ルイセンコ農法
るいせんこのうほう
ゲーム「天穂のサクナヒメ」における稲作はかなりガチめに作られており、農林水産省のガイドラインを見てやった方がいいとすら言われている。
その中でもルイセンコ農法とは、稲作初心者がやってしまいがちな3大NG農法のひとつ。
天穂のサクナヒメでは米作りがそのままサクナヒメのレベル上げにつながるため、余程の縛りプレイでもなければ、プレイヤーは真面目に稲作をしなければならない。
そして、このゲームの稲作は自由度が高く、冬でも田植えが出来てしまう。
そこで、稲作の効率化を考えたプレイヤーの中には、二期作をやっている地域もあるからと収穫サイクルを短縮しようとして冬に田植えをする者が続発した。
しかし、二期作は冬(田植えを始める3月)でも16℃以上の気温が必要な、温暖な地域でしか行えない農法である(つまり真冬だとどちらにせよ、論外なことになる)。
そして、ゲームの舞台となるヒノエ島は二期作を行うには適さない気候のようで、冬の間に田植えを行うと、十分な気温に晒されない稲は成長できず、最悪の場合枯れてしまう。枯れた稲は当然再生しないので米の収量は落ちる。
なお、本作では種籾選別をすると種まきまで直行してしまうため、意図せずフライングしてしまい知らずにやらかしてしまうプレイヤーも多い。春直前ならそこまで被害がないのが救いか、あるいはそれなりに獲れる上に失敗したとアナウンスされないのが罠か。
名前はソ連の科学者トロフィム・ルイセンコが提唱した「春まき(秋まき)の小麦を低温処理すると秋まき(春まき)の小麦に変質させられるように、遺伝的な性質は後天的に変化させられる」というルイセンコ主義に由来する。実は現実でも「ルイセンコ農法」という言葉が使われていないわけでもないが、農法という言葉を使う場合は「ヤロビ農法」等のルイセンコ主義の中の一部の農法について言及する場合のみであることが多い。
ルイセンコ主義はルイセンコがスターリンの支持を取り付け、反対派の生物学者などを片っ端から粛清したこともあって一時期ソ連でこれに基づく農法が大々的に行われたが、そもそも遺伝学に真っ向から反するものであったため大失敗に終わり、ソ連の農業に大ダメージを負わせたばかりか、ソ連における遺伝学やその他多くの生物学関連分野の研究に多大な損失を齎した。
人間は教育や本人の努力によって生まれ持った遺伝的性質を変えることが可能だが、その理論を植物の種にまで適用出来るはずはないのである。
なお、ルイセンコは失敗の理由をイデオロギーの話にすり替えるばかりで一切反省しなかったらしい。
トライフォースよろしく、ゲーム中で旧ソ連の国旗を描くプレイヤーも現れている。