概要
サクナの「親友」ということになっている都の上級神。車輪と発明を司り、様々な道具を作ってヤナトの繁栄を支えている。
CV:衣川里佳 (日) / Stephanie Sheh (英)
通称「ココロワ」。中国語での表記は「心環」。
サクナヒメと同じく、ヤナト神族の中でも上級神に位置する。
本編の後日談となる小説ココロワ稲作日誌と外伝『ココロワと想世の歯車』に置いては主人公を務める。
人物
「カムヒツキ様にお認めいただけるよう、
力を尽くしているつもりなのですが…」
サクナからも「聡明で美しい」と評される、思慮深き女神。
しかし自分の気持ちを表に出せない性格で、堂々とした振る舞いができないでいる。
カムヒツキに認められるように日々努力を重ねているが、物語開始時点では未だ認められておらず、その「お役目」はサクナヒメに与えられている。
容姿
髪は腰よりも長く脚まで届くスーパーロングヘアー。
公式イラストでは黒に近い紫色。ゲーム中ではサクナと同様、紫に近い色で表現される。
歯車と熨斗(?)が3本映えたような冠を頂き、両サイドのもみあげを水色と紫色の髪留めで括っている。
着物は十二単のように重ね着したもので、青と黒を基調とし、青海波と歯車の混ざった模様に、金の縁が入っている。赤と白を基調としているサクナとは対照的。
裾が長く見えにくいがボトムスは袴のように片脚ずつに分かれている。また長い髪で隠れているが、白いきれと青系統の羽衣も身につけ、後ろに垂れ下がっている。
なによりも背中に浮かんだ(背負った?)巨大な歯車が特徴的。うごイラも参照。
青い歯車がベースとなり、中小の金の歯車が斜めに配され、中央から三方向にスポーク(?)が伸びた金属輪(ゲーム内では省略されているが、公式イラストでは内側に細い線が入っている)その先に浮かぶ時計の針にも見える尖った物体が3つの、7つのパーツで構成されている。
これらの歯車は常にゆっくりと回転を繰り返しているが、歯車はそれぞれが重なり合っており噛み合うことはない。
これらはおそらく神仏像で描かれる後光をアレンジしたもの。
なお、狭い室内では外している。こいち氏曰く「邪魔な時は外せたり実はちょっと拡縮できたりできます」との事。
身長はサクナやきんたよりも少しだけ高く見えるが、頭のてっぺんがミルテの胸元の下あたりに来るため、大きさとしてはほぼ子供と変わりない。
よーく見ると履物は厚底草履のようになっているため、実際の身長はサクナと変わりないのかもしれない。
能力
「車輪の神、発明の神の力をとくとお見せしましょう!」
「車輪と発明」を司るだけあって、機械類や車輪を使った道具の作成に長ける。
御柱都を警護する絡繰(からくり)兵は彼女の手によるもの。
サクナヒメがヒノエ島に追放されてからはカムヒツキに重用されており、その存在は欠かせないものとなっている。ココロワヒメが失態を犯した際も、絡繰兵が彼女以外には作り出すことができないことを考慮し、免じられている。
自室に散乱した、絡繰兵のパーツの数々が彼女の努力を物語っている。
物語の途中でヒノエ島を訪問するようになると、サクナの稲作りに役立つ新たな機械を発明してくれる。
「おぬし、あったまええのう!!」
聡明と評されるように、頭の回転が速く、観察力が良い。
ヒノエ島を訪れた時点では稲作や土作りに関する知識はない様子だったが、サクナが現在抱えている問題をちょっと話しただけで具体的にどうすればよいか解決策を導き出すことができた。
リサーチ能力も高く、古書蔵を漁ることで「頂の世」「麓の世」に存在する三万もの山々の地質をほとんど調べ上げてしまうほど。サクナからは「おぬしの頭もどうなっとるんじゃ…」と驚嘆されている。
ただ、一度考え始めると自分の世界に入ってしまう癖がある。
特徴的な笑い方
彼女はヒノエ島に訪れ、サクナや人間たちとのやりとりの中で笑顔を見せるようになる。
そう、笑うのだが……
(例)
なんとも慎ましやかにお笑いあそばせられる……もとい、どうにも陰キャやオタクっぽく、衣川里佳氏の演技も手伝ってか、はっきり言って気持ち悪い。発明の神というと聞こえはいいが、いわゆるオタクには違いなかったのだ……。
その美しい姿と柔らかい物腰から発せられるキモい笑い声にギャップ萌えを感じるプレイヤーも多い。「笑うことに慣れていないのではないか」「これが本来のココロワなのかも」「気持ち悪い(褒め言葉)」とおおむね肯定的に受け入れられている。
なお、こうした笑い声を出すのはたいていサクナに褒められたときに限られる。サクナも笑い声がやたらと汚いことに定評があり、結構似た者同士なのかもしれない…。
サクナヒメとの関係
「サクナヒメとは親友ということになっている」という含みのある紹介をされている。
二人の物語は、この親友というキーワードを巡って展開される。
※以下の内容はネタバレを含みます。※
「認められない努力」と「認められた血筋」
ココロワは「お役目」を与えられるように日々努力を重ね続けていたものの、その役目はサクナに与えられており、長きにわたって認められず、嫉妬の念をひそかに募らせていた。
サクナ自身にも一応「認められているのは親のおかげ」という自覚はあるのだが、「まっこと高貴な血とは、楽なもんよ!」「血の尊さばかりは後から変えることはできぬでな!」とイージーモードの人生を享受して世の中を舐め腐っており、よりにもよって努力が認めらずにいるココロワの前で上記のセリフを言い放っており、(無自覚にだが)嫉妬心を煽ってしまっている。
ココロワからすれば自身の努力を血筋の一言で否定されたも同然であり、欝々とした感情を募らせてしまうのも無理もない。
なお、サクナに「お役目」が与えられている理由について、カムヒツキからは「武神タケリビの娘だから重用していた」と語られるため、血筋の良さで認められているというのも強ち間違いではない。
しかし実際のところは「長年の不作という世界情勢」「サクナの母が生前に米を大量に蓄えていた」という二つの要素が重なっていたためであり、単に血筋が良いだけで認められていたわけではないことが後にサクナ自身の口から語られることになる。
物語開始時点のサクナ個人の働きなど特に語られておらず、どちらかの要素が欠けていれば早々にココロワにお役目が回ってきていた可能性もあっただろう。
「日陰者」と「親友」
誰に対しても無遠慮に振舞い、好きな時に食べて寝て笑って贅を貪り奔放に生きていながら、自分のことばかり考えている傍若無人なサクナに対しては、上記の「お役目」のこともあり、鬱屈とした気持ちを抱えこんでいた。
その反面、自信に満ち、堂々と他者と接することができるサクナに対し、ひそかに憧れの気持ちも抱いていた。
おそらく控えめな性格から、ココロワが自身の才能を十分にアピールできていなかったことも「お役目」を与えられずにいた原因のひとつだったのだろう。
カムヒツキはサクナ追放後にようやくココロワの才能に気付いたが、「誰かの陰に隠れていたのか?」とやんわり尋ねられてもサクナのせいだとは言わず、「自分が至らなかったせいだ」と認め、後に「私にもそうした(サクナのような)振舞いが少しでもできていれば…」と述懐している。
そんなサクナはココロワのことを「親友」(英語版では"Dear friend")と屈託なく呼び、偉そうな態度で、遠慮なく甘える。
ココロワは「親友」という言葉に、自分でも気づかないうちに苦しんでいく……。
その後、サクナが追放されたことでようやく頭角を現しはじめ、カムヒツキにも認められ、念願の「お役目」を与えられるようになった。やったねココロワちゃん。
「これではまるで、友と引き換えに
名誉を得たようではありませんか…」
……やがてサクナがヒノエ島で作った米が都に流通するようになる。
その米は都中で大流行し、カムヒツキもすっかり気に入ってしまう。
ここにきてサクナの豊穣神としての能力が開花し、離島に居ながらもその影響力が都にまで及んできたのだった。
サクナが勅を果たして都に帰ってくれば、きっとまた日陰者に戻ってしまうだろう。
そんな危機感を募らせていた折に、一通の文が届く……。
「そして…今また私は、
どこかでサクナさんの影に怯えてしまっている…」
無二の友
それでもココロワからすればサクナが大切な友であることには変わりなく、サクナが島流しにされた際には内心ほっとする一方で「寂しい」とこぼしている。
サクナにとってもココロワが大切な親友であることには一貫して変わっておらず、追放が決まった際は「ここでココロワと一緒がいい」と泣きついている。
また都での事件にココロワが関わっていると知るや否や、カムヒツキの勅に逆らうことを厭わずに真っ先に帰還を決めている。
オープニングでの「わしの役を手伝わせてやるぞ」「カムヒツキ様のお目に触れる機会が増えればおぬしの覚えもよくなろう」という発言の数々は、結果的にココロワの心を傷つけるだけだったが一応サクナなりの親切心だったのだろう。この時点ではココロワが嫉妬心を抱いていることをサクナはとんと知らないので、傷つけるつもりは一切ない。このときサクナはすっかり酔っ払って上機嫌になっており、ココロワの心情を察せられる状態でもなかった。
後に「ココロワが急に自分を嫌いだした」ことに気付くものの、その理由がさっぱりわからず、御饌殿で問いただし、気持ちを打ち明けられてようやく気持ちを知るに至っている。
「…しかし、これだけは分かってくれ。
わしは今でも聡明で美しいおぬしのことが好きじゃ」
「本音を打ち明けてくれて、嬉しかったぞ…」
都に戻ったサクナに自分の気持ちを打ち明け、和解した後は、自ら仲直りを切り出している。
そして真の「大切な親友」(英語版では"My most precious friend")となるのであった。
やがてサクナが打ちのめされ、心が折れそうになったときに。
ココロワはヒノエ島を訪れ、サクナたちの再起を手助けするのであった。
「私の知恵とサクナさんの豊穣の力が揃って通せぬほどの無茶ではありませんわ」
その他
- 日本で使われている五円玉硬貨の表面には、工業と農業(と水産業)のモチーフとして歯車と水に植えられた稲穂が刻印されている。時代と共に工業が発展するにつれて農業が効率化されていく関係にあるが、ゲーム内でもココロワの発明によってサクナの野良仕事が効率よく行えるようになっていく。二人の関係性を象徴している点にエモさを感じるプレイヤーもおり、日本国内においては最も身近なファングッズと言えるだろう。
- 名前の由来は八意思兼神と思われる。高天原の知恵神であり、物語の随所随所で天津神に付き従い知恵を貸した。ココロワヒメも同様に、その発明でカムヒツキを補佐し、的確な助言でサクナヒメをサポートしている。
- ココロワヒメとサクナヒメの関係は、存在自体は知られるが目立った実績が記述されていないツクヨミと、光を発し常に中心的な存在として語られるアマテラスの関係を想起するプレイヤーもいたとか。
- 直接モデルとなった神とは言えないものの、サクナヒメの由来が植物の神コノハナノサクヤヒメだとすれば、ココロワヒメはその姉である岩の神イワナガヒメに相当すると言える。前者はニニギノミコトに嫁として迎え入れられた(選ばれた)が、後者は送り返された(選ばれなかった)という関係にある。
- キャラ設定・ストーリーなどを担当していたえーでるわいすのこいち氏によればサクナとココロワの関係の元になったのは自身の高校時代の同級生(どっちも男)だそうで、「創作女子で同じ関係性をやると何故か尊くできる」と気づいてサクナに取り入れたとのこと。
- 英語版では御饌殿での会話が少しアレンジされており、"U-Uh, Kokorowa.Behind you… (お、おいココロワ。後ろの…)" "Behind ME? No, I stood behind YOU! (私の後ろ?いいえ、私がいるのはあなたの後ろなのよ!)" と、少し洒落たやり取りになっている。
- ストーリーの終盤、ヒノエ島に居着いてサクナ達をサポートする事になるのだが、彼女だけ一緒に夕餉を取っている描写がない。
関連タグ
ホメロス:別作品のキャラクターで上にいる友としての悩みや嫉妬が原因で事件を起こしている共通点がある。こちらも後の追加ストーリーでお互い弁明して和解し、違う形で力を貸した。