概要
『ゴエティア(ゲーティア)』『テウルギア・ゴエティア』『アルス・パウリナ(パウロの術) 』『アルス・アルマデル・サロモニス(ソロモンのアルマデル)』『アルス・ノウァ』の五つの魔術書を合冊にしたもの。
別名を『ソロモンの小さな鍵』ともいうが、ゴエティア単体の異称として使われることもある。
英語圏生まれのグリモワールとしては特に有名な作品である。別名の通りソロモン王に帰せられているが、もちろん史実の本人とは何の関係もない。
ソロモンに関連づけられたグリモワールは上記の五冊以外にも存在し、マクレガー・メイザースはそうした断章を7つ集めて『ソロモンの大きな鍵』として刊行した。このような「ソロモン」系魔術書については「ソロモンの鍵」を参照。
『レメゲトン』においては特にソロモン72柱を扱った「ゴエティア」が有名。
ゴエティア部分はアレイスター・クロウリーとマクレガー・メイザースが編集したものの日本語訳も出ているが絶版。
復刊ドットコムに復刊願いが出されたが出版元(魔女の家BOOKS)との連絡がつかず、復刊は当面不可能とされた。
かねてより入手困難な状態が続いており、古書業界では凄まじい高値がつけられている。
写本と版
現存する『レメゲトン』写本はイギリスの大英図書館とウェルカム図書館に収蔵されている。これらの写本を参照し校合し、編集がなされる事で様々な刊本が生まれている。
クロウリーとメイザースによる版はクロウリーのオカルト解釈が盛り込まれ、(彼等にとっての)現代(20世紀初頭)の魔術師のための実用テキストとするためにその本文は読みやすくクリーンナップされている。
写本や刊本によって各悪魔の解説の細部にも違いがある。例えばフォカロルの場合、ジョセフ・H・ピーターソン版では率いる軍団は3つだが、クロウリー&メイザース版では30となっている。また、後者には前者にはない二つの異名の記載がある。
近現代の刊本の元となる古写本にも様々な特色があり、「ラッド博士の論文集」所収の『レメゲトン』に含まれる「ゴエティア」では72体の悪魔に対抗する72人の天使とその印章について記述されている。現存するゴエティア写本の中ではこの「ラッド博士のゴエティア」のみに見られる特徴である。ラッド博士の手稿を土台にした刊本はステファン・スキナーとデイヴィッド・ランキンの編集で出版されている。
関連タグ
ソロモン(Fate):彼の三つの宝具は『レメゲトン』に収録された各魔術書の名を冠している。
外部リンク
The Lesser Key of Solomon(アレイスター・クロウリー&マクレガー・メイザース編):『ゴエティア』部分。著作権切れのテキストを集めたInternet Sacred Text Archiveサイトに掲載。
LEMEGETON CLAVICULA SALOMONIS or THE LESSER KEY OF SOLOMON(ジョセフ・H・ピーターソン編):『レメゲトン』全体。物理本(書籍版)あり。編者のピーターソンは存命人物であり、この版も当然著作権期間切れではないので注意。