「我が名はサクナヒメ!!
ヤナトの神にして…ヒノエの民である!!」
概要
武神タケリビと豊穣神トヨハナの間に生まれた神で両親から双方の資質を受け継いでいる。ヤナトにおいては格の高い上級神であるが、両親不在で育ったためか責任感に乏しく、自堕落に生活してきた。しかし人間たちと出会ったことにより彼女は大きな災難に巻き込まれ鬼が巣食うヒノエ島に追放されてしまう。
CV:大空直美 (日) / Laura Post (英)
漢字表記は「佐久名比命」。通称は「サクナ」。タマ爺からは「おひいさま」と呼ばれる。
間違えられやすいが「サクヤヒメ」ではない。
ヤナト神族の住まう世界「頂の世」の神都で暮らしていた、豊穣神の一人。
物語の冒頭で、とある失態を犯したことで「頂の世」にある辺境の島である「鬼島」こと、ヒノエ島に追放されてしまう。
キャラクター紹介に「ぐーたらな生活をしていた」と記されている通り、公式ニート。
人物
「人の子らよ、敬え、へつらえ!!」
特徴
ヤナト神族の中でも上級神に位置する、格の高い存在。
容姿はどう見ても小学生女児だが、人間よりもずっと長生きしている大人。一人称は「わし」のジジイ口調で喋り、偉そうな言い回しで話す。いわゆるロリババアである。
武神タケリビと豊穣神トヨハナの間に生まれ、両親から双方の資質を受け継いでいるハイブリッド。自ら「高貴な血」と言うだけあってその家柄は裕福で、母が蓄えた上質な米を献上することで、長きにわたって自ら働くことなく暮らすことができていた。
性格
「ぶははは!
家にある米を貢ぐだけで毎年の御役目がいただけるんじゃからぁ、
まっこと高貴な血とは、楽なもんよ!」
高貴な神であることを鼻にかけ、麓の世の人間たちをナチュラルに見下し、偉そうに振舞う。人間(主にきんた)が生意気なこと言うたびに「敬え」と返すのがお約束。
当初は子供のように幼く甘ったれたボンボンそのもので、生意気でわがまま、怠け者でお調子者、自由奔放で大酒飲み。何気ない言葉で無自覚に人を傷つけることすらある、傲岸不遜な性格であった。ただし後述するように家庭環境に複雑な事情を抱えているので、性根が腐っている訳ではない。
不遜な態度を取るのは「神を敬って然るべき人間」や「邪な存在である鬼」に対してが殆どで、上司であるカムヒツキに対しては恭しい言葉遣いで頭を垂れ、同輩のココロワヒメや協力者であるアシグモに対しても(失言こそあれど)フレンドリーに話している。
こうした「自分は偉い」という態度はいわば自信の表れであり、たとえ目上の存在であってもへりくだることはなく、誰に対しても堂々と接することができる溌溂とした姿に憧れを抱く者もいる。
些細なことで口喧嘩することも多いが、過ぎたことは引きずらない性格で、落ち込むことはあっても基本的には前向き。怒りは溜め込まず、憎しみや恨みを抱くようなことはない。
強い自尊心がある種の精神的余裕を生んでいるためか、他者に対して屈託や苦手意識を持つようなことも無く、家族や友を大切に思う気持ちには素直に従う。なんやかんやで面倒見もよく、色々と性格的に問題の有る人間たちであっても世話を焼き続け、最終的には彼らの為に命を懸けるほどに大切に思うようになっていく。
箱入り娘として育った境遇ゆえか、歴史や世情に疎いところがあり、頭の回転は速いものの複雑な話になると思考を放棄しがちで、田右衛門やミルテの談議を遮ったり、誰かに優しく噛み砕いてもらってようやく理解に至る場面も多い。都合が悪くなると「厠に行く」と言って逃げ出すこともしばしば。
最初は生意気で人を見下した態度が目につくものの、物語を読み進めれば「イヤなやつ」ではないことがすぐにわかってくる。
やがてヒノエ島での日々を過ごし、泥臭くも多くの出会いと経験を得ていく中で、父のような"守る強さ"と母のような"与える慈悲"を兼ね備えた、一人前の神へと成長してゆく。
有能な怠け者
「終わらん…背が痛い…
わしは既にひと働きしてきたというに…」
親の遺産を食い潰しながら育ったせいもあってか、地道な努力や仕事を嫌う筋金入りの怠け者。
だが必要に迫られれば骨身を削って働くことができる、人一倍の働き者でもある。
当初は不平不満を言うばかりだったが、人間たちと共に全員が飢えて死にかねない極限の環境に追い込まれたことで尻に火が付き、「やればできる子」を爆速で体現していく。ヒノエ島ではあらゆる仕事がサクナに回ってくるおかげで、作中で最も働かされる存在となっていく。というか働き過ぎて逆に過重労働者と化している。
ようやく稲作が軌道に乗ってきても仕事を楽しいとは思うようにはならず、「そもそも、何故に稲作なんてやらねばならんのじゃ」「わしは楽して腹も膨れたいし、強くもなりたいぞ!」と終始一貫して楽をしたがっている。その「もっと楽がしたい」という思考は、仕事を効率よく行える道具を開発する切っ掛けにもなっていく(こうした効率化の流れは、現実の農業にも通ずる部分がある)。
文学少女
こう見えて実は読書好きという一面があったりする。舌がよく回り、学習が早いのも豊富な読書量によって育まれた教養のおかげなのだろう。
特に朧月香子という作家の書いた、全1200巻からなる恋愛小説『片恋物語』はすべて読破し、その内容をすっかり覚えてしまうほどの熱心な読者。ヒノエ島にも「これがないと眠れない気がする」として、こっそりと朧月香子の本を1冊だけ持ち込んでおり、都から遠く離れた島でシリーズの新作を追えなくなってしまったことをひとり嘆いている。
なお、寝る前にちょっとずつ読み進める派。
弱点
しかし、田に放す収集要素としてプレイヤーからは容赦なくカエルを拾わされている。
「ぬるぬるは嫌いじゃと言うておるに!!」
さらに黄泉神、要するにお化けの類も苦手。
「やだやだ怖い怖い怖い!!家に帰るーーー!!!」
能力
「戦神の武と豊穣神の恵みが合わさったのじゃ。最強でなくてなんとするか」
単身で鬼や獣を狩りに行く「武神」としての側面と、
稲作によって武力を高めることのできる「豊穣神」としての二つの顔を見せる。
神というだけあってオープニング時点でも人間よりも遥かに高い力を持っている。
酒気を帯びて酔っぱらった状態であるにもかかわらず、刀を持った山賊を蹴り飛ばせるほどの膂力を示し、田右衛門を驚嘆させている。
元の身体能力の高さ故か、体力も相当豊富な様子。なんせ稲作作業だけでも重労働なのにそのうえ狩りまでやっているのだから。そのうえ序盤はなけなしの食材しか得られない状況下なので、普通なら栄養失調待ったなしの労働量を強いられているに等しい。
豊穣神の子として
「実るほど頭を垂れる稲穂かな……っと」
両親から武神と豊穣神の両方の資質を引き継いでおり、五穀(特に稲)を育て、収穫することが自身の力と成長に大きく関わっている。ゲーム内では稲を収穫し、精米を完了させることで、パラメーターが跳ね上がるという形で反映されている。
稲作を繰り返すことによって、当初は太刀打ちできなかった相手でも容易く倒せるようになる。
また、稲作を重ねていくにつれて便利な農技を習得していく。
豊穣神らしいといえば豊穣神らしい能力なのだが……
(例)
- 「土地が耕されているかどうかが視覚的に判別できる」
- 「等間隔に田植えを行うためのグリッド線が見える」
- 「田んぼに近づくと水量と水温が数値として見える」etc
と言ったAR技術感の否めないものや、
- 「一度に掴める苗の量が多くなる」
- 「一度に脱穀できる量が多くなる」
- 「高速で田植え/稲刈り/脱穀ができる」
- 「高速で雑草を抜ける」
といった稲作を効率化できる能力ばかり。これただのベテラン農家では…?
この世界…というより稲作の世界では、たとえ高位な豊穣神といえども、魔法のように何も無いところから稲を生やせるわけではなく、厄介な病虫害を一瞬で退けられるわけでもない。
自らの手足を使い、汗水流して、知恵を絞り、肥溜めと格闘し、稲田と真剣に向かわなければならないのは人間と同じなのである。
「考えてもみよ!?奉納する稲を
豊穣神自ら作ってはおかしいではないか!」
「いえいえ、何一つおかしなことなどございませぬ。
我が国の豊穣神とは元来そうしたもの」
一応フォローしておくと、豊穣神トヨハナが稲作の心得を「農書」として書き残していたり、不作続きの頂の世で米の代わりに豆や麦を主作とする豊穣神が多かったりと、ヤナトにおける豊穣神とは「そういうもの」なのだと推測できる。決してサクナヒメの豊穣神としての力が不足しているわけでは無いのだ。
むしろ、そうした状況の中でサクナだけが文字通り「売るほど」大量の米を生産できるようになっていくのは、彼女の豊穣神としての資質の高さを裏付けるエピソードと言える。
「米はわしの、いや我らヤナト族の魂にして、力の源!!」
こうして出来上がった米は、狩りや採集で手に入れた食材と共にミルテに料理・加工してもらうことで、毎晩の夕餉として美味しくいただくことができる。
夕餉をとった翌日は、お腹が空くまではステータスアップや自動回復といった様々な恩恵を得ることができる。献立の組み合わせによってゲームの攻略難度が大きく変わるため、まさに「腹が減っては戦はできぬ」を体現している。
武神の子として
「稲作殺法!!」
武器は農具と羽衣という、一見すると戦闘向きではない道具を使って戦う。
また米作りを行うことで、農具を使った武技や、羽衣を使った羽衣技を習得していく。
農具は大きく分けて
の二種類存在する。
これらの農具は、きんたに作ってもらうことで上位のものと入れ替えることが可能。
「羽衣」は壁や天井・敵に張り付けてロープアクションを行う道具として活躍する。
険しく入り組んだヒノエ島の地形を踏破するために役立つだけでなく、裏周りをして敵の背後を取ったり、張り付けた敵を引き寄せて攻撃に繋いだり、弱体化させたり、体力を吸収したりと、戦いにも役立つ羽衣技を使うことができる。
武神の血を引くだけあって戦闘能力は高く、戦いには向かない農具で自分よりも遥かに巨大な相手を倒せる程。このゲームだったら簡単に返り討ちである。アニメでは基本的に鎌のみで鬼を倒している。
鬼たちが跋扈し、人間だけでは出歩くことのできない危険なヒノエ島を、唯一出歩くことのできる戦闘員として奔走することになる。
容姿
母から受け継いだ羽衣と、蝶のように結い上げた髪がトレードマーク。髪色は公式イラストでは黒に近い紫、作中では紫色の髪で表現されている。
ストーリー中では場面に合わせて装いを変えている。
御柱都での宴の最中は、金の稲穂模様があしらわれた千早に朱の袴と、巫女服のような出で立ち。冠にも稲穂の意匠が見られ、足元は一本歯の下駄。
サクナ曰く、この衣は自身の格を示すのに相応しく、相当高価なものらしい。
鬼の討伐や狩りを行うアクションパートでは、狩猟着と袴、脚絆と蓑を身につけた狩人ファッション。腰にはタマ爺の本体である、折れた「星魂剣」を携える。
「片手武器(鎌など)」「両手武器(鍬など)」「衣」「笠」「面」の装備を換装するとそれぞれ見た目に反映される。
我が家での生活・野良仕事をしている間は赤い着物一枚の農民ファッション。裾周りを彩る金色の瑞雲がそこはかとなく気品を感じさせる。この姿のときは羽衣を外している。
丈の短いデザインだが、スパッツのようなインナーを身に着けているのでご安心を。残念とか思った人は表へ出なさい。
その他、都に一度帰り寝所についたときや温泉に入るときは、白い装束を着ることもある。
モデル
サクナヒメ
彼女の名前と稲作(いなさく)をあわせてサクナヒメ(咲稲姫)になったと思われる。
また、直接のモデルになったのはウカノミタマであると推察される。
コノハナサクヤヒメは植物と花を司る神であり、五穀豊穣を祈願されることもあるが、食物や農業との関わりはやや薄い。稲田に纏わるエピソードも、どちらかといえば酒造と関連付けられることが多いなど、サクナヒメの直接のモデルとは言い難い(※サクナヒメも作中で酒を造ることができる)。
稲にも花は咲くのだが、あくまで名前を拝借したと考えるのが適当だろう。
余談であるが、コノハナノサクヤヒメの夫ニニギノミコトは天孫降臨の際に天照大神から渡された稲穂を初めて日本に持ち込んだ神とされる。
「武神タケリビと豊穣神トヨハナの子」という出自を考えれば、ウカノミタマがモデルではないかと推測できる。ウカノミタマは武神須佐之男(スサノオ)と農耕・食料の女神カムオオイチヒメの子であり、ウカノミタマ自身も穀物の神として祀られている。
ウカノミタマといえば稲荷神(いわゆるお稲荷様)であり、作中の序盤にサクナヒメが「狐の面」を手に入れることからも関連が窺える。
武神タケリビ、豊穣神トヨハナ
名前の元ネタとなったのはおそらくタケミカヅチとトヨウケヒメ。
オオミズチ退治と両親の出会い、主神との抗争といったエピソードから、ふたりの直接のモデルになったのはスサノオと、その妻であるクシナダヒメとカムオオイチヒメだろう。
スサノオと考えられる理由は言わずもがな。ヤマタノオロチ退治の際に十拳剣「天羽々斬」を損傷させてしまうエピソードもタマ爺(星魂剣)と深く結びついている。
またスサノオと同じく、タケリビも粗暴な性格だったことが作中で知ることができる。
クシナダヒメはヤマタノオロチ退治を通じて武神と出会い夫婦となった点が、カムオオイチヒメは豊穣の神を生んだ点がそれぞれフォーカスされており、トヨハナは二柱の特徴を合わせたキャラクターであることが窺える。
プレイヤー達からの扱い
- グータラで親の遺産を食いつぶしているニートという設定。
- 申し開きの最中の、女神としての威厳もへったくれもない泣き顔。
- 「嫌じゃ嫌じゃ(駄々こね地団駄)」「びええええ(迫真の泣き声)」。
- 田起こしの最中に呟いてプレイヤーに作業終了を促し、サボろうとする。
- 「そろそろ半分くらいか。もうよいのではないか」→進捗50%。全然耕せていない。
- 「こんなもんじゃろ。あ~、疲れたわい」→進捗75%。まだ完璧には遠い。
- 「完璧じゃ!これ以上ない働きっぷりよ」→進捗95%。完璧と言い放ちつつ完璧じゃない。
駄目だこの女神…早く何とかしないと…と思わせる駄目っぷりを発揮しまくり、見事「駄女神」の烙印を押されるのであった。
特に田起こしの時のセリフは初見殺しにもなっているので、プレイヤーの記憶に残りやすい。作業中は進捗状況が分からないので、サクナヒメのセリフを頼りに田起こしを終えてしまうと中途半端な仕上がりになってしまうのである。
メスガキ+女神=メスガミ。さらに転じてメシガキ、メシガミなど。
オープニングで登場するや否や、ニートでありながら高貴な血筋を笠に着て高圧的な態度で他者を見下し人生を舐め腐ったセリフを吐く生意気なクソガキという一面がクローズアップされる。
こ、こいつ……!
そんな彼女がひょんなことから今までのグータラな生活から追放され、
一度もやったことのない稲作をせざるを得ない状況に追い込まれ、
初見では理解不能な専門用語に翻弄されつつ、
冬までに収穫を終えなければならない時間的制約から正解も見えないまま突き進まされ、
一日中野山を駆けずり回って戦を交えつつ食料を集めながら稲田の管理も並行して行う激烈な肉体労働を強いられ、
あっという間に傷んでいく食料と格闘しながら夕餉の献立を考え、
終わりの見通しの立たない島の開拓&調査という任務も進める……
……と、次々と襲いかかる苦労によってあっという間に「わからせ」られてしまうという展開から、誰が呼んだか「メスガミ稲作わからせゲー」というワードが一気に広まる。
あの宇崎花を演じた大空直美氏がCVを担当したこともそのあたりの評価を後押ししているだろう。
しかし……
被害者?
この手のキャラクターにしては珍しく、サクナがヒノエ島に追放されたのは人間たちの事情に巻き込まれただけにすぎず、彼女の自業自得『ではない』。
そもそも事件の発端になったのは、人間が立ち入ってはならないはずの天浮橋に田右衛門をはじめとする人間たちが侵入した挙句に、彼らが御饌殿に保存されていた米を盗み喰いしたことにある。
しかし、まず天浮橋に人間がやってきたのに警告するだけで誰も止めに入らないどころか門番すらいない。そもそも、先に入った侵入者がいるのにそっちはなぜか警告すらしている素振りがない、人間が頂きの世に堂々と入り込んでいるのに誰も気づかない、見張りの絡繰がなぜかサクナヒメにしか襲い掛かってこない、壺を落とすという器物損壊までされているが誰も騒ぎに気付いていない、蔵に至っては見張りはいないどころか扉に鍵すらかかっていないという始末。
あえて擁護するとすれば、人間達に侵入されたのはサクナが使用した都の抜け道を使ったせいではあるのだが、ハッキリ言って御柱都のセキュリティのガバガバさの方に十分問題があるとしか思えない。
一応人間たちが台無しにしたのは高価な壺と米俵一つで、取り押さえるためとはいえ暴れて篝火を倒して蔵を吹っ飛ばす切っ掛けとなったのはサクナであり、それがなければ追放まではいかなかった可能性もある。
そもそもサクナ自身も、酔っぱらった状態とは言え侵入してきた人間たちと接触しておきながら、彼らの喧嘩をけしかけた挙句に、侵入への警告のみに留めており、侵入者がいたことを警備部門に対して報告した様子が無い。そのため、サクナにも責任が全くないとは言えない(作中の描写から察するに、日ごろの行いも反映されたのかもしれない)。
しかし、橋までならまだしも、その後の宮殿への侵入まで許した(というか最初の侵入者を天浮橋から蹴り飛ばして追い払ったのは、たまたまその場にいたサクナである)ことや、そもそも引火したら爆発炎上する物品があるところに火を置くなどの杜撰な管理体制などは、サクナには一切責任が無い為、やはりサクナよりも管理部門の責任の方が大きいとも言える。
ただし・・・最初に人間達に警告していたのはタマであり、人間が侵入しても本当にサクナヒメは警備とかに言及せず、自力で解決しようとしていた所を見ると、その管理部門の責任者とはサクナヒメ当人ではないのか?という推測もできる。
それにも拘わらず、サクナ自身は弁明1つすらしてもらえず、管理部門の責任は問われることもなく、追放の原因を作った人間たちからも謝罪の一言もなく、鬼島と呼ばれる過酷な環境へと島流しに合うことになり、島への追放後は、なし崩し的に追放の原因になった人間たちから島での庇護を求められる。
サクナからしてみれば理不尽極まりない事態だが、かといって彼らを見殺しにするわけにもいかず、致し方なく彼らと共同生活を送ることとなる。
ちなみにサクナヒメが石丸を橋から蹴落としたことによって石丸が昔のヒノエ島に辿り着き、大龍の力を借りて鬼を統率してアシグモ一族を壊滅させてヒノエ島がより危険な場所になる、サクナヒメの性格によってココロワヒメが悪人に唆されるなど当人に悪意がなくとも結構の大惨事の原因となっている。
苦労人
そんな人間たちはそれぞれ性格や能力に問題があり、トラブルを何度も引き起こす。
その仲をどうにか取り持ちつつ、個々の要求に応え、うまいことやっていかなければならない。
さらに人間たちは女子供ばかりで戦う力もなく、唯一の男も武芸の才能が無く致命的なまでに不器用……。
そんな状況で、サクナは米作り及び狩りなど生活の中で大変な仕事の大半を担うことになる。
※ストーリーが進むと米作りのほうは手伝ってくれるようになるのだが、序盤のうちはなにからなにまでサクナ一人でやらなければならない。
一番頑張っているはずなのに生意気なガキから罵声を浴びせられる始末で、なかなか苦労に見合うほどの成果をもらえない日々が続いてしまう。
贅をむさぼっていた日々はどこへやら。
テクサリ団子(有毒である彼岸花の鱗茎を水に晒してどうにか無毒化したもの)を食べなければならないほど困窮し、大好きな本を読むこともままならず、都に帰りたい、家に帰りたいと一人泣き崩れそうになり……気を落としながらも、寝る間も惜しんでまた次の仕事に奔走する……。
「えぇい、もうたくさんじゃ!!」
……こうしていざ蓋を開けてみれば、そこには作中屈指の苦労人の姿があった。
あまりにも苦労ばかりの境遇に同情し、「可哀想だ」と声を漏らすプレイヤーも少なくない(特に「最初の1年目」が悲惨)。
天穂のサクナヒメという作品がサクナの成長をテーマにしているため、打ちのめされる姿を描く必要があるのも致し方ないのだが……元々贅沢暮らしをしていたとはいえ、彼女が何か悪事を犯したわけではないので、仕打ちとしては不憫極まりなかったりする。
また、後に判明することだがサクナは訳合って両親のいない家庭で生活していたので、贅沢三昧の自己中に育ってしまったのも両親がいないことへの寂しさを紛らわすための強がりであったことが分かる。神もまた人の子と違わないのである。
一応フォローしておくと、苦労ばかりが続くわけではない。
序盤を乗り切るとやがて狩りや米作りのノウハウもある程度身に付き、食糧事情も安定し始める。人間たちも各々の技能に見合った役職を得てサクナを助けてくれるようになり、持ちつ持たれつの関係を育んでいく。
後半ではココロワヒメが心強いサポートとして味方に付いてくれる。
追放を命じたカムヒツキも貢物を捧げることで翌日の天気を変えて稲作のサポートをしてくれる。この時のセリフが「認めぬ」に聞こえるとネタにされることもあるが、正しくは「認める」と言っており流石にそこまで無慈悲ではない。
サクナも実った稲穂を「かわいいのう、かわいいのう」と我が子のように愛おしむようになり、生活も少しずつ豊かになっていく。
稲作中毒
「…はて…出てくる前、わしは水路の樋を
上げたっけ…?下げたっけ…?」
- いつの間にか頭の中が米作りに染まり切り、たとえ実家にいようとも田んぼのことが気になって夜も眠れなくなるストーリー中の描写。
- 田んぼの世話→日中の探索→田んぼの世話→夕餉→田んぼの世話→夜の探索→田んぼの世話→日中の探索→田んぼの世話→……と、不眠不休で働き続ける。
- 「田の世話」「縁側で時間経過」を交互に繰り返し、丸一日を田んぼの世話に費やすようになる。
と、物語が進むにつれて徐々に稲作中毒者(稲作依存症)の面が顕在化してくる(2番目と3番目はプレイスタイルにもよるが)。こうした症状は、稲作にのめり込み過ぎてストーリーが遅々として進まない、仕事中なのに田んぼの様子が気になってしまう、稲作に大失敗する夢を見る等の形でプレイヤーにも及んでいる。というか、「ワーカホリックなサクナ像」はプレイヤーの視点を反映して生まれたとも言える。
その他
中国語版のタイトルロゴでは「咲稲姫」表記だが、これは開発初期の頃の名残。
アレンジ版の動画ではその先の歴史、過去、そして現代でも一人前の神様となったサクナヒメは日本の何処かで静かに見守っている。
大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL
発売から半年後、なんとスピリッツ化。DLCではないインディーゲームからは初登場となった。ランクは主人公でACE級(★★★)。憑依されているのはむらびと(ピンク・女)。片手武器の鎌の再現で死神の鎌を所持している(効果は物騒である)。ステージは住んでいる家と畑に近い(?)ガウル平原(戦場化)で時間経過で食べ物(おにぎり固定)が振ってくる。BGMも敵の鬼に因んで新・鬼ヶ島メドレーと再現。
関連タグ
バブみ:彼女のゲーム中で立ち位置は「人間たちの守り神」になるはずだが、実際には肝っ玉母さん的な描写が目立つため、プレイヤーの中にはこんな感情を抱く者も。