地金
じきんまたはじがね
愛知県産出の金魚の品種のひとつで愛知県の天然記念物。日本の3大地金(他には高知県の土佐錦魚、島根県の出雲南京)のひとつである。
江戸時代初期、和金からの突然変異によって尾鰭が立ち上がった魚を淘汰選別し、尾張藩士・天野周防守が種として固定化したといわれている。体形の最大の特徴は孔雀尾と呼ばれるその独特の尾。後ろから見るとアルファベットの「X」状に尾が二枚に割れているのが特徴。名古屋地方で大事に飼育され続け、昭和33年に愛知県の天然記念物に指定される。ちなみに地金が愛知以外に全国に大きく流通されるようになったのはここ10年くらいの最近の話。
孔雀尾のほかにもうひとつ。地金は独特な体色の決まりがある。
ナンキンと同じで、体色は白一色で六鱗(口先と各鰭が赤)であること。しかし、そのような色合いで生まれてくる固体はまずいない。なので人工的に体色を操作する「調色」を育成途中で行うことが多い。
調色とは生まれて2~3ヶ月足らずの幼魚に爪やヘラを当て人の手で故意にガリガリと鱗を剥ぎ取る操作。鱗や色素をとられた地金の体表が再生すると、本来赤だった鱗も白の色に固定されてしまう。こんな感じで魚にとっては結構過酷なことをやってあの真っ白な体色が生まれている訳である。
ちなみに他の3大地金魚と同じで例のごとくお決まりの短命&虚弱体質。
寿命が8年くらいと恐ろしく短命である(金魚はうまく飼えば15年くらいは普通に生きる)。例のごとくその飼育のハードルの高さと地金そのものの美しさから近年では愛知に限らず地金の愛好家、愛好会も全国的に多くなってきている。
数年前まではとんでもなく入手が難しかったけどここ数年はちゃんとした金魚店でぽつぽつ入手できるようになってきている。ただし結構高価な上に「入荷しても数週間で1/3は普通に落ちる(=死ぬ)のであんま入荷したくない」とか。
ちなみに前述の調色を施さないと、ただの素赤の地金になる。