なったとはいえそれまでやや馬鹿にしていた牧村の武勇伝を知り、彼のことを凄いと理解し始めるようになり、いつか牧村と盃を交わすことを考えている小塚に因んで自身も同じように牧村と盃を交わすことを考えるようになる。元々耳が良く、外国人相手に喧嘩を売っていた事もありある程度の外国語が分かり、その事を見抜いた牧村はこれからの今川組には中国語を話せる人材が必要と、中国語カルチャースクールに通うようになる。
そして、『今川動画制作所』では楓香に語学を教えられるくらいには成長しており、今川組に入った頃と比べると野口からも「あいつは使える奴になった」と評されたり、色々と成長著しい人物でもある。
広河原学人(ひろがわら がくと)
今川組に入った部屋住みの新人。通称「ヒロ」。
同じく部屋住みのカジと組んで行動している。また、カジとは異なり、組からは信用されており、そのため必要に応じて拳銃を持たされている。元今川組の叔父・速水がネグレクトした両親に代わって色々と世話をしてくれたことがきっかけで今川組に入りたいと思うようになり、最初から部屋住みを希望した上で今川組に入る。それ故に文句を言うカジと違って雑用をやらされたり、怒られたり、殴られたりしても決して不満はなく、むしろカジに対して辛抱するよう宥める一面を見せる。その後、カジと共に出所した牧村の御付きに任命された。出自からヤクザ社会に詳しく、牧村からも相談されるなど大いに信頼される。そして冷静沈着な性格を高く評価した牧村より、施設訪問などの代理人に抜擢され、拳銃を違和感なく携帯できるようにとオーダーメイドのブランド物のスーツ一式をプレゼントするなど、牧村から大いに期待される。亘津の騒動時に牧村が槙野と2人で会話していた際に、ヒロや野口のような境遇の人を1人でも救いたいと立ち聞きし、涙して感謝し、生涯着いていく事を決意、牧村が旗上げした時は兄弟の盃を交わす事を口約させた。牧村への執着振りを小塚とカジに進撃の巨人のミサカ並みにヤバイと言われた事がある。
竹内アキラ(たけうち あきら)
反社集団「コキュートス」の元トップ。牧村がコキュートス構成員となっていた亘津を制裁するにあたり交渉に応じている。その後、界転組からの扱いが悪くなってきたことからケツモチを今川組に切り替えようと牧村の元へ交渉に訪れるも断られている。しかし岡本による鷲尾拉致事件に協力した構成員ともども天利に消されそうになったところを牧村に助けられると、海外へ逃げるツテが無かったため身柄を守るために部屋住みの組員として加えられる。実はシルバニアファミリーの人形を集める趣味があり、その写真を撮るためのお菓子作りも得意。小塚から「第2の人生」を踏まえて資格を取らないかと調理製菓専門学校の学費を出してもらい、谷原と同じく小塚の舎弟として付き従っている。
橋本ユウジ(はしもと ゆうじ)
元コキュートス構成員。竹内や鷲尾拉致事件に協力した構成員ともども天利に消されそうになっていたが牧村に助けられ、今川組の部屋住みに迎えられている。甘美園で入院中に女性スタッフと懇意になり、また「先輩達」のそれまでの人生を聞いている内に感銘を受け、のちに甘美園で働く事になった。
北岡(きたおか)
今川組の古参幹部。界転組との抗争が始まると事務所前で見張りを務め、襲撃犯を車で轢いて逮捕されている。
今川辰雄(いまがわ たつお)
今川組の初代組長(『暴風』編では大判組の舎弟頭も務めていたことが判明した)。「辰雄」は渡世名で本名は「悟郎」。上記の動画の通り、シリーズ2番目の動画の主人公。
仁義が厚く人望があり、敵対する鯛八木組との抗争の折に組員達の事情を汲み、自身が鉄砲玉になって鯛ハ木組長を射殺し、殺人罪で服役する。出所後は足を洗って革製品を扱う「今川工房」を開業し、時折野口をはじめとする組員が訪れており、また高品質な革を使う良質な商品を扱う事で有名になる。
大判や伊佐治などの古い頃からの縁者曰く、大判組系列の中で最も怒らせてはいけない漢との事で、若い頃は大抵拳ひとつで場を収めた事で有名で、上述の鯛八木組のカチコミの件は伝説のひとつとして、今でも任侠界で語り継がれている。
牧村と盃を交わして極道の道を歩ませた張本人であり、2024年2月24日の動画ではその真意が語られる。
牧村と面接した際、人懐こい性格に反して友人が皆無という事に、心は歪で子供のままである上に友人を作る気がない事に、カタギの世界では絶対に生きてはいけないと、ならば極道という疑似家族の世界に入れて仲間を作れば良いと考え、半ば強引に盃を交わした述べている。
「ニート外伝」では若い頃の姿で登場。基本的に大判孝蔵の近くにいるが、自由奔放な大判に振り回されることが多い。大判が米兵にピンチに陥った際には任侠界で語られる通り、拳一つで米兵たちを叩きのめし場を収めた。
中村孝彦(なかむら たかひこ)
元今川組の構成員。
人の扱いや経理に長けていた事から組のNo.2のポストにいたが、妻子のために組を脱退する。しかし元暴力団にも厳しい世の中において満足な職にも就けず、一時期は麻薬の売人として金を得ていたが、のちに今川辰雄からの誘いで今川工房の経理や仕入れの担当として入社する。
上記の動画のタイトル名を見ればわかるが、ニート極道シリーズの世界線では一番古い動画の主人公だった。
今川佐千子(いまがわ さちこ)
今川辰雄の元妻兼今川組元姐。
背中に今川と同じ龍の刺青を彫っている。※動画では「辰雄」ではなく「悟郎」になっているが、「悟郎」が本名で、「辰雄」は渡世名(ヤクザ界の源氏名のようなもの)だという事が後に判明する。
40年前に銀座のクラブで雇われママとして働いていた時に、対立するクラブとバックに控えるヤクザの嫌がらせを受けて困っていた時に、客の1人で当時大判組組員の今川に助けられ、この件がきっかけで交際して結婚し、のちに今川が今川組を旗揚げして組長となった事で姐になる。姐になってからも住み込みの新人の世話に経理や賭場の管理、丸暴の対応に追われるなど多忙な日々を送りながらも今川を支えたが、今川が鯛ハ木組長を射殺した件で、彼のたっての願いで離婚し、自身も引退して娘・有希の家族の下に身を寄せ、時折今川に会いに有希や孫の茉奈と共に今川工房を訪れる。
今川組関係者
槙野大河(まきの たいが)・林田マキ(はやしだ まき)
別シリーズに登場する闇金。『ヤクザの人身売買編』で牧村シリーズとコラボするようになり、以降も度々登場している。槙野は小塚とは幼馴染。詳細は闇金の槙野さんを参照。
楓花(ふうか)
キャバクラ「モルガナイト」のキャスト。演劇に興味があり、演劇学校に通いたくて学費を稼ぐためにキャストになった経緯を持つ。2021年の大晦日の夜に勘違い客に絡まれていた所を牧村達に助けられ、夜の街で噂になっていた牧村に出会った事に感激し、また小塚とLINE交換をして以来、気の合う飲み友達として交友している。次の年のバレンタインの際は同じキャストのせいなと共にノルマを稼ぐべく小塚に無理を言って牧村を同伴出勤に誘い、逆に色々とおもてなしされて感謝する。その際に牧村から「夫のDVなどで家計に苦しんでいるキャストを甘美園で雇いたい」とスカウト役を頼まれる事となる。
のちに小塚と付き合うようになり、演劇などを観に行っている。抗争がはじまり、小塚は彼女を巻き込ませないようにとフランスの演劇学校の学費を渡し、フランスへ留学した。
横田永吉(よこた えいきち)
今川組顧問税理士で、牧村からシノギの相談も受けている金融のエキスパート。裏社会の案件を請け負うことが多く、人を見る目は確か。税理士の仕事以外にも音楽活動を行っている模様。
ガイドブックにおけるクラウドファンディングの「ヤクザシリーズ出演コース」によるキャラクター。
大判組
今川組の上部団体である広域指定暴力団。界転組や治慢組なども傘下に収めている。かつては現トップの大判を担ぐ越庵派と、新組長を擁立しようとした小倉暗派に分かれて対立しており、小倉暗派が今川を服役させる原因を作ったため、牧村が小倉暗派を襲撃することになった。その後、一部を除いて小倉暗派は組を離脱した模様。
『渦』中編時点において、組内の主要5団体には今川組、界転組、治慢組、御焼組、二重組が存在していたが、そのうち界転組が絶縁処分となり、御焼組が脱退を表明した。
大判孝蔵(おおばん こうぞう)
大判組代表。
今川とは七三の兄弟の仲でもあった。外国人負債者を人身・臓器売買などで換金しようとしたがあまり金にならず、牧村なら何とかするだろうと、あわよくば今川組から相応の金を巻き上げようと牧村に外国人の「面倒」を依頼した。そして牧村がヤクザ専用の老人ホームを設立し、留学生を介護士として働かせると聞いて驚愕、孝蔵の性格(おだてに弱い)を読んだ牧村の作戦もあって老人ホームの運営を認め、留学生を生かす事を選んだ牧村を相応に認め、さらに留学生のアンと相思相愛の仲になって結婚することとなり、以降は性格が軟化する。縁を結んでくれた牧村には感謝しており、組を持たせようかと考えるようになる。また、マル暴の森によると気分屋な性格でもあるらしく、組織編成を度々変えているようだが、それが時代の流動性に対応しているとも言われている(2021年10月30日の動画より)。
のちに野口から牧村をカタギに戻してやりたいと嘆願され、自身も本当は牧村を陽の当たる世界に戻してやりたい、しかし代わりにそれまで牧村を慕っていた者達と苦楽を分かち合えた日々を棄てるという意味でもあり、逆に虚しい人生が待つだけだから、せめて野口が牧村を留めるよう守ってくれと胸の内を語る。
「ニート外伝」で20代の頃が描かれている。曼十会幹部として弟分の今川と都内の港湾部のシマを守っており、とある揉め事がきっかけで伊佐治達と出逢う。
母親は戦災孤児でパンパンで生計を立てており、米兵との間に孝蔵が産まれてシングルマザーとして育てていたが、3歳の頃に蒸発して近所の人達に育ててもらい、中学卒業と同時に働きに出て、曼十会と縁が繋がってヤクザになったとの事。
ファム・アン
負債者の1人として大判組に拉致されていたアジア系の海外留学生。当初は臓器売買の憂き目に遭い絶望していたが、牧村の尽力により回避され感謝。さらに組長が自分達の国にコロナワクチンを提供してくれた事(本当は在庫があぶれていたため在庫処分として売りつけたもの)に感謝し、色々な交際を得て組長と相思相愛になり後妻になる。家庭的な性格で月に一度はホームパーティーを開いて料理を振る舞い、組長もアンの影響か性格が多少柔らかくなっている。
最初アンの事を「アンちゃん」と呼んでいたが「兄ちゃん」と発音的に混同するとの事で話し合って「アニー」と呼ぶ事にしている。
夫である大判孝蔵を深く愛しているが、孝蔵が内緒で牧村救出のために界転組若頭 黒瀬に接触した時は心配のあまり孝蔵が恐れ慄くほどの形相で激怒した。
大判一楓(おおばん いぶき)
大判組長と前妻に間にできた子。劇中では「イブキ」と表記される。まだ幼く、組長と前妻の離婚後は前妻が引き取っていたが、前妻が仕事の都合で海外移住するに当たり組長が引き取ることになり組長とアンとの間にひと悶着起きる事態となっている。前妻が様々な事業を手掛けている実業家で多忙だったためイブキとは私生活で接する機会が少なかった模様で、アンが真摯に接するためアンを実の母のように慕っている。スケートボードやスノーボードが趣味で、大会にも出場している。
抗争が激しくなり娘の身を案じた大判によって前妻の住む海外に移住した。
柏木忍(かしわぎ しのぶ)
大判組前若頭。大判組を巨大組織にした功労者であり、また治慢組の伊佐治組長とは幼馴染にして盟友で伊佐治自身や二人の後輩にあたる二重組の重次組長はその友誼が生涯続くものと思うほどであった。しかし代表に叛旗を翻し組を抜け、袂を分かってしまった。現在は小倉庵派代表として活動しており、全国各地に点在する別荘を転々としている。
本編では二重組先代組長、富子の葬儀への参列で初登場。周囲がざわつく中、大判代表の計らいにより最前列席(伊佐治の隣)に座った。
「ニート極道外伝」で初登場時は「三笠忍」と設定されていたが、実在人物とカブるとの理由で名字が柏木に変更されている。大病院の院長の息子で、元々は兄が後を継ぐ予定だったが、父親の重責に耐えられず大学受験に落ちたのがきっかけで自殺未遂をした上に鬱病になったため自分が後を継ぐ事となり大学に進学。育ててくれた祖父を離縁した上に兄を自殺未遂まで追い込んだ父親を恨んでおり、顔を見たくないとほとんど伊佐治のアパートに入り浸っている。
祖父は任侠界隈で有名な彫り師・三笠勇で、今川の背中に龍の刺青を彫った人物であり、伊佐治のたっての願いで背中に雷神を彫り、忍もならばと風神の刺青を彫った。この2人の刺青から界隈で「大判組の風神と雷神」と呼ばれるようになり、大判組の全盛期に大いに貢献する事となる。
界転組
大判組系暴力団で、主要5団体の一角。昔気質の今川組と異なり、組長の新界をはじめとする多くの組員が反社出身で、薬物や詐欺を主な収入源としている文字通りの暴力団。また、反社を中心に積極的に人員を引き抜いているらしく、構成員の数はかなり多い。
度重なる今川組との小競り合いを経て、『渦』中編時点で遂に大判組を絶縁されたが、それに乗じて大判組を割り、「大界抗争」を勃発させる事になった。
新界政宗/正宗(しんかい まさむね)
界転組の組長。
小塚曰く推定30代。表向きは薬物禁止を謳っている大判組の傘下にあって積極的に薬物の売買や特殊詐欺などの悪事をシノギにしている。牧村は面識が無いながらも「金のためなら何でもありな人物」と分析しており、実際に対面してからも「空気感がメチャクチャ怖い」と言っている。牧村の顔が気に入らないとして偽情報を警察に流して今川組へガサ入れに向かわせたり、部下に襲撃させようと企んだりしている。一方で律儀な一面もあり、『若頭と若頭補佐』編で牧村が黒瀬の窮地を救った際には抗争中にもかかわらず自ら牧村の元へ出向いただけでなく、礼として「抗争においてカタギに手を出さない」ことを確約している。白スーツに黒い柄シャツといったファッションのため、他の大判組幹部の中でも目立っている。
『兵隊と猟犬』編で今川組と本格的に対立するようになり、野口の要完組組員を再起不能の重体に追い込むなどしたが、自身の組員も報復に遭ってしまい、最終的には大判代表の仲裁で本部長補佐を解任された。
『親と子』編では自身の組員や傘下の半グレを襲われたことでヒロに指詰めを強要するが、牧村の機転で失敗したうえに本家出入り禁止の処分が下された。
第2部では破門した岡本に鷲尾を拉致させ、警察と大判組の混乱を招いた。そして、『渦』編で大判代表から絶縁処分が下されたが、御焼組をはじめとする複数の二次組織を連れて大判組を分裂させ、「大界抗争」を勃発させる。
『ジギリ編』では古屋の単身でのカチコミに、左腕に短刀を突き刺され、後遺症が残るほどの深傷を負う。
サブチャンネルの今川動画製作所では、黒瀬や牧村に家に入り浸られる、黒瀬の嫌がらせを受ける、ゾンビ化した世界では自らがゾンビ化してしまい野口に射殺される等、扱いは良くないが、自分の苦労を嘆きながら野口と酒を飲むことがある。
黒瀬清純(くろせ きよすみ)
界転組の若頭。
丁寧な言葉づかいをするが慇懃無礼なところがあり、また新界のことは内心嫌っているため辛辣な発言も平気でしている。
『兵隊と猟犬編』で牧村を組に引き込もうとして失敗したが、その後も連絡先を交換するなど交流を続けている。
第2部では破門した岡本に鷲尾拉致の指示を下す一方で、新界に黙ってそれを牧村に知らせるなどしているほか、『暴風』編での葬儀場で新界に蹴り飛ばされた際は、彼の首を絞めながら「時と場合を考えてください」と言い放った。意外だが、腕っ節も強く上記のように新界の首を締め返したり、柘植からの不意打ちハイキックを防げるほどには喧嘩慣れしている。
元々大手銀行員でエリートコースを約束されていたが、新海曰く「人生に飽きている」との事で、銀行を自主退職してからは裏社会に刺激を求めて界転組に入る。新海も自分には持っていないものを持っていると気に入りシノギをはじめとする事務関係を一任する。『御焼組』編にて彼が渡世入りした経緯が明かされており、天利曰く界転組ととある銀行との間で起きたトラブルに黒瀬が銀行側担当者として収拾に当たっており、頭脳派の若頭を探していたことと、ヤクザ相手に一歩も引かない態度に興味を示した新界にヘッドハンティングされる形で界転組に加入したとのこと。
元銀行員の思考を牧村に逆手に取られ、「ジギリ編」では牧村のアプリ会社に投資した結果、反社繋がりとして金融機関並びに警察にリークされ、自身の国内全ての口座を凍結された。
『御焼組』編 第3話にて天利が差し向けたヒットマンによって暗殺対象となるもこれを返り討ちにし、報復として御焼組の幹部集会が行われる施設内にある脱出ルートで天利を待ち構え、ナイフで刺殺した。
ちなみに、サブチャンネルの今川動画製作所では抗争中にもかかわらず頻繁に今川組事務所へ遊びに来るが、本編で今川組事務所を訪れたのは僅か2回だけで牧村との接触も多くはないため、視聴者が誤解する原因となっている。
岡本俊介(おかもと しゅんすけ)
※同チャンネルの「闇金の槙野さん」とのコラボ編より。
界転組幹部。
主に詐欺で利益を上げ、最近まで詐欺罪で服役していた。現在は主に闇金業者やグレーゾーンの風俗関係などを相手にショバ代をたかっている。のちに牧村の介入により槙野からショバ代をたかる事を断念した。この件で牧村にシノギの邪魔をされたと恨んでおり、マル暴の森に牧村が特殊詐欺を行なっていると嘘の情報をリークし、皮肉にもマル暴と牧村に接点ができる要因になった。ちなみに牧村は牧野から相談を受けていた事をほぼ忘れており、「思い出せないなら対した問題ではない」と彼の存在をスルーした。
第2部時点では破門されており、元々は何をやっても中途半端な人生しか送れず、地元にいられなくなったため逃げてきたが、そこでも大判組系のヤクザ・野中の駒として働かされる毎日を送っており、衝動的にそのヤクザに重傷を負わせてしまった。しかし、野中の兄弟分であった新界が現れて野中にトドメを刺したことで付き従う決意をしたという過去が明かされた。
破門後は消されそうになったが、黒瀬の指示で半グレ上がりの舎弟2人を連れて鷲尾を拉致する(その際も彼らからは終始ナメられっぱなしだった)。しかし、結果的には今川組によって鷲尾を奪還され、自身はその場から逃走したが、『渦』編において黒瀬から「確保済み」と言及された。
国見一平(くにみいっぺい)
『清濁』編で加入した元大判組の四次団体組員。
DVやらで居場所がなくなり界転組に縋ったが、ここで新界に「強い奴を殴ればお前は英雄だ」
と諭されたことから、大物を狙うことを決意し、治慢組の二次団体の補佐を討つことに成功。
その後は返り討ちを喰らったことで亡くなったが、新界からは心意気を見せてもらったとのことで、盃を渡すなどをして最高の礼を以って弔ってもらった。
治慢組
大判組系暴力団で、主要5団体の一角。今川組と同じく薬物や詐欺には積極的ではない。
伊佐治隆司(いさじ たかし)
治慢組組長で、大判組統括本部長。大判組には若頭がいない(若頭は小倉暗派として組を抜けてしまった)ため、大判組の実質的なNo.2。
野口と新界が揉め事を起こした際、2人の間に入る形で登場することが多い。野口からは「伊佐治さん」と呼ばれている。スリングショットによる射撃が得意で、自分よりも30歳くらい若い武闘派の新界を追い込むことができるほど。老齢なれど血気盛んな性格であり、カチコミなどには自ら出向こうとしては柘植に止められる有様。
「ニート極道外伝」では主役として若き日の姿が描かれており、そこでは腕っ節の強さやこの頃からスリングショットを使いこなしているシーンもある。
幼い頃に両親に捨てられ、孤児院も兼ねた寺で幼少期を迎え、17歳の頃に自立も兼ねて寺を去り、日雇いをして学費を稼ぎ、高校卒業と同時に上京した。最初は町工場で働いていたが、工場長の横暴さにキレて殴り退職したが、職員達から感謝された上に町中に噂が広まった事もあり、今は鳶職などの日雇いをしつつ、面倒事を助ける「何でも屋」を受け持っている。
無類の女好きでサブチャンネルや外伝ではその点がよく描写されているが結婚歴は一度だけで、それも若き日に隣に住んでいた身寄りのない老婦人・ハルの最期を看取り伊佐治家の身内として弔うのが目的であった。
柘植(つげ)
治慢組若頭補佐の一人。若手ながら伊佐治の運転手兼護衛を務める手練。血気盛んな伊佐治を止めるブレーキ役兼生活面でも大分サポートをしている。冷静なように見えるが、伊佐治から組を抜けるように言われたときはショックを受けていたことも。
亘津(わたんず)
「その他の登場人物」を参照。
御焼組
大判組系暴力団で、主要5団体の一角。大判組系列では唯一世襲制をとっており、当代の天利を除き御厨家の人間が代々組長を務めている。渦編において絶縁処分となった界転組に付き従う形で大判組を脱退した。
元々、地元のゴロツキを集めて勢力を拡大していったためか構成員もガラの悪い者が多いようで、安田が鶯会に加入した当時の沢渡が「チンピラの集団」と評している。
他組織の構成員や警察関係者の変死・失踪事件には御焼組が関与しているとされており、警察からは界転組以上に警戒されている。
天利由幸(あまり よしゆき)
御焼組組長。鷹揚な雰囲気を纏う長髪に髭が特徴の男。界転組が絶縁処分となった際、大判組の脱退と界転組との同道を宣言した。その後、牧村を懐柔しようと自身の組に勧誘するが、ヒロを手に賭けようとしたことにより牧村の逆鱗に触れ、腹部に発砲される。防弾チョッキを着用していたために命は助かったが肋の骨折により全治4週間の怪我を負った。以来、牧村は前述の件や御厨の件もあり、天利を心底嫌うようになる。ただし、御厨の件については牧村は天利に利用されているだけと誤解している部分があり、天利も誰かと繋がってた方がいいと懸念するなど、彼なりに御厨の幸せや人生を想っている一面もある。
荒々しさや粗暴さを感じさせない物腰の柔らかく他人と接するが、長年組内で殺しや死体処理といった汚れ仕事を担っており、組員はおろか必要とあれば警察関係者や一般人などの堅気すらも容赦なく手にかける危険人物。そのため、警察である森とは下っ端時代からの顔見知りではあるが、新界以上にその危険性を警戒されている。
2024年10月16日の動画にて、御厨との公約通りに正式に組長の座を返還する事を決意。当初襲名と同時に命を取ると御厨と約束していたが、「子供は殺した事はない」と最初から命を奪う気はなかったと話し、自身は他人に恨まれすぎたと海外で余生を送る事を決意しており、しかし憂いだけは消そうと、危険視していた黒瀬の暗殺を実行するも失敗。以降は黒瀬に報復として命を狙われることとなり、幹部集会時に一人で施設内にある脱出ルートの確認中に待ち構えていた黒瀬に遭遇。そのまま腹部をナイフで刺されてしまい、致命傷を負いながらも、御厨の身を案じて彼のもとへ向かう。そして、御厨に10年前の前組長殺害の件で、前組長が息を吹き返そうとしたため、自身がとどめを刺したと告白する。最期は己の死を受け入れつつ、「君は明るい綺麗なところで笑って生きて…」と告げて、御厨に看取られながら息を引き取った。
御厨庸介(みくりや ようすけ)
御焼組若頭。先代組長・御厨進の息子で先代からは後継者に望まれていたが、まだ若年であるとの理由で教育中との名目で若頭に留まっている。また、現役の大学院生でもある。
ヤクザのいる中で育ってきているためか、今川動画製作所では彼の素性を知らない入江に脅されたことがあったが、逆に論破し撤退させたことも。
10年前の父親にして前組長殺害事件の犯人であり、父親が息子に組長の座を譲ると同時に海外に逃亡し、若頭に殺害させる計画を立てていた事を若頭との口論で知り、逆上して絞殺。自身が未成年ゆえに組長を襲名できなく、組長不在で御焼組を解体させられ「自身の思い出の場所」が消えるよりはと、自身が大学院を卒業して組長襲名するまでの間、組長襲名と同時に自身を殺害する代わりとして天利に組長代行を命じた。
大学院を卒業して公約通りに組長襲名を決意するが、天利は最初から命を奪う気はなかったと告げられる。そして天利が「何者か」の手により致命傷を負い、死ぬ間際に結果として父親の息の根を止めたのは自分だと天利の告白を聞くも、自身の我儘で10年間組長代行を務めてくれ、父親代わりに世話をかけてくれた天利の死に号泣した。
八島
御焼組構成員。元々は薄桜組の構成員で鶯会の安田の兄貴分だった。抗争で逃げ出し、元弟分の安田の家に逃げ込んでいた。牧村と仲が良いと思い込んでいる沢渡を倒して御焼組に帰ろうと安田に協力させようとしたが、彼に拒否にされる。沢渡から兄貴分失格の烙印を押され、彼に叩きのめされてから御焼組に身柄を引き渡される。その後、命までは奪われなかったものの罰として向こう1年間は上納金を10倍払うよう命じられた。
高遠理(たかとお おさむ)
御焼組元舎弟頭。御焼組が元弟分の進に代替わりしたのを機に引退しカタギに戻った。現在は実家の呉服店を経営する傍ら、生前の進との約束で庸介の腹違いの弟・青葉と彼の母親を後見する立場にある。青葉母子の金銭感覚について諫言するなど、御焼組関係者にしては珍しく常識的な性格の人物。
二重組
大判組系暴力団で、主要5団体の一角。老舗のテキ屋集団・重次会が前身であり、それゆえ博徒系の大判組とは毛色が異なる。博徒系に馴染まない者や立ち行かなくなった独立系勢力を取り込んだ結果、組員の数ならば大判組内でも随一とのこと。重次会時代に受けた恩義から古参幹部は大判代表よりも今川組長を慕っている節がある模様。大判組と界転組をはじめとする離脱派の大抗争「大界抗争」ではあくまで中立の立場をとっており、双方も泥沼化を避けたいと了承している。『牧村奪還』編で中立の立場をとる理由が掘り下げられており、テキ屋時代からのつながりで生きている組員が多い故シノギに悪影響が出ることを懸念している模様。
『牧村のプライベート』編においても名前だけ登場しており、牧村を懐柔するために女性を送り込んでいた(丁重に帰された)。
「ニート極道外伝」では重次会として登場。テキ屋の界隈の事情を説明する。
重次久志(しげつぐ ひさし)
二重組組長。大判代表や伊佐治とは昔なじみであり「シゲ」の愛称で呼ばれている。野口は「自分一人の情で先行きを決めたりはしない」と評しており、現実的な観点から物事を考える人物の模様。
サブチャンネルでは大判代表、伊佐治、野口とともに牧村が買い取った温泉旅館を訪れ、自由奔放に振る舞う大判代表、伊佐治に手を焼く苦労人の一面を見せた。
「ニート極道外伝」にも登場。当時18歳で、家業を継ぐために高校卒業後に香具師の世界に入る。伊佐治と柏木とは高校時代からの先輩後輩の仲であり、時々騒動に巻き込まれる。
重次富子 (しげつぐ とみこ)
二重組先代姐。久志の実母であり、早世した曼十会大姐の代行として傘下の姐達の教育係も務めていた。大判代表をはじめとする曼十会傘下の要員達も大変世話になっており、「若頭と若頭補佐編」で鬼籍に入り葬儀を開催する際、派閥の垣根を越えた大々的な葬儀になった。
「ニート極道外伝」では生前の姿で登場。当時は重次会代表の妻として活動していた。いわゆる肝っ玉かーちゃん的な、世話焼きな性格の持ち主で、特に色恋沙汰には積極的に首を突っ込むほど。
伊佐治と柏木にとっては母親同然の存在であり、何かと世話になっていた。のちに柏木が大判組を裏切り袂を分った2人であったが、柏木は彼女への恩義を忘れておらず、「若頭と若頭補佐編」では無礼を承知で葬儀に訪れ、大判代表の許可もあり葬儀への参列を許され、伊佐治の隣席で再会を果たした。
重次京子(しげつぐ きょうこ)
久志の妻で二重組姐。切符の良い性格の持ち主で、久志より6歳歳上の文字通り「姉さん女房」であり、「牧村奪還編」では二重組組長として中立の立場に悩む久志を諭した。
「ニート極道外伝」では旧姓「吉住京子」として登場。大手製薬会社社長の娘で、柏木と政略結婚する予定であったが、香具師のソメと恋仲になっており、紆余曲折の末に伊佐治達の協力の元で駆け落ちした。その時に久志も協力しており、後にソメに先立たれ、久志が親身に接したのが縁で恋愛結婚する事になろうとはこの時誰も予想していなかった。
曼十会
第2部で名前だけ登場した組。由緒ある古い組で、大判代表や今川辰雄の出身母体でもあった。組織としては現在も存続しており、サブチャンネルにて野口が定例総会の議題として曼十会の盃事について言及しているほか、「牧村奪還編」では組関係者が体調を崩した矢ヶ崎の見舞いに訪れている。
万東(ばんどう)
曼十会会長。
登場時点では既に故人(90歳は超えていたとのこと)。かつてはそれなりの勢力を持っていたが、規模縮小に伴って以降は大判組の顧問として形だけの名誉職に就いていた。
矢ヶ崎(やがさき)
曼十会傘下の組の組長。大判代表の兄貴分でもあり大判代表や伊佐治からは「ヤガさん」の愛称で呼ばれている。現在は子分が全員足を洗ったため、一人組長として細々と年金ぐらしをしている。舎弟の世話になりたくない意地とやくざ者は苦しんで死ぬべきとの信念から甘美園入りを拒否していたが、伊佐治の必死の懇願に負けて甘美園に通うことを許諾すると、患っていた病気を理由に柘植によって強制的に入所させられている。
その後は甘美園での暮らしに馴染んでいるが、伊佐治によって柘植が若頭補佐から解任されたときは激怒して伊佐治を甘美園に呼び出して大説教を喰らわせた。
舎輪組
『別館』に登場した大判組の三次団体。構成員の数は5人と少ないが、幹部会に出席できるほどの格はある模様。幹部組員が組の金を着服した事が端となり内部クーデターを起こした結果、組長が死亡し(クーデターに加わらなかった)谷原以外の構成員(実行犯)は全員逮捕された。組としては機能停止しており事実上の解散状態ではあるが、組長の唯一残された子分である谷原がいつか組を再興するまで、組の名義は消されずに残される事となった。
輪島三郎(わじま さぶろう)
舎輪組組長。スキンヘッドの中年男性。牧村のカバンを盗んだ谷原に制裁を与えたとともにケジメとして殺そうとし、牧村には土下座するが、あまり事を大きくしたくない牧村は「カバンが返ってくれば問題ない」とした。その時の縁で牧村と交流を重ねており、同期や三次団体から羨ましがられており、時には牧村からの依頼で動く事がある。
『悪鬼羅刹』編では自身の幹部達から界転組に付く事を強要されたが、大判代表の恩義や谷原の成長を見てそれはできないと断り、襲撃される。その後病院でも襲われてしまい致命傷を負う。最期は谷原への想いと彼が今川組でやり直している事が嬉しかったと語り、駆けつけた大判に組の立て直しと直参への昇格を約束しつつ、満足げな笑みを浮かべて静かに息を引き取った。
谷原トシキ(たにはら としき)
舎輪組組員。最近反社から組員になったばかりで、雑用ばかりの現状に不満を抱いている。出来心で牧村のカバンを盗むが、GPSが仕込まれていたためすぐにバレて、カバンを返すように言われるも「在処を言えば殺される」と思い口を割らずにいたところ、牧村から拳銃を突きつけられ、恐怖のあまり漸く白状した。その後は組長にケジメとして殺されそうになるも、牧村の提案で服役することとなった。結果として殺されなかったことや牧村の迫力を受けて心酔するようになり、出所後は今川組の部屋住みとなることを夢見ている。
なお、カバンの中身は牧村曰く「大判代表から貰ったモデルガン」とのことだが、真相は謎のままである。
出所後、舎輪組組長の輪島に詫びを入れて今川組の部屋住みになりたいと直訴。認められたことで円満に舎輪組を脱退した。その後、今川組を訪問して対応した小塚を通じて野口に認められ、晴れて今川組部屋住みとなった。のちに小塚の舎弟になり、同期の竹内と行動を共にする。
腕っ節は本人曰く普通だが、手先が器用であり、ピッキング技術で鍵を開けたり、DIYもこなせるといった特技を持つ。
勤鍔組
『別館』に登場した大判組系暴力団。
松岡勤(まつおか つとむ)
勤鍔組組長。娘の介助がなければろくに歩くことも出来ないほど足腰が弱っているが、組員に金を貸すことで組長の立場を保ってきた経緯から極道を引退できずにいた。そんな中、かつてのゴルフ仲間でもあった大判代表の提案で実権を若頭に譲って甘美園に入った。
ちなみに本編でも甘美園立ち上げの回で「松岡さん」として登場していており、『悪鬼羅刹』編では本郷の過去を知る人物として牧村に情報を提供した。
要完組
野口が組長を務めている暴力団。代々ゴリゴリの武闘派の任侠集団で、天利や黒瀬曰く「島津軍」「捨て奸」に例えるほど。事務所も一見普通の持ちビルだが、襲撃を受ける度に補強・改修を続けているため、今や要塞と化している。
丹沢(たんざわ)
要完組若頭を務める初老の男。周囲から「古狼」と言われるほどの武闘派で、本来なら彼が組長になってもおかしくなく、前組長が引退を決意して打診を受けるも、前科が多いため組長に就任したら、万が一逮捕されたら長期服役は確実で組が混乱する事と、本人は「一兵卒のほうが似合う」とのことで、野口が跡目を継ぐことには特に異論を出さなかった。独身かつ不規則な極道生活で食事に気を使ってなく、度々野口に注意される。情報戦を駆使する牧村を「恐ろしい人」と評している。「死兵と老兵編」では残忍な手口で結果的に離脱派全体を混乱させた。
大西(おおにし)
要完組構成員。40代で丹沢からは次期若頭として自身の後を継ぐ者と目されている。古屋の事をクソガキと毒突きながらも心中を察しており、古屋が死ぬ覚悟で新海の命を獲ろうと決意した際も、生きて帰ってこないと分かっていながらも黙って見送った。
木崎(きざき)
要完組構成員。要完組列伝で登場。組長が引退、交代した後に大西に話しかけられた。当初組長の交代に納得できなかった大西と違い、肯定的な態度を見せている。辞めていった組員の厳しい現状を語り、居場所がないことを嘆いていた。
竹森(たけもり)
元要完組構成員。木崎からその存在が語られている。結婚を理由に組を離脱するも、相手の親族に反対されて破談になってしまう。それでも人生をやり直すために工事現場で働くものの、人間関係であっという間にクビに。元暴5年条項の関係上位再就職も満足に出来ず、クビになって以降ずっとホームレス生活をしている。
古屋直久(ふるや なおひさ)
要完組構成員。野口に界転組からの刺客が送られてきたときは野口と同行して返り討ちに協力している。野口が組長になってから盃をもらい、また逆に命を救われた過去がある事から組員の中でも特に野口に対する忠誠心が高いとされる。
出所直後に界転組の襲撃を受けて二度と歩けないと診断されるほどの重傷を負ったものの、懸命のリハビリで歩くことができるまでに回復している。
しかし大界抗争で自身が足手まといになっていると内心苦悩しており、せめて命を賭して組に忠義を尽くすと野口や警察に破門状を送り組を離脱。新海を討とうと単身で動くも失敗し、人質になるよりは死を選ぶと自刃してその生涯の幕を閉じた。享年36歳。
新海の左腕に後遺症が残るほどの深傷を負わせており、伊佐治は野口に「牧村の左手の仇を取った」と、彼なりに野口に慰めの言葉をかけた。
前組長
要完組初代組長。脳梗塞で倒れたのを機に組から足を洗う事を決意。はじめは丹沢に組を引き継いでもらおうと打診したが断られたため、元組員の岩城の息子の野口が今川組に居る事と、懇意にしていた今川の推薦もあり、血の気の多い要完組をまとめてくれると考え野口に託した。
岩城勝(いわき まさる)
要完組元構成員。野口の父でもあったがろくでもない人物で、中高生に薬物を売っていたことがバレて破門になっていた。人望もなく舎弟がいなかったため当時中学生だった野口を言いくるめて悪事に加担させていたが、今川に真実を教えられた野口によってぶちのめされてしまった。その後の行方は不明。野口は牧村がヒロを庇って自身の手に刃物を突き立てた時、舎弟の為に指を詰めたという父親の嘘を思い出しており、牧村の引き立て役として扱っている。
上記の通り、嘘の武勇伝で他人を騙す口だけのクズだが、中学で虐めを受けていた野口や施設の職員からのセクハラで苦しむ芹香を結果的に助けており、それだけは視聴者に評価されている。
破門されたとはいえ、自身が要完組に属していたことが縁で息子の野口が要完組を継承することになったため、結果的に要完組と野口を繋いだ人物と言える。
鯛ハ木組
大判組と対立していた広域指定暴力団。薄川組や白井組といった下部組織が名前のみ登場している。
かつては大判組と争っていたが、今川辰雄により組長が射殺されたことで抗争は終結している。
檜山(ひやま)
鯛ハ木組幹部。
賭場経営を管理している。用意周到な性格で、各賭場に「替え玉」を用意し、自身の足跡を一切残していない。今川組にも裏カジノやネットのシノギに長けている幹部(牧村)がいる事に一目置いている。
鶯会
鯛ハ木組傘下。幹部の沢渡を始めとし、大判組の引き立て役として扱われる事が多い。極道なのに強盗に組事務所を襲撃されて警察に助けられる等の醜聞が多くネットの玩具にされているが、実はつい最近まで抗争を繰り返していた筋金入りの武闘派であり、極道界隈では「鶯会のシマには手を出すな」と恐れられている。
なお現在は抗争で金と人員を失い組織が縮小したので、荒事をすると大きな組織と違って後始末が大変だからと表向きは大人しくしているが、シマ荒らしには容赦なく苛烈な制裁をしてシマを維持している。
沢渡春佳(さわたり はるか)
鶯会幹部。牧村とは中高時代の同級生であり、彼への対抗心が強い。牧村を「陰キャ」「モブ」と呼び、自分の部下達が牧村の話題で盛り上がっているのを見てヒステリックになる。牧村によると、女性的な名前を揶揄われている上にグレてしまったらしい。名前については今でもコンプレックスがあるのか普段は「凌牙(りょうが)」という渡世名を名乗っている。また、牧村への対抗心の理由の一つに、彼があまりにも学生時代の沢渡に関して無関心だったというのがあり、これについてカジは「牧村さんが悪い」と判断している。
下への面倒見は良く、入江救出のために1000万の身代金を引き受けたり(後に入江が1000万を無利子で返すことに)、嬢からの相談も受けたり、安田の刺青の件についても自分もお揃いにして入れたなどをしている。
動画上ではネタにされがちだが幹部だけに決して無能ではなく、主に守代契約をしているキャバクラなどの夜の店の用心棒としてシノギを挙げており、切符の良い言動で嬢達から好感を得ている。ただ、本人としては牧村みたいに高額のシノギや武勇伝を挙げて大判組長に覚えてもらいたいと四苦八苦している。
元々キャバクラのボーイだったが、店のオーナーが借金で夜逃げして店の人間達に頼られる形で店長となり、店を守る為にヤクザになったという経歴の持ち主である。店もキャバクラからラウンジ「春告鳥」と店名を変えて路線変更し、基本的に合法的なシノギで挙げているので警察にも黙認されている。ヤクザなのに麻薬の実物を見た事が無く、改造拳銃を違法な業者から一方的に送り付けられた際は困惑した挙句に牧村に助けを求めている。マル暴の鷲尾とは管轄内なのもあって面識があり、のちに牧村繋がりなのを知る事となる。
組内での役職は事務局長で、幹部の中では一番下なのだが、上が組長を含めて服役中か高齢で事務所に来られない状態なので、彼が事務所の運営を一任されている。
安田太一(やすだ たいち)
鶯会の構成員。無精髭を生やした気だるげな雰囲気の男性。入江と視聴者に第三者から見た牧村の姿を解説する事が多い。実は蒲桜会というところから編入しており、年齢もヤクザとしてのキャリアも沢渡より上である。沢渡とは蒲桜会の構成員だった頃から付き合いがあった。
やる気はなさそうにみえるがれっきとした武闘派であり、相手を脅すのには慣れている。また、沢渡が言うにはシノギもしっかりできているとのこと。蒲桜会時代に鉄砲玉を任される時の為に射撃訓練をした事もある。
蒲桜会が解散する際に組長の桜庭がシノギとして運営していた宗教法人「ゆうやけの会」を5万円で買い取り(桜庭はタダで譲ると言っていたが、世話になった事もあり5万円出した)、東京の郊外でプレハブを建てて教祖として活動。ネットを通じて人生相談でシノギを挙げている。安田の適切な応対が好評であり地道にシノギを挙げているが、たまに伊佐治をはじめとする裏社会関係者も相談に来る。
入江雄心(いりえ ゆうしん)
鶯会の構成員。金髪の若い男性で絵師によるが、鷲鼻が特徴。牧村への対抗心で熱くなる彼を見て引いており、先輩の安田と一緒に牧村の噂話で盛り上がっている。
元々はフリーターだったが当時は非常にキレやすい性格で、仕事先で上司や店長とケンカしてはクビになり転職を繰り返していたが、鶯会の事務所に遊びに来るようになった事が縁で組長に気に入られて盃を貰い構成員になった。入門してからは兄貴分達から暴力で躾られていく内に、怒りを向けられる側の理不尽な気持ちを思い知り、つまらない事で怒るのは馬鹿馬鹿しいと感じるようになり現在の温厚な性格になった。だが喧嘩っ早い性格は完全に治っておらず、今でも揉め事になればタンカを切るより先に暴力に打って出る為、沢渡や安田から呆れられている。
安田曰く、あまり頭は良くないとのことでシノギに関しては失敗続きで、上納金や沢渡への返済1000万も返すのにてこずってる。それどころか偽宅配や海外アルバイトに引っかかったりVtuberにお金をつぎ込むどころか個人情報を晒すという失態もやらかしている。
ここまで聞くと、構成員やれてるのが不思議なくらいだが、腕っぷしの強さだけはあり、動画の中にも彼がそれを発揮している一面もある。沢渡からは行動力と咄嗟の判断力がありスペックも高いと評価されている一方、普通の人なら躊躇するような危険な事に平気で飛び込む迂闊さを心配されている。だが裏を返せば度胸は人一倍であり、幸いにも同じ失敗は繰り返さない程度の学習能力はあるので、痛い目に遇いながら実体験で学ばせる方針で育てている一方で、自身や安田と違い、20代で刺青を彫ってない事からまだカタギに戻れる機会があると、本人が望むならカタギに戻したいと考えている。
劇中家賃滞納でアパートを追い出され、現在は事務所の元住み込み部屋の倉庫で生活している。その時に今川組の小塚と懇意になり、様々な所で対面する(小塚の口添えで牧村のアプリ会社にデバッグ要員として一応の安定収入は確保した)。
女性を食い物にする様なシノギが基本的に嫌いであり、悪徳ホストの様な人間に特に強い怒りを覚える事が多い。ホストとして働いた経験から客を大事にする優良なホストが存在する事を知っているのでホスト自体に偏見は無いが、それ故に彼らの顔に泥を塗る様な悪徳ホストへの怒りが強い。
片山
沢渡が経営しているラウンジ「春告鳥」でボーイとして働いている20代の男性。
元々は吉備団会の組員だったが組への上納金に苦労しており、鶯会傘下と知らずに春告鳥でバイトをしていた。のちに素性がバレるも勤勉な態度を沢渡に評価され、沢渡の案で吉備団会を脱退してカタギとして春告鳥で働く事となる。
その後も真面目に働いており、沢渡の適切な経営や嬢達のケアなどに関心しており、沢渡もボーイ時代の自分と重ねている傾向がある。
組長
沢渡達を組にスカウトした張本人。抗争を起こした頃は自ら出張るなど漢気のある性格だったがちょっと抜けている所があり、タクシーの支払いを誤魔化そうとして逮捕され、幾つもの余罪が見つかった事で服役していた。他の組員は呆れて一時離脱という形で組を抜け、沢渡が留守役という形で組長代理になる。
出所してようやく留守役を果たせたと沢渡は喜んでいたが、愛人を囲っていた事が妻にバレて家を追い出され、傷心旅行に箱根の愛人宅に行ったため他の組員達も呆れ返って集合せず、沢渡は留守役を延長する羽目になった。
粒士会
鯛八木組傘下の組織。鶯会とは仲が悪いが、表立って喧嘩まではやらない程度の険悪な関係にある。
若頭
昔、賭場で鶯会組長と揉め事を起こし、それが両組織の確執の原因となった。
大下
粒士会の三下構成員。水無月組にいる自分の組違いの兄弟分が、手下の不始末で鶯会に頭を下げた事が気に入らず、腹いせに沢渡が経営する店に嫌がらせをしていた。
同じ鯛八木組傘下だから手は出せないだろうと高を括っていたが、安田にボコボコにされ、迷惑行為を撮影した動画を証拠に組長同士の話し合いの結果、大下の個人的な逆恨みによる物だから組同士の問題ではないという事になり安田はお咎め無しとなった。
蒲桜組
安田が鶯会に入る前に所属していた組織。現在は解散している。
桜庭
蒲桜組の組長。やり手のインテリヤクザで、違法スレスレの金儲けが得意。平成初期には駅に捨てられた漫画雑誌をホームレスを使って拾い集めて路上販売させて莫大なシノギを上げて一時代を築いた(なお現在はコロナ禍で衛生意識が高まり、さらに電子書籍の普及で紙雑誌の需要が低下した事もあり、昔のようには儲からない模様)。だがあまりに稼ぎすぎたので国税局に目をつけられて多額の税金を払わされたが、それを差し引いても余りある程の資産を蓄えた。現在は高齢を理由に組長を引退して組を解散し、悠々自適な隠居暮らしをしている。
警察関係者
鷲尾章宏(わしお あきひろ)
マル暴こと警視庁組織犯罪対策部(組対)の刑事。マル暴としての使命感が強く、最近台頭してきた牧村のことを苦々しく思っている。界転組からの「牧村が特殊詐欺の犯人を匿っている」という情報を元に今川組へガサ入れに行くと事務所にいた牧村を取調室に連れていく。取り調べで牧村を徹底的に追求するつもりだったが先輩刑事の森ともども逆に牧村のペースに乗せられてしまい、ついには森がマネロン対策室の刑事まで呼んでマネロンの講義までする始末であった。その後は森の指示で牧村をSにしようと幾度に渡り接近し、その過程で奇妙な友情が芽生える。その後牧村がヤクザを辞めたがっている事を知った事もありSにする事を断念、それでも辞めた後の牧村の身の振り方を約束した。
兵庫県出身で、少年時代に阪神淡路大震災を経験しており、その時に地元のヤクザ達が身銭を切って物資支援していた事に今でも感謝しており、そういう意味でも本心ではヤクザに偏見を持っていない。のちにその事を聞いた大判組長を含む、当時の物資支援をしていた幹部達から高評価を得ている。
森(もり)
マル暴の刑事で鷲尾の上司。今川組が旗揚げした頃から今川組長と長い付き合いであり、暴対法が施行される前は時折組を訪れて組長と談話するほどで、野口とも悪態を突き合う仲。牧村が運営するアプリ「裏世界⭐︎ラバー!」のユーザーでもあり、その件もあって牧村に興味があり、ガサ入れついでに牧村を事情聴取する。しかし鷲尾同様に牧村のペースに乗せられたばかりか、牧村がマネロンについて質問したためマネロン対策室の刑事を呼んで講義会をはじめる羽目となり、そんな牧村を「ごく普通の一般人がどんな人生送ればこんなヤツになるのか」と得体の知れなさに驚愕した。
定年退職が近い事もあり自身のマル暴としての在り方を振り返るようになり、時折惣菜片手に今川の元を訪れては呑み交わすようになる。
赤岡(あかおか)
マル暴の刑事で鷲尾の後輩。元生活安全課所属。沙苗からヒロのことを相談されたこともあったが、鷲尾に相談して保留状態にしている。
堀口徹也(ほりぐち てつや)
失踪した警察官。周囲には内緒にしていたが、成美奏の恋人で彼女の事をカナと呼んでいた。
成美は知らなかったが、天利と裏で繋がっていた悪徳警察官で御焼組の事件の真相を知っていた。4年以上前に成美と映画を見ている時にそれに関係する事を呟き、気になった彼女が調べている間に失踪している。
彼女は堀口が事件の真相を告発する為に行動した末に天利達に消されたと思っていたが......
その他の登場人物
清水雄平(しみず ゆうへい)
表向きはWeb制作会社を装っている半グレ集団のダミー会社「カリスマ」の社員。
Web制作会社の社員として素人アイドルの育成をしている傍ら、女性達を騙す形でAVや風俗などに堕としている。
学生時代に荒れて街をフラフラしていたところを半グレの先輩に声をかけられ、「カリスマ」に就職する。「カリスマ」と鯛ハ木組が提携している事に、自分達が立場が上だと部下の福田共々勘違いし、ひょんな事から鯛ハ木組の麻薬を横流しした事が「カリスマ」社長の耳にも入り、ケジメをつけさせるために福田共々鯛ハ木組に引き渡された。その後の消息は不明である。
テツとヒロ
2人組の大学生で、炎上系YouTuber。
2人揃って楽観的な性格で、周囲への迷惑など微塵も考えておらず、将来は炎上系YouTuberとして生活しようと本気で考えている。
今川工房の事を聞いて嫌がらせする事を決意し、結果として今川工房を数日間の営業停止に追い込んだ。動画では顔をマスクで隠して身バレしないように徹していたが、知らなかったとはいえ野口をはじめとする今川組を怒らせた事、そして電子機器などに詳しい牧村がいた事が運の尽きであり、店内に設置していた隠しカメラに映っていた素顔を元に顔特定ソフトを駆使されたことで素性がバレてしまい、後に2人揃って野口達に拉致された。その後の消息は不明である。
三宅(みやけ)
医師。
かつて暴力団対策法が施行される前の頃にヤクザ御用達の総合病院に勤めていた時期があり、その時の経験から「1人でも多くの命を救う」という信念でヤクザ相手でも公平に診察と治療を行っている。
安藤(あんどう)
今川組の部屋住みであるカジの顔馴染みで、別の組に入っているヤクザ。両腕に入れ墨を彫っている。詐欺事件を起こして刑務所に入るも後に出所し、再会したカジが牧村の御付きだと知ると彼の武勇伝をカジに伝えた。
実は牧村と同じ刑務所に入っており、牧村が刑務所に入っていた時の話の最後に登場し、最初は牧村に舐めた態度を取っていたが、彼の名前を知るなり謝罪し、敬意を払うようになった。
美音(みおん)
大判組系列のソープランドで嬢をしている20代前半の女性。17歳の頃に亘津との間に息子が生まれ、高校を中退した後に亘津と上京していたが、亘津に騙されて借金を背負わされた上に脅迫され、息子を実家に預けてソープで働いていた。ある日息子が事故に遭い途方に暮れていた所を、偶然店を訪れた牧村に出会い、事情を聞いた牧村は息子の所へ行くよう説得、色々と手配してくれた事に感謝し、店から彼女の事情を聞いた牧村は亘津に償わせるべく行動に移す。そして騒動後は牧村が借金全額を肩代わりしてくれたおかげで晴れて自由の身になり、息子が小学校に進学する前に戻れたと感謝し(亘津の末路については聞かされていない)、実家へ帰郷した。
亘津(わたんず)
美音の元夫。元大判組系治慢組の構成員だったが、御法度である未成年の麻薬売買に手を染めたため破門され、半グレ組織「コキュートス」に入団していた。美音を金ヅルとしか思っていなく、売り上げ金を巻き上げるどころか闇金からの借金を美音に押し付けようとするなど、生粋のクズ。しかしその事に憤慨し、また未成年への麻薬売買が大判組にとっても害になると判断した牧村により、コキュートスのトップと話を付けて売られ(元暴力団なのを鼻にかけていたためコキュートス内でも嫌われていたのもある)、さらに借金全額560万円に200万円を上乗せした額で槙野に売られ、槙野の「商品」となり、肝臓の一部と腎臓の二つの内一つをは売買され、遠洋漁業の「おもちゃ」として酷使される結果となる。槙野曰く「生きてても廃人は確実」で、殺された方が遥かにマシとの事。
広河原沙苗(ひろがわらさなえ)
『親と子』編で初登場したヒロの母。見た目は30~40代には見えないほど若くて綺麗だが、感情の上下が激しかったり、被害者を装いながら今川組からお金をせしめようとした厄介な人物でもある。実際、ヒロは彼女の優しくされた記憶に際悩まされたり、警察でも扱いに困っていたほど。
『若頭と若頭補佐』『清濁』編でも登場しており、こちらでは前回と違いヒロの身を案じるような言葉も発していたが、前述のことからマル暴の赤岡から警戒されており、また牧村からもヒロのためにも意識不明になっても簡単に息子の手で楽になる権利はないとして突っぱねてられている。
『清濁』編で薬物のオーバードーズを起こして以来、意識不明の重体だったが『死兵と老兵』編1話で息を引き取った。
コキュートス
反社組織。チーム内のある一派がトップに黙って亘津と一緒に麻薬の売買をしていたが、亘津が牧村により脱退させられた挙句に売り飛ばされ、販路が潰されたため牧村を恨んでおり、牧村に落とし前を付けさせようと加地を拉致して身代金を要求したが、運良くマル暴の鷲尾と知り合いになった事もあり、普通に誘拐事件として警察に通報し、一派全員逮捕された。その後トップの竹内が今川組に加入したことでトップ不在となった影響で組織としては休眠状態となっている。
なお、竹内と今川組に関しては、竹内がここにいた頃から亘津の身柄を渡したり、ケツモチを依頼しようとしたり、界転組に加担した連中をボコボコにしたりと全般的に協力的で、それゆえか今川組に加入してもすぐ馴染めたものと思われる。
菜々美
牧村に入れあげる嬢シリーズの主人公。長い茶髪とグラマラスな体型をしたキャバ嬢。
牧村と直接的な関わりはまだ少ないが、彼の噂に一喜一憂している恋に恋する女性。善良で自身に当たりが強い相手を助ける為に危険に飛び込む事が出来る強さを持っている。
最初は牧村の顔も知らず、菅田将暉を始めとした芸能人の様な顔を想像していたが、実際の牧村を見ても「かわいい」と評して全く幻滅しなかった。牧村の情報を楓花に頼む事が多い。その為、小塚にこの動画で牧村の嫁役にされている。この動画で牧村と遂に出会い、感激のあまり気絶して昇天しかかった。その後、ヒロの覚悟を聞かされたことで心の師匠と慕うようになり、牧村への憧れが今川組への信奉にバージョンアップした。(アイドルでいうと牧村推しから今川組箱推しになったというところ)
莉子
菜々美の同僚で友人でもあるキャバ嬢。
大学卒業後、ブライダル関係の職に就く為に美容系の専門学校に入学し、学費を稼ぐ目的でキャバクラで働いている。カジが自身の誕生日に道に迷っていた彼女の祖母を助けた事がきっかけで彼と出会う。その後、彼女が勤める店で性質の悪い客が暴れているのをカジが抑えた時に再会している。それから、趣味が同じスポーツ観戦な事で一緒に遊ぶ様になる。
のちに離脱組との抗争が勃発し、彼女を抗争に巻き込ませまいとカジは身を引く決心をしたが、それでも構わないと彼女から告白する形で晴れて恋仲となった。
モブ男とモブ太
キャンプ場でヤンキーシリーズの主人公達。調子に乗ったヤンキー大学生の二人組。
夏にキャンプ場で牧村に絡んで今川組の面々にボコボコにされて逃げ帰った。その後、怠惰に過ごしていたツケで留年が決まり、そのストレスから花見で谷原に絡んだ事で今川組の面々と再会、二度目だった事から牧村にガチ目のお説教とお仕置きをされた挙句に個人情報を把握されてしまう。その恐怖から真面目に生きようと誓い、ボランティアサークルを立ち上げる。ボランティア活動を通して人生を舐め腐っていた自分達の姿を客観視して反省すると同時に人から感謝されて認められる喜びを知る様になる。迷惑行為をしていた時に叩きのめされた事とボランティア活動中に性質の悪い連中に絡まれた際に通りかかった小塚達に助けられた経験から今川組を「いいヤクザ」と思っている部分がある。
上記のテツとヒロと違い、更生への道を順調に進んでいる。
本間賢太(ほんまけんた)
元ヤクザのライター。元ヤクザを売りに、本郷ケンタローを名乗って活動していた。
かつて御焼組にいたが、上には媚びへつらい下は虐める典型例なクズだった為そこでの評判は悪く、弟分の新界や天利を元半グレだからという理由で特に邪険に扱い、女と金にルーズといった問題が後々響き、逃げるように足抜けした。ライターに転身した後はヤクザ時代の体験談や人脈を使って実録系業界暴露記事を書いて人気を集めていたが、実際は有ること無いこと誇張していい加減な内容の記事を書いていた模様。ネタ切れでスランプ状態になり、抗争ネタで記事を書こうと目論み成美を焚き付けるも、新界らに「見せしめ」で始末されることになる。
成美奏(なるみかなで)
30代くらいの女性で、本間の後輩。
彼の指示で御焼組の情報を調べていたが、これ以上調べるなという脅しとして彼の刺青を送りつけられている。なお、脅しで済まされてるのは本間と違って、元からカタギの人間だからである。真面目で正義感は強い性格みたいだが、その意識に相応の実力は無い。
しかし、彼女には御焼組の一件に強い執念を持っており、脅しがあったにも拘らず、御焼組の御厨庸介に接触している。見当外れな質問で御厨を怒らせた上に天利にも目を付けられてしまう。その挙句に自宅マンションのボイラー室に連れ込まれてしまい、天利と対面して彼女が御焼組の一件に拘っていた原因である彼女の恋人であった刑事の真実を天利に教えられ、絶望のどん底の中で天利に始末された。
悪い人間ではなかった様だが、牧村達にとって邪魔者という立場と無能で間の悪い事から同情している視聴者は少ない。
近藤
牧村が経営しているアプリ会社「コリアント」の前社長の甥。前社長の杜撰な経営が原因でコリエントが経営危機に陥って社長と共に雲隠れしたが、牧村が立て直したと同時に何食わぬ顔で戻ってきた。牧村曰く「びっくりするくらい無能」「パワハラセクハラのオンパレード」で、創業者一族の権力を利用してパワハラセクハラをしていたばかりでなく横領まで行ったため、牧村達に拉致されて自主退職を強要された。
横領罪が重罪で長期服役になる事を牧村に突け入れられ、「ジギリ編」では黒瀬を嵌めるために横領罪軽減を条件に駒として利用され、結果として黒瀬は全ての口座を凍結され、近藤も「ヤクザに脅されて横領を強要された」として罪を軽減されて短期服役した。
関連タグ
裏世界ラボ本館 〜マンガ動画ch〜
少しダークで興味深い話を漫画として解説するチャンネル。
池田ハジメ
同チャンネルの別シリーズで社会福祉を中心に解説する「ニートハジメ」に登場するキャラクター。35年もの間、職にも就かずニートを続けていたが、両親の死がキッカケで家を追い出され、そこから紆余曲折を受けて高齢者介護の仕事を始め、人間的に大きく成長した。
ニート歴や進んだ道(表と裏)こそ違うものの、牧村とは元ニートという点が共通している。また、『ヤクザの人身売買編』で牧村が甘美園を作ろうとした際、高齢者介護におけるアドバイスをするという形でコラボしている。
槙野
同チャンネルの別シリーズで闇金や金融システムを中心に解説する「闇金の槙野さん」に登場するキャラクター。幼少期は身体が弱く入退院を繰り返しており、その際に長期入院せざるを得ない患者とその費用に苦しむ家族を大勢見たことから、「金=命を繋ぐもの」と考えるようになり、金融の勉強を重ねて闇金となった経緯がある。
小塚とは幼馴染で現在も交流が続いている。界転組の岡本からショバ代を巻き上げられていたところ、小塚の紹介で知り合った牧村が岡本を追い払ったという形でコラボした。その後も甘美園設立の資金を貸すなど度々登場している。
裏世界ラボ別館_今川動画制作所
『本館』では描かれない牧村たちの日常や制作裏話などを漫画化したチャンネル。登場人物たちがギャルゲー化するといった外伝的なオリジナルストーリーもある。