概要
『007』シリーズの小説版第5作、映画版第2作にあたる作品。
東西冷戦の状況下、ソ連の女スパイと暗号解読機を巡ってジェームズ・ボンドがイスタンブール、そしてオリエント急行の車内で死闘を繰り広げる。
スパイ小説、アクション映画の王道と言える作品である。
原作小説に登場する諜報機関「スメルシュ」は実在の組織であり、作中に登場するスメルシュ本部の様子、構成員の人相や会議風景などの描写は現実に即したものであるという。その為か、ジョン・F・ケネディ大統領も本作を愛読書の一つに上げている。
ただし、映画版での敵対組織は国際犯罪組織「スペクター」に変更されている。
映画版の公開当初は水野晴郎が考案した『007/危機一発』という邦題だったが、1972年の再公開時に原語版を訳した現在のタイトルに変更されている。
あらすじ
ソ連の諜報機関「スメルシュ」は西側の諜報機関にダメージを与える事を画策。英国秘密諜報部(MI6)の諜報員ジェームズ・ボンドを「辱めて殺す」計画を立案する。
その為に用意された「餌」は、保安局員の美女タチアナ・ロマノーヴァ伍長だった。彼女はボンドに惚れたという口実で彼をイスタンブールへ呼び出し、ソ連の暗号解読機を手土産にイギリスへ亡命するよう命令される。ボンドはタチアナと合流し、求められるままに身体を重ねるが、その様子はスメルシュによって盗撮されていた。スメルシュの目的は二人を心中を装う形で殺害し、そのスキャンダルを全世界に報道させる事だった。
国際諜報戦の舞台と化したイスタンブールから脱出し、首尾よくタチアナと暗号解読機を回収したかに見えたボンド。しかし、その帰路、オリエント急行の車内にはスメルシュの暗殺者・グラントが待ち受けていた。