八重(武田信玄)
やえ
演:小川真由美
大河ドラマ「武田信玄」に登場する女性。
武田信玄の正室・三条の方の侍女。三条の方を『姫様』と呼ぶ。
三条の方に絶対の忠誠を誓っていて、彼女のためなら謀略や人殺しも厭わない。三条の方の死が描かれる第42回の冒頭ナレーションでも『八重にとって三条は神であり、涙も三条とその子らのために流した』と語られていた。
三条の方にとっては頼りになる侍女だが、異様に利口で狡猾な性格で、三条の方の障害となる者に対しては冷酷で陰険。大井夫人(信玄の母)に誘導訊問でおここ(信玄の妾である村娘)のことを聞きだし、三条の方の嫉妬を煽ったうえで、刺客を放っておここを殺害させたりした。また、おここに瓜二つの湖衣姫(信玄の側室)を初めて見たときは多少動揺したりもしたが、「おここの怨霊をたたきだす」と称して湖衣姫を叩くなどの意地悪をしていた。そういった経緯から、里美たち信玄の側室からも恐れられている。
三条の方と武田義信のために尽くすが、結果的に、その忠誠が武田家を危機に陥れることになる。
三条の方の子供たち(義信や於梅)が信玄の謀略で次々と犠牲になり、そのことに三条の方が苦悩して病に侵されていくのを見て、義信に代わって武田家嫡男になった武田勝頼を逆恨みして、怒りをつのらせるようになる。
やがて勝頼暗殺を企むが失敗し、捕らえられて幽閉される。しかし、隙を見て逃げ出し、館の一室に隠れていたが、三条の方の死を悲しむ館の異変を察して姿を見せる。三条の方が先ほど死んだのを知った八重は取り乱し、死んだ三条の方に「このような大事な時におそば近くにお仕えすることもかなわず、なんとお詫びしてよいやらわかりませぬ」と謝罪し、嘆き悲しむ。
そんな八重を見た信玄は「我が妻(三条の方)の死に免じてそなたの罪を許す」と京に帰れと言うが、八重は「姫様のお手が温かいうちに後を追わねば間に合いませぬ」「姫様一人では西方浄土の旅もままなりませぬ」と懐剣を受け取り、三条の方の後を追って自害した。
小川真由美の怪演もあり、視聴者に強烈な印象を残したキャラクターで、大河ドラマを見てない人からも「武田信玄は見てないけど八重は知っている」と言われるほどだった。視聴者からも「怖いおばさん」「あれほど忠実な人はいない」と様々な意見をもたれた。