概要
『太平百物語』に記載される妖怪(?)。
とある城下町の大手御門に夜な夜な出現し、その噂はたちまち城下町にも広がった。
そのため、人々は日が暮れると家の戸を閉め、外出はなるべく控えるようになり、どうしても外出せざるを得ない時は大手を避けて搦め手まで回り道するように。
そんなある日、この城に勤める武士・小河多介が「よし、俺が化け物の正体を確かめてきてやる」と大手御門へと向かった。彼は度胸自慢であった。
そして暫くの間周りの様子を窺っていると、やがて噂の化け物が出現した。
化け物は鞠のような形をしており、地面に落ちては浮かび上がり、西に行ったかと思えば今度は東へと走るといったように絶えず動きまわり、動くたびに鈴のような音がした。
多介は不思議に思いながらも心静かに様子を見定めると、何事も無いかのようにその場を通り過ぎるように見せかけ、化け物が頭上を飛びに来た瞬間を見計って一刀両断。
そして地面に落ちた化け物をすかさず捕らえると大声で人々を呼び寄せ、集まって来た人々と共に捕まえた化け物を見てみると…………
その正体は本当にただの鞠であった。
そして鞠を裂いてみると中には小さな鈴が入っており、これが鞠に揺すられるたびに音を立てていただけだった事が判明。
後々に分かった事だが、どこかのいたずら者が、鞠を結わい付けた縄を使って夜な夜な人々を脅かしていたというのが怪異の真相だったそうな………。
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妖怪?
真相は