概要
穢土に君臨する大天魔・夜都賀波岐の一柱。
母禮という名称はあくまで西側が便宜的につけたものであり、真名は異なる。
300年前の東征において、悪路・紅葉・奴奈比売と共に東征軍に壊滅的な打撃を与えた張本人。
腰まで伸ばした金髪が特徴的な美少女の姿をしており、口には面具をしているためその表情は窺い知れない。
比較的理性的な悪路とは異なり、血気盛んな激情家な上、短気な部分が目立つなど精神面ではまだ幼い。
また、自分たちの絆に対する想いは強く、そのためか西側に肩入れするかのような行動を見せる宿儺に対して怒りを見せる一面もあった。
兄であり恋人でもある悪路とは常に行動を共にしており、互いの愛情は深い。
等級
『太極・無間焦熱地獄』(たいきょく・むげんしょうねつじごく)
「仲間たちが道を見失わないよう、閃光となって燃え続けたい」というかつての彼女たちが抱いていた渇望を具現化した母禮の理。その能力は『強力な炎と雷を操る』こと。
そのどちらも彼女が編み上げた異世界の法であるため、一般に言う火や雷とはまったく質が違っている。すなわち自然を操っているわけではないため、水で消えたり金属に吸い寄せられたりといった常識は通じない。
つまりこれを受け止めるには既存の法則内で解決可能な手段、道理ではなく、世界改変による防衛機構が必要となり、それは並の術者がどうこうできる域にはない。
東征当時の西側においては飛行機械は存在せず、落下という下方への死点を消す咒を極め、浮くことができる術師がごく少数存在するのみであるが、
それを数百桁規模で逸脱したレベルで、重力無視、高速飛翔、縦横無尽の機動性を実現し、そらを飛翔することが可能である。
素手からは山を両断する雷を放つ。
武器の顕現の時は、恒星が生じると表現される火力を持ち、成層圏に発生した大熱量は物理法則を裏切って燃え狂い、天地を貫く火炎と稲妻の大柱は、一つ一つが国を消滅させる程の規模にあるという。
それが都合十数本。母禮を中心に旋回しながら束となって形を成し、両の手へと握られることにより、森羅摧滅を成す二振りの剣はその神威を現す。
まさしく地獄の熱であり、剣の一振りで小国を消しさってしまうほどの破壊を起こす。
空間そのものさえも消滅してのけるほどの業火。燃えるモノが無くても燃えるのか、次元の断層を三つ焼き尽くした事もある。
隙を突かれることなく、放つことの出来る最大の力である余技でも霊峰不二を軽く四つは蒸発させうる小型の太陽に他ならない。
その身体自体が異界であり、恒星級の熱を帯びているため、触れたものを悉く侵す。視線や気勢においても同じであり、視認するだけで対象を焼滅させ、哄笑を上げれば玖錠紫織の乱立する三百を超える可能性の像を燃やし尽くした。
太極の発現と共に顕現する母禮の随神相は母禮をそのまま巨大化させ額当てを着けさらに腕を二本増やしたような姿の女武者。
この随神相の内界は文字通りの焦熱世界。常に恒星級の爆熱に晒され、逃げ場の一切無く火柱と閃光が苛烈に噴き上がる異界。彼女の体内に等しい場所、よって死角など存在せず、どんな不意打ちも通らない。
ここにおいて母禮は火柱を任意で発射させることが可能で、存在するだけで生存確率を焼滅させる。
また、紫織との戦いでは恒星を超える総体を持つと描かれている。
その正体
その正体は、かつての波旬との決戦の際に呼び出され、無残にも散っていった櫻井螢とベアトリス・ヴァルトルート・フォン・キルヒアイゼンの融合体。
二人の魂が融合という状態にあるが、生前の彼女たちの仲は親密であったために高度な次元での融合を果たしている。反面、融合の際に母禮個人の剣の技量は螢とベアトリスの平均値になってしまっており、ある意味では劣化したとも言える状態になってしまった。
詠唱
太極
――太・極――
(――たい・きょく――)
随神相――神咒神威・無間焦熱
(かむながら――かじりかむい・むげんしょうねつ)
火柱掃射
おお、道神よ。憤怒して魔性を撃破せよ。あなかしこ
オン・ケンバヤ・ケンバヤ・ウン・ハッタ