写植とは
写真植字の略で、デジタル化が進む前の商業印刷で広く使われた版下への文字出力の手法。写真の手法を応用して、ネガの状態の文字をレンズで拡大もしくは縮小して文字を出力する。
版下とは、文字やイラスト・写真などがレイアウトされた印刷用の仕上げ原稿である。かつては版下を製版カメラで撮影して印画紙やフィルムを作成し(製版)、これをPS版というアルミ板に焼き付け(レタッチ)、出来たPS版をオフセット印刷機にかけるという手法で印刷が行われていた。
ちなみにデジタル化の進んだ現在はどうしているのかというと、DTPで製作した版下データからCTP(コンピューター・トゥ・プレート)でレーザー焼付けでPS版を出力し、オフセット印刷機にかけている。オンデマンド出版など少部数の場合は刷版制作すら省いてデジタル印刷機(インクジェットプリンターやレーザープリンター)で紙に直接出力することもある。
かつては「写植屋さん」と言われる業者が日本の津々浦々に存在したが、DTPの普及に伴い、その多くが業態を変えるか廃業した。写真製版(レタッチ)専門業者も時代の波に洗われ、デジタル化に適応したごく一部をのぞいて消え去っている。
漫画の写植
漫画の吹き出しの文字を俗に写植と呼ぶ場合があるが、これは漫画の原稿にペーパーセメントという接着剤で写植を貼り込んで版下としたことに由来している。
現在では、アナログ入稿であってもセリフ入れはデジタルで処理していることが多い。