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エロイムエッサイム 我は求め訴えたり

Eloim, Essaim, frugativi et appellavi

概要編集

ヨーロッパにて流布した、グリモワールと総称される様々な魔術書のひとつ、『大奥義書』(Le Grand Grimoire、『赤竜』の名も知られる)に記された呪文。


本来は悪魔召喚の儀式に用いる呪文である。儀式の方法としては、真夜中に誰にも見られることなく十字路の中心で糸杉の枝で魔法陣を描き、その中心に立って生贄となる「卵を産んだことのない黒い雌鶏」を2つに引き裂く。そして「Eloim, Essaim, frugativi et appellavi」の呪文を3回唱えると悪魔が現れ、正しく召喚できていれば術者の望みを叶えてくれるという。


日本では後述する様々なフィクションでの引用により「エロイムエッサイム 我は求め訴えたり」という日本語訳が最も知られているが、これはK・セリグマンの著書「魔法」を和訳した平田寛の翻訳引用である。


「エロイムエッサイム」の意味編集

エロイム(Eloim)はヘブライ語でを指す言葉である。

一方、エッサイム(Essaim)の意味については諸説あり、ヘブライ語で「炎(エシーム/אשם)」を意味する説。もしくは旧約聖書に記されるダビデの父・エッサイの複数形を意味する「エッサイーム(エッサイ+複数形接尾辞/יִשַׁים)」からきた語句である説が有力である。


この二つの語源はどちらもヘブライ語聖書に用いられている言葉であり、「エロイムエッサイム」の出典であるグリモワールにもヘブライ語聖書で用いられた語句が頻繁に引用される傾向にある。


その為、「エロイムエッサイム」の呪文の意味としては

「神よ、炎よ」もしくは「神よ、エッサイの子らよ」

双方どちらか一方を意味する可能性が非常に高い。


ネット上では「神よ、悪魔よ」を意味する呪文であるという説が主流であるが、グリモワールの原典上で使用されるヘブライ語、ラテン語、フランス語には「悪魔」を示す似た読みの語句は見受けられず、またネット上でもその語源を併記しているものを一切発見する事ができない。

そのため、本説は「『悪魔召喚』を行う呪文であるから『悪魔』を意味するのだろう」といった考えの元で広まった根拠のないデマである可能性が非常に高い。


フィクションでの使用例編集

悪魔くん編集

ゲゲゲの鬼太郎』に次ぐ水木しげるの代表作であり、「エロイムエッサイム 我は求め訴えたり」の日本語訳を広めた作品。貸本・雑誌連載・実写ドラマ・アニメと、非常にバージョンの多い作品だが、いずれも主人公の悪魔くんが悪魔を召喚する呪文として用いられている。1989年から1990年にかけてテレビ朝日系列で放送されたアニメ主題歌の歌詞にも登場する。

なお、『ゲゲゲの鬼太郎』にも、実写映画『ゲゲゲの鬼太郎 妖怪奇伝 魔笛エロイムエッサイム』(1987年)という作品がある。

四月は君の嘘編集

新川直司作の学園・音楽漫画。ヒロイン宮園かをりヴァイオリンコンクールの演奏直前に、舞台上でこの呪文を唱え、この時の演奏が主人公有馬公生の心を動かす。かをりが病に倒れた後、学園祭にて公生が相座凪とのピアノの連弾を披露する直前にもこの呪文を呟いており、2人を繋ぐ重要な言葉として働いている。

魔界転生編集

山田風太郎作の伝奇小説、およびそれを原作とする映画。天草四郎時貞が唱える呪文として登場し、大ヒットした1981年版の映画で天草を演じた沢田研二の怪演が有名である。後にゲーム『サムライスピリッツ』にボスキャラクターとして登場した天草四郎時貞は、沢田の演じた天草のオマージュと思われる。

20世紀少年編集

浦沢直樹作のSFサスペンス漫画。小泉響子が追っかけ・ファンクラブ会長をしている悪魔系バンドとして「エロイム・エッサイムズ」が登場する。

関連項目編集

グリモワール 呪文 召喚

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