概要
1869年に明治政府が掲げた開明性を主張するスローガン。
従来の士農工商という封建的身分制度の廃止を謳った。
しかし、実際には士農工商なる身分制度は江戸時代に実在した物では無い。
また明治政府は皇族・華族・士族・平民という新たな身分制度を設立したのである。
由来
実は「士農工商」という言葉は日本の言葉ではなく、元々は中国からの輸入語であり、士農工商の「士」とは武士では無く中国における支配階層「士大夫」を意味している。
また、この「四民」というのも元々は中国の言葉である。
また、中国の身分は基本的には完全世襲式で固定化されたものであったが、日本は身分ごとに厳しい制約があったり事細かにきめられてはいたものの、身分制度そのものは流動的で緩やかなものであり、上述した中国における身分制度やインドにおけるカーストのように生まれつき身分を固定するようなものではなかった。
現に江戸時代以前から、農民から武士に、武士から商人になっている者もおり、前者は二宮尊徳や伊能忠敬などが、後者には三井高利などが特に有名である。
江戸時代の日本について海外の著名人の評価
「ヨーロッパにあってこの日本にないのは、科学技術だけであって、あとのすべてはヨーロッパより優っているのではないか」 カール・ツンベルク“ツェンベリー”(スウェーデン植物学者)
「彼らは皆よく肥え、身なりもよく、幸福そうである。一見したところ、富者も貧者もいない。これが恐らく人民の本当の幸福の姿というものだろう。私は時として、日本を開国して外国の影響を受けさせることが、果たしてこの人々の普遍的な幸福を増進する所以であるかどうか、疑わしくなる。私は質素と正直の黄金時代を、いずれの国におけるよりも多く日本において見出す。生命と財産の安全、全般の人々の質素と満足とは、現在の日本の顕著な姿であるように思われる」 タウンゼント・ハリス(アメリカ外交官)