概要
小説家になろうで連載しているweb小説。
作者は「異世界魔法は遅れてる!」の樋辻臥命氏。
2018年12月16日に連載が開始し、2018年9月30日にマイクロマガジン社GCノベルズにて書籍化。イラストはふしみ彩香氏が担当している。現在6巻刊行。コミック化は3巻。
数多くの転生?作品に当たるが、あくまで「別人格の記憶」を継続した「今世の主人公」である。
特色としては魔法特有の呪文であり、他の作品とは一線を凌駕する構成力が本作の魅力。
物語
ライオネル王国貴族、レイセフト家。
子爵なれど古参で優秀な魔導師を輩出する軍家の一つ。
主人公『アークス・レイセフト』は時折、不思議な夢を見る。それはこの世界とは異なる世界を生きる男のものである。
アークスは本家の長子として生を受けたが、6歳で魔力量の少なさを理由に廃嫡される。
選ばれし後継者は妹『リーシャ・レイセフト』となり、廃嫡されたアークスは一族や使用人達から冷遇される日々を送る事となる。
それでも家族に認められるよう努力を重ねたものの、疲労で病に伏せていると両親から絶望的な言葉を吐き捨てられる。
そのとき、アークスの中で変異が起こた。夢見る男の体験とアークスの自我が合体したのである。目覚めたアークスは決意した。
自分を無能と蔑む両親を見返す為に、男の知識で魔法を極め、魔導師となろうと。
そして
――――レイセフト家をぶっ潰す!!
登場人物
主要人物
本作の主人公。軍家の名門であるレイセフト家長男。物語当初は6歳
魔力量の少なさから廃嫡されるも異世界の男の記憶が覚醒してからは成り上がっていく。
自他ともに認める女顔。魔力量は市井と変わらず、2000程。
- ノア・イングヴェイン
アークスの従者。執事。貴族出身。年齢は二十代前半。
【氷薄】の通り名を持つ魔導師。魔法学院首席卒業者。
クレイブの従者でアークスの護衛兼教育係として配属された。家事、教育、武術や隠密行動などあらゆる分野を完璧にこなす超人。五十年に一人の天才と謂わしめた実力者でもある。
怜悧な美貌を持つ青年。特徴はモノクル。冷静沈着な性格だが癖があり、毒舌家。しかも愉快犯でアークスの行動には表面上は苦言を零すが常に期待している。
ナダール討伐戦では友軍を援護して活躍し、アークスがレイセフト家から出奔するとアーベント家の別邸に移住した。
父の研究とアークスから虚数の知識を得た事で【天地開闢碌】の一つ「ナルダミゴスの氷河」を発現させる呪文を開発。魔人グロズウェル討伐戦で披露し、大打撃を与えた。なお、紀元書に記された【聖賢】の右腕と判明。
書籍版の番外編では元はスヴェルグ男爵家の嫡男として生を受けたが、上役の謀反により一族や領民共々クレイブに葬られた過去を持つ。クレイブへの復讐心に囚われ従者として付き従う側らで幾度も暗殺を試みたが失敗。彼の説得を受けてからは恨みを捨て去り強い忠誠心を抱くようになる。
武器は細剣。得意魔法は氷結系。一族秘伝の魔法を有してはいるが作中では使用していない。
- カズィ・グアリ
アークスの二人目の従者。執事。平民出身。年齢は二十代後半。
【禁鎖】の通り名を持つ魔導師。平民初の魔法学院首席卒業者。
ガストン侯爵の違法な金貸しによって家族を失った過去を持つ。自暴自棄となり、家族の死の原因である金に強い執着心を持つようになった。一時は犯罪に手を染めていたが依頼でスゥを誘拐するとき、アークスに敗れて封印塔に収監された。四年後に囚われたアークスと再会し、利害一致で脱獄。奇しくも宿敵のガストン侯爵への復讐を果たし、恩義で従者に志願した。
ナダール討伐戦では友軍を援護して活躍し、書籍版では近衛隊の勧誘を受けた。アークスがレイセフト家から出奔するとアーベント家の別邸に移住した。
アークスから様々な知識や戦闘を得て【精霊年代】から「ウェッジの楔」を発現させる呪文を開発。魔人グロズウェル討伐戦で披露し、滅ぼした。なお、紀元書に記された【聖賢】の左腕と判明。
アークスを「俺のご主人様」と呼ぶ。非常にフランクな関係で忠誠心よりは友達感覚に近い。
悪人面で性格は皮肉屋。根は真面目で面倒見が良く、慕う後輩は多いので顔が広い。語尾に「キヒヒ」と特徴的な声を出す。敬語が苦手。優れた呪文の構成力を持ち、【精霊年代】から引用した助成魔法や防性魔法を得意とする。武器は鎌。
- スウシーア・アルグシア
アークスの友人。愛称は「スウ」。年は一つ上。
街で散策中にカズイに誘拐されかけたときにアークスに救われた。魔法が大好きで、アークスと共に学びながら友情を築き上げていく。黒髪で瑠璃色の瞳を持つ美少女。
性格は無邪気。時折、雄々しい口調で話す冷徹な二面性を持つ。事あるごとにアークスに出世を促し、彼の野心に火を点けた。監査局と内通しており、基本的にアークスの行動は把握している。
アークスが魔法院に入学するとトラブルの度に現れ、裏で彼を後援する立場をとる。彼には独占欲を見せており、シャーロットを煽っては牽制している。
実は王家と繋がりが深いアルグシア公爵家の令嬢。魔法院でも多忙な身の上から国定魔導師の授業しか参加しない。別室に『たまり場』を作り、アークスや他の生徒達と交流している。
膨大な魔力量と細身な外見に反して剛腕な腕を持つ。天稟は魔法の威力強化。
幼い頃から王国を強くしたい、というある人物と同じ夢を抱いているが…?
ライノール王国・貴族
- クレイブ・アーベント
アークスの伯父。ジョシュアの実兄。軍官貴族。男爵。
【溶鉄】の国定魔導士。かつてはアークスと同じ境遇でレイセフト家の嫡男として生を受けたがジョシュアの魔力量に負け、廃嫡された。後に諸国で腕を磨き帰国後は戦果を挙げて国定魔導師試験に合格し爵位も手に入れた。
その功績で歪んだ弟に冷遇されるアークスに自責の念に駆られ、師匠兼親代わりとして魔法の訓練や魔力計の開発など支援の他、ノアを従者に就かせ貴族教育も行った。
色黒で一族特有の銀髪赤眼。性格は奔放かつ勇猛果敢。しかしルノー曰く「根暗」らしい。
研究者としての側面も持ち、魔力の気配察知を発見した人物でもある。常に葉巻を吸っている。サファイアバーグに妻と娘がいる。
弟とは複雑ながらも兄弟の絆は保たれていたがアークスの廃嫡を機に距離が生じていく。
子供時代は廃嫡が原因で荒れており、問題を起こす度に諫めたゴッドバルドとは旧知の仲。
国王シンルとは親友同士で、当時は「ライ」という名で正体を隠していた彼と一緒に町で暴れていた。諸国を旅していた時にバルバロスと交流と持ち、アークスと共に狙われている。
書籍版では王命で反乱を起こした貴族やその領民を虐殺した過去が明かされている。ノアはその生き残りで、あえて彼の復讐を受け入れ転機を与えた。また、青年期にガウンと出会った事もある。【天地開闢碌】の一つ「アカツナミ(マグマ)」の呪文を操る。
天稟は一族特有の火耐性と強化。魔力量は13000程。
- ジョシュア・レイセフト
レイセフト家の当主。軍官貴族。子爵。愛称は「ジョッシュ」。クレイブの弟。
一族の伝統を重んじ、規定以下の魔力量しか持たない実子アークスを見限り、廃嫡した。
優秀な魔導師だが将才の方が秀でており、上司のパースからの評価も高い。氾族から【銀火】と呼ばれている。
名家当主の矜持に固執し亡き先代からクレイブの出世が原因で失敗の烙印を押されてからは世間体を気にしている。故に期待を裏切ったアークスを憎悪し、兄からの牽制と世間体から追い出さないものの養育を放棄して妻と共に虐待を加えた。その一方でリーシャに期待と愛情を注ぎ、アークスを世に無能と吹聴する。
白銀十字功勲章を授与されても評価を改めようとせず、その頑なな姿勢にはセイランから「見る目がない」とまで酷評され、周囲からも疑念を向かれるようになる。
兄との絆は保たれていたものの、息子への冷遇を機に距離が生じていく。
性格は真面目だがクレイブ曰く「僻みっ子」。亡き先代の撤回や魔法院で挫折を味わった過去、そして兄への劣等感で現在の歪んだ人格が形成された。
顔立ちは兄と似ており一族特有の銀髪赤眼。天稟は一族特有の火耐性と強化。
- 先代当主
先代レイセフト家当主。本名不明。クレイブ、ジョシュア、ダドリスの父親。
物語に深く関わらないが、息子達の確執とクレイブ、アークス出奔の原因を生み出した張本人である。
長男より多くの魔力量を有した次男を跡継ぎにしたが、クレイブが出世した事で国内のみならず各国から大恥をかく。死ぬ間際に息子達に自らの選択の失敗を告げて息を引き取った。
クレイブ曰く「クソオヤジ」。魔力量を絶対視していた価値観はジョシュアの人格にも大きな影響を与えてしまった。
生前は凡庸であり、名家に見合った実力は持ち合わせていなかった。
- セリーヌ・レイセフト
ジョシュアの妻。アークスの実母。
普段はお淑やかだがヒステリック持ち。夫に追従しており、レイセフト家の因習にも染まりきっている。
アークスとリーシャを平等に可愛がっていたが、息子の廃嫡後は一転して虐待するようになった。その振舞いからクレイブに快く思われていない。血の繋がりのない姪リーシャを実子として接し、おめかしには力を入れている。
茶髪の女性。
- リーシャ・レイセフト
アークスの義妹。レイセフト家の嫡子。
クレイブとジョシュアの末弟ダドリスの娘でアークスとは従兄弟。父亡き後はジョシュアに同年の兄妹として育てられた。兄が廃嫡されると跡継ぎに決まり、両親の愛情を一心に受けるようになる。
兄への思慕から申し訳ない思いと両親の期待との間で板挟みとなり、密かに苦悩する。
12歳のとき、一族の試練で「悪魔」に憑りつかれてしまい共同生活を余儀なくされる。役立つ知識はあれど専門用語が並ぶ為、会話は成り立っていない。
性格は真面目で努力家。歴代当主の中でも優秀な魔力量を持ち、魔導師として優れた才能を兼ね備えている。本人の素直な気質とジョシュアの影響からか性格も含め他者への評価は頑なである。
父の英才教育とアークスから贈られた魔力計と呪文の恩恵により他家から一目置かれる存在となる。
幼少からアークスの実力を密かに知っているので両親を含めた魔力主義者を疑問視し、応援しているもののクレイブからは密かに警戒されている。
銀髪赤眼でポニーテールが特徴的。たれ目で愛らしい顔立ちをしている。天稟は一族特有の火耐性と強化。魔力量は11000程。
- パース・クレメリア
クレメリア家当主。伯爵。東軍を率いる将軍。ジョシュアの上司。
王国式の凄腕の剣術の使い手。貴族の矜持を示す堅実な人格者。王族への忠誠心も高く、国王からも評価されている。
先代レイセフト家の跡継ぎ問題を目の当たりにしている為にジョシュアの判断を早計と告げたものの聞き入れられる事はなかった。
ガストン侯爵が起こした誘拐事件ではクレイブとジョシュアと共に対処する。魔力計の発表には参席し、アークスを改めて評価すると同時に追い込まれた現状を不憫に思っている。娘の婚約は一度破棄したが、再び宛がおうとしている。天稟は近未来感知。
- シャーロット・クレメリア
パースの娘。アークスの婚約者で二つ年上。伯爵令嬢。
父と同じく凄腕の剣術の使い手。潔癖で誇り高い性格の持ち主。酒に弱い。
アークスの噂を鵜呑みにし、婚約破棄を受け入れた矢先に監査局の陰謀に巻き込まれガストン侯爵に誘拐された。後にアークスの救出劇に彼の実力を目の当たりにし、尊敬と憧憬を抱くと同時に婚約も前向きに検討するようになった。事件後は不本意ながら婚約は解消されてしまい、アークスと文通を交わす。
アークスとは友人になるが彼の魔法院入学に伴いスウとの接点が増え、彼女には対抗心を剥きだすようになる。
web版でスウとアークスの関係を知るのはナダール戦後であるが、書籍版では2巻でアークスと共にガウンの依頼を受け活躍した。
天稟は視覚による近未来予知。ミルクティー色の髪を持つ美少女。
- イアン・クレメリア
クレメリア家嫡子。シャーロットの兄。
父と同じく凄腕の剣術の使い手。アークスの実力に興味を抱き、実力を確かめるべく門下生に命じて妹との稽古試合をさせた。温和な容姿だが内面は強か。
ミルクティー色の髪を持つ中肉中背の青年。
- カール・ガストン
ガストン家当主。侯爵。文官貴族。
悪い噂が絶えず、常に金儲けに腐心し領民すら餌食にする非道な人物。交渉の場でも常に勝ち戦しか経験がなく、想定外の対処は苦手としている。また、アークスを王太子セイランと重ね合わせ、危機感を抱くなど察知能力に長けている。
監察官が手に入れた不正の証拠を持つリーシャと居合わせたシャーロットを誘拐し、口止めとして処理しようとしたがアークス達の襲撃により失敗。そして被害者遺族であるカズィの私刑でボコボコにされた後、クレイブ、ジョシュア、パースに捕まった。そして同じ派閥の貴族にも見捨てられ、セイランに釈明を訴えるも処刑された。
- ポルク・ナダール
ナダール家当主。伯爵。文官貴族。
私腹を肥やすべく帝国との裏取引で銀を流し、ラスティネル領や各地で悪事を繰り返していた。王太子セイランの視察で騙し討ちを仕掛けるもアークスの機転で断念。帝国側に鞍替えしセイランの首を取るべく蜂乱を起こし、王国とのナダール討伐戦が勃発した。
帝国軍の援軍は得られたが相次ぐ予想外の展開に軍を引き、最後は籠城戦でルイーズに敗れた。豚やカエルに似た肥えた容姿に青白い肌をしている。慎重派で統治する能力は有していたものの、王国や帝国からも都合のいい駒として看做されていた。
- ダウズ・ボウ
ボウ家当主。伯爵。軍官貴族。
体格が良い事と面の皮が厚いだけで実力が伴っておらず、セイランの挨拶や軍議でも立て続けに失態を晒した。
セイラン達に評価されるアークスを目の敵にし、事あるごとに罵っている。ちなみにセイランからはとうに見限られており、解説の引き立て役として他の者達を貶せずに済むので放置されている。ナダール討伐戦では勝ち馬に乗るべくラスティネル軍に追従するが帝国の奇襲に恐れをなし、味方を巻き込んで撤退した。後に処罰される。
- エウリード・レイン
レイン家当主。伯爵。王太子セイランの護衛で近衛部隊隊長。
優れた槍術の使い手で、戦では大槍を武装している。セイランの補佐的な役割も担い、魔法の好奇心を抑えられずにいる時や優柔不断な判断を一括している。
ナダール討伐戦では近衛部隊を指揮し、初陣のアークスに戦の心構えを教示した。
帝国軍の参戦でセイラン達を部下に任せ本陣から後退させるがレオンの策略に誘導されてしまい、デュッセイアの奇襲を受けてしまう。
性格は冷静で気配り上手。絵に書いたような美丈夫。
- ブレンダン・ロマリウス
ロマリウス家当主。公爵家の一人。
眼光が鋭く荘厳であり、軍官貴族らしい出で立ちをしている。
- エグバード・サイファイス
サイファイス家当主。公爵家の一人。魔法院の学長を勤めている。
一族の掟により魔法院の地下に眠る【魔人】を倒す【聖賢】の再来を心待ちにしている。
当時10歳であったアークスの魔力計の発表で同席しており、魔法院内で彼の能力を見定めようとしている。
ドアネス王国の暗躍で魔人が復活し、国定魔導師達と共に後援に駆けつけた。アリュアスの発言で待ち望んだ【聖賢】再来に感激し、アークスに忠誠を示す。
ローブを羽織っており、白髪で仙人のような容姿をしている。グロズウェルの子孫。天稟は抑圧。
- コリドー・ゼイレ
ゼイレ家当主。公爵家の一人で南部を率いている。
他の公爵家と比べると家の歴史は浅く当主自身の年齢も若いが、強い向上心を持つ野心家でもある。
若年層の中で断トツの才能を持つケインを特別目を掛け、セイランの従者に推薦し末娘を宛がう。
- ルイーズ・ラスティネル
王国傘下ラスティネル領の領主。政治や軍事にも優れた手腕を持つ女傑。
【首狩りの魔女】【馘首公】などの異名を持ち、帝国から恐れられている。
ナダール伯爵の悪事に領内を荒らされるが、アークス達の吉報を受けナダール領に赴く王太子一行を救出した。息子や家臣共々ナダール討伐戦に参戦し、ボウ伯爵の撤退で崩れた陣営を急遽指揮する役目を担う。籠城戦ではナダール元伯爵の首級を挙げた。論功式では大十字殊功勲章を授与する。
臣下達からは「アネサン」、息子からは「カーチャン」と呼ばれているが不本意。人の評価は辛口で厳しいがアークスを気に入り、縁を深めるよう進言している。
洒落っ気がなく、山賊のような恰好をしている。性格は豪放かつ勝気。息子と同じく戦闘狂で血の気が荒い。
- ディートリア・ラスティネル
ラスティネル家嫡子。ルイーズの息子。愛称は「ディート」。アークスの一つ年下。
領地で暴れる盗賊を調査中、アークスと出会い協力して犯人を捕縛した。ナダール討伐戦では【狂戦士】の如く活躍する。
アークスに感銘を受けてからは「アニキ」と呼び慕うようになる。
文武共に優秀だが根っからの体育会系で事務業を苦手としている。赤茶髪が特徴。性格は無邪気で好戦的。血の気が荒く、母親と揃って戦闘狂。敬語を好まず上下関係には緩い。
武器は先祖代々から伝わる大剣【断頭剣】。
- ガランガ・ウイハ
ディートのお目付け役。家臣達の筆頭格。
帝国との戦で幾つも武功を挙げた猛者。アークスの噂から疑惑を抱いていたが【断頭剣】を修理し、魔法の実力に感服してからは態度を改める。性格はお調子者で下っ端口調。
- ガドウルド・ベルハーン
ライノール王国の西北部を拠とする大軍閥の長。
【大将軍】と呼ばれる程の勇猛で心理戦も得意とし【奇道】の異名を持つ。
ナダール討伐戦では軍内部の間諜を疑い、意図的に召集を辞退し後援に回った。
魔法院
- ケイン・ラズラエル
子爵ラズラエル家の嫡子。南部の軍官貴族の一人。
同世代の中で際立った魔力量を保有しており、魔法の才から世間では【勇者】の再来と名高い。魔法院での入試試験は次席。
その才能を見込んだコリドーによりセイランの従者に推薦されている。気立てがいいが持て囃される現状に虚しさを抱えている。
魔人事件ではジエーロに対抗するが手も足も出ず、逆に一方的に倒したアークスの実力を目にする事となる。
偏見は見せないが魔力量主義者。アークスには友達と好敵手としたい複雑な感情を向けており、接し方が上手くできずにいる。
茶髪茶眼の爽やかな風貌の少年。南部特有の土魔法の使い手。魔力量は約20000程。
- エイミ・ゼイレ
コリドーの末娘。公爵令嬢。
文官貴族の娘でありながら優れた魔力量を持ち、父の策略で身分差をごり押ししてケインの婚約者となる。優れた才を持つケインを自慢に思っており、非公式の話でも口を滑らせてしまうなど色々と脇が甘い。
金髪の美少女。魔力量は10000程。
- オーレル・マーク
南部の軍官貴族の一人。伯爵令息。魔法院での入試試験では八位。
ケインを一方的にライバル視しており、石秋会や学院でも勝負を繰り返し敗北している。
魔人事件では肉の塊に囚われるもアークスに救われ、魔人討伐でも援護に回った。
短気だが理解力は備わっており、単純かつ素直な性格でもある。
- ルシエル・アルカン
文官貴族の一人。男爵子息。
政略結婚から逃れる為に文官でなく魔導師として食べていく事を目標にしている。
常に気だるげだが優れた観察力や分析能力を持つ。魔法建築学を好み、建物に関しての呪文だと装飾が細かくなる。
ケインに媚びず、教室では孤立気味のアークスとも気にせず交流している。
黒髪に青いメッシュの入った少年。『たまり場』を利用している一人。
魔人事件では戦闘未経験ながら必死な覚悟で援護に回った。
父のコネで石秋会で魔法を習っていたが、南部の魔導師達には密かに反感を抱いている。
余談であるがアークスが同性の友人として認めている唯一の存在だったりする。
- セツラ
平民出身。非魔導師。北方出身。
仕草があざといのでアークスからはウザがられている。どこか怪しく、アークスの行動をよく見ている。『たまり場』を利用している一人。
その正体はヒオウガ一族の四鬼天の幹部。アーシェラの命で部下達と共にアークスを監視していた。魔人事件で正体を明かし、以降は表と裏の人格を使い分けて従順に付き従っている。
素は冷静沈着な性格で陰気な雰囲気を纏っている。髪留めで角を隠している。
年齢以上に発達した肉体の持ち主。濃い青髪の美少女。
- ミリア・ランバルト
北方出身。留学生。
異常なまでの方向音痴で、魔法院で迷っているときにアークスに助けられる。『たまり場』を利用している一人。独特な言い回しをする。
何故かアークスには常に上から目線で非常に毒舌。リーシャや他には普通に接している。
正体は銀の明星で【不空】の称号を持つ。ドネアス王国の間者として魔法院に入った。ただしジエーロとは敵対した立場で、あくまで魔人計画を壊す為に派遣された。
魔人グロズウェル討伐に協力し、アリュアスと合流した後は正体を明かして王国を脱出した。
アークスとリーシャを気に入っており、特にアークスに対しては自ら勧誘する程実力を買っている。
桃色の髪を持つ小柄な美少女。耳のような髪飾りが特徴。対魔人・魔王に特化した化学兵器に近い武装を持つ。
- クローディア・サイファイス
魔法院三年生。エグバードの孫娘。公爵令嬢。
両親を事故で無くし、唯一の肉親である祖父を敬愛している。
次期当主として【聖賢】の再来を待ち望み、魔法院の強化を図っており一部の生徒達を率いて魔法院の「女帝」の如く君臨している。
魔力量に重点を置き、相応しくないアークスを自主退学を勧めるが断られたので敵視。その後は決闘を挑むも連続で敗戦し、以降は己の従者にするべく執着心を抱くようになるが『たまり場』を利用するようになってからは態度を軟化させる。
魔人事件ではドアネス王国側の間者達に囚われ、罠に嵌まり魔人を解放してしまう。アリュアスの気まぐれで生還し、復活した魔人グロズウェルを討伐するべく戦闘に参加した。
魔法院での魔力量と成績はスウに次ぐ2位であり、彼女への対抗心も向けている。努力家でしつこい性格。
優美な容姿を持つ金髪の美少女。グロズウェルの子孫。天稟は抑圧。
国定魔導師
- ゴッドワルド・ジルヴェスター
【金剛】の国定魔導師。第一席。
魔導師ギルドの長を勤めてる。クレイブとは旧知の仲で、彼が若き頃に跡継ぎ問題で騒ぎを起こす度に諫めていた。そして修行をし終えたクレイブに国定魔導師試験を勧めた人物。
魔力計発表以降はアークスに工房を与え、定期的に取引をしている。国定魔導師の中ではクレイブに次いでアークスと接点が多く、彼を国定魔導師にするべく協力している。
非常に顔が怖いのが特徴で、女子供に泣かれるのが悩み。
- ガスタークス・ロンディエル
【城塞】の魔導師。第二席。侯爵。
ライノール王国の大英雄。魔力計を開発したアークスに偉大な可能性を感じ、夜会で偶然出会ったリーシャを激励した。非常に強力なオリジナル呪文を有している。
外見は老紳士ではあるが、生粋の女好きで幼い少女を見ると成長後の妄想を膨らませる厄介な癖がある。アークス曰く「変態紳士」。ちなみに息子や一族も同じ性癖。
【天地開闢碌】の一つ「瀝青の巨人レガイア」の呪文を操る。
- ローハイム・ラングラー
【水車】の魔導師。第三席。伯爵。
国定魔導師の中でも優れた頭脳の持ち主で、重役の将軍達の信頼も厚い。魔力計の発表では率先してアークスに質問し、歴史的発明に感嘆した。
ナダール討伐戦では王太子セイランに付き添い、 魔導師部隊を指揮する。
一族は代々王家の魔法指南役を務めておりセイランからは「わが師(シシェ)」と呼ばれている。温厚ながら容赦がない性格。細かく詰めておきたい性分。
全身黒尽くめの恰好で年齢不詳。フレッドからは「大旦那」と呼ばれているのでおそらくはクレイブより年上と思われる。
【天地開闢碌】の一つ「ヴァーハの大渦」の呪文を操る。
- クレイブ・アーベント
【溶鉄】の魔導師。第四席。
アークスの伯父。詳しくは貴族に記述。「初代困った君」。
- ルノー・エインファスト
【護壁】の魔導師。第五席。
国定魔導師の進行役。書籍版では先行登場しており、若き頃、シンルやクレイブ、そしてエイドウと共に町の平穏を取り戻すよう努めていた。
深い隈が特徴の男性で銅色の髪を持つ。かなり厳格な性格。
- フレデリック・ベンジャミン
【剣匠】の魔導師。第六席。愛称は「フレッド」。
国定魔導師の中では「二代目困った君」でクレイブに次ぐ問題児。
若さ故に失言が多い。基本的にマイペースかつ面倒くさがり屋だが、関心がある事には行動的。常にクルミを持っている。
- ミュラー・クイント
【恵雨】の魔導師。第七席。
医療部門を担当している。魔力計の発明には誰よりも感激し、アークスに感謝状を贈る。
後にアークスのパトロンの一人として交流を持つ。目に何かしら抱えている模様。
かなり腰が低く、謝罪癖がある。前髪が長いのが特徴で白いドレスを身にまとっている。
- アル・リツェリ・バルダン
【疾風】の魔導師。第八席。
ライノール王国傘下独立君主ツェリプス王国国王。
通り名に反して肥満体型の男性。開発が趣味であり、アークスを競争相手と認める。
- メルクリーア・ストリング
【対陣】の魔導師。第九席。年齢は二十代前半。
主に敵国の魔導師の魔法に対抗するための研究を行っている。ノアの恩師。
「~です」が語尾につくのが特徴。言動や仕草は子供っぽいが抜け目がない性格。
王国では珍しく黒髪黒眼。西洋の魔女っ子のような姿をしており、少女の如く若々しい容姿をしている。
- シュレリア・リマリオン
【狩魔】の魔導師。第十席。
同盟国サファイアバーグの将軍。猫耳のようなフードを被っている女性。
- カシーム・ラウリー
【眩迷】の魔導師。第十一席。年齢は二十代後半。
カズィの魔法院での後輩であり、彼の失踪後は密かに身を案じいた。お人好しで同僚達の個性が強すぎるせいか、雑務を抱えており喧嘩を起こすフレデリックとメルクリーアの仲裁役にもなっている。
柔和で気弱そうな容姿をしている。短く切りそろえた癖毛の濃い紫髪に眼鏡をかけた青年。
- アリシア・ロッテルベル
【渇水】の魔導師。第十二席。年齢はアークスより六つ上。
現時点で最年少の魔導師だが人格の異常性により【天界の封印塔】収監されている。書籍版ではアークスとカズィの脱走を手助けし、再会を望む。体内の水分を奪う呪文が得意。アークスを「ウサギさん」と呼ぶ。
本編では魔力計会議で登場。不思議系で視野も広く推測能力も長けているので、理論主義なアークスが密かに苦手意識を抱いている。
十代後半青い髪と瞳を持つ。車椅子で全身を拘束されてはいるがいつでも解除できる。
監査局
- リサ・ラウゼイ
監査局長官。伯爵。
スウの命令で【天界の封印塔】の監視を緩め、アークス一行脱獄の手引きに協力した。
王家に絶対的な忠誠を誓っており、性格は真面目で理想主義者な面がある。
ナダール討伐戦では国王の命令でセイランの護衛も勤めている。アークスを盲目的に信頼するセイランに密かに危機感を抱いているが後に評価を改める。飲酒家だが弱い。カズィの魔法院時代の後輩で密かに慕っている。桃色の髪の眼鏡美女。
- オズワース
捜査員。ガストン家の不正を入手するべく、ガストン家に使用人として潜入していた。
シャーロットとリーシャを利用し、意図的に誘拐事件を誘発させる。
謀略に長けてはいるが非常に野心家で二人の令嬢の生命を犠牲にする事も厭わない。
最後はアークスに粛清される。
王族
- シンル・クロセルロード
ライノール王国国王。善政を築き、民に恐れられている名君主。
国内最強の魔導師で魔力量も最上位に当たる。クレイブとは親友の間柄で、少年時代は「ライ」と名乗り城を抜け出し彼と街で暴れ回っていた。
先代から権威を取り戻すべく、精霊の末裔の女性を第二夫人に娶り【神子】のセイランを作り出した。第一夫人との間に王子がいるが、母子共に権力から遠ざけた生活を送らせている。
魔力計を発明し戦争でも活躍したアークスを特別目にかけており、王家に繋ぐべく各公爵家に牽制を敷いている。
態度は陽気だが捻くれており、内面は熱い。完璧主義者でクレイブ曰く「理不尽」な性格。
秘伝魔法は雷。
- セイラン・クロセルロード
ライノール国の王太子。第二夫人の子。掟によりベールで常に顔を隠している。性別不明。
諸国では天才と名高く、魔導師としての才能も卓越している。常に魔力で圧倒的な威圧感を纏い、周囲を畏怖させる事ができる。
国王シンルが精霊の末裔との間に作りだした【神子】であり、ライノール王国を強化し万古不滅にすべく大望を抱いている。
ガストン侯爵が起こした誘拐事件と監査局の工作の裏で活躍したアークスに興味を抱き、ナダール領視察ではアークスに窮地を救われ、軍議や討伐戦に同行させて自ら臣下に誘い入れた。
自分の期待に応えてくれるアークスに絶対的な信頼を置いており、大切に想っている。
膨大な魔力量を持ち、古風な剣術を操る。他にも毒無効化、敵意に勘づく嗅覚など特殊能力を持つ。常に厳格かつ重々しい口調で話し、態度は公明正大。しかし魔法に関わると好奇心が抑えきれず暴走する。国王曰く「魔法バカ」。秘伝魔法は雷。
ある少女と同じ夢を抱いているが…?
ギリス帝国
- リヒャルティオ・ギルラン
ギリス帝国皇帝。各国から恐れられる人物。
合理的主義者で人情が欠落している。無慈悲な言動に一部からは「からくり」という悪口が広がっている。
ナダール討伐戦後はデュッセイアの氏族達を生贄に王国との和平を図る。報告で王太子セイランを守ったアークスに興味を抱く。
痩躯で優美な容姿を持ち、息子と年齢差を感じさせない容姿を持つ。
飛行魔法を操るとされ、一部からは不死とも謂われている。
- エルネスト・ギルランディ
ギリス帝国皇太子。リヒャルティオの息子。
父親と瓜二つの容姿を持つ。
- レオン・グランツ
東部面軍所属。将軍。
常勝に恥じぬ策謀家で、若き頃はライノール王国の砦や剣を奪取した功績を持つ。
王国魔導師の練度の向上に伴い、銀の消費量に着目しナダール伯爵を介して銀の不正取引を行っていた。そしてアリュアスとの裏取引で意図的にナダール領蜂乱を誘発させる。
綿密な作戦でセイランの首級を挙げようとナダール討伐戦で援軍を出すも、奇襲戦でアリュアスの独断や予期せぬアークスの活躍、更に国王の援軍により失敗し、軍を撤退する。
実直堅実な性格でデュッセイアの身の内を察し、活躍の場を譲るなど部下想いの一面を持っている。喫煙家。
有能な部下達の教育はスパルタ形式で、あえて敵国に工作員として送り込んでいる。
- バルグ・グルバ
遊撃部隊所属。将軍。帝国最強と謳われ、一人で万軍に匹敵するとも言われている。
ナダール討伐戦ではレオンの命で参入したが方向を左右間違えセイランが率いる近衛隊に突撃した後、ナダール軍や王国の兵を蹂躙した。性格は豪放で猪突猛進。頭が弱い。
【知略殺し】の異名を持つ。豊富な毛に覆われた巨漢で、巨馬に跨ぎ二本の戦斧を武器にしている。その凶悪な実力は王国の西側諸侯の恐怖の対象となっている。デュッセイアの故郷と父親を滅ぼした張本人でもある。天稟は魔法無効化とされるが、威力により傷は残る。
- デュッセイア・バルカ
東部面所属。副将。かつては帝国と敵対していた氏族の族長の長子。
帝国に敗戦し、有望な能力を見込まれて現在の地位に就いている。帝国に不信感を抱いているが一族の為に手柄を挙げる事に拘り、レオンの命令で作戦を実行。セイランを狙って黒豹騎部隊を率いて奇襲した。
しかしアークスを小姓と誤解して実力を見誤ってしまい、アリュアスの援護もなく二人の策略に嵌まり全滅した。
故郷や一族を想う気持ちは強く、その気迫はセイランすら畏怖させた。
家族想いな性格。禁煙者。帝国に反感を抱く妹がいる。
- リヴァル・コースト
帝国軍南部方面軍所属。平民出身。
軍学校で優秀な成績で卒業したがレオンの命でナダール領の工作員に送り込まれる。現状の不満にぼやいていたが実際はレオンの教育方針によるもの。
アークスやディート達の襲撃で裏取引の証拠を残してしまったものの、逃亡に成功しレオンの元へ戻った。ナダール討伐戦ではレオンの傍に控え、尉官として勤めている。
銀の明星
- アリュアス
【不滅】の魔導師。
【魔導師の挽歌】の生き証人で、世界崩壊を防ぐべく各地で暗躍している。
王国魔導師の練度向上が魔力計開発に気付き、ナダール伯爵の滅亡の見返りに新防性魔法【第一種障壁陣改陣】を帝国に与えて調査した。
ナダール討伐戦で【第一種障壁陣改陣】が敗れてしまい、打ち破った魔導師を突き止めるべくデュッセイアの奇襲戦に同行する。そこでアークスの魔法を目撃した事で、魔力計の開発者であると確信し、連れ去ろうとしたがクレイブの助太刀により断念した。
翌年には魔人討伐の為にライノール王国魔法院に講師ジョハンナとして潜り込み、ドアネス王国の間者を手引きして魔人を復活させる。討伐後、アークスに見破られて正体を明かし、彼と従者達を【聖賢】【鈴鳴り】【宿り木の騎士】の生まれ変わりと告げ、ミリアと脱出した。
アークスに深い感銘を受けており、一国に埋まる魔導師の器ではないと考えている。
アークスでも知らない炎に関する魔法文字を操る。霧のような姿で移動している女性。
北部連合
- メイファ・ダルネーネス
ダルネーネス領、複合要塞の主。国内外から【鐵の薔薇】と異名を持つ女性。
部下達にナダール討伐戦で活躍したアークスの存在を知る。
書籍版では王国魔導師の練度向上の原因を突き止めるべく、訪問の際に間者を潜り込ませた。しかし自身の失態を狙った内部関係者によって事件が起き、目的を果たせず撤退する。解決に導いたアークスの実力を目の当たりにし、強い関心を示す。連合の中では王国派。
魔力計発表式で自らアークスを勧誘し、各国の重鎮達に有能性を確信させた。
冷静な性格で冗談が利かない。ダークブロンド色の髪と、記言書に記された【鐵の縛瞳】を宿しているので瞼を常に閉じている。瞳を開くと能力が発動し、対象物を黒く硬化させる。年齢は二十歳前後。
- ロックス
メイファの部下。各地で情報を収集する仕事を担っている。
重労働者で目のクマが酷く、やや不衛生。魔力量を重視する魔導師には冷めた感情を抱いている。神出鬼没なギルズに辟易している。書籍版5巻で名前が判明した。
海洋国家グランシェル
- バルバロス・ザン・グラードン
海洋国家グランシェルの国王。
書籍版2巻にて登場。身分を偽り、王都で妖精ガウンの依頼を受けたアークス一行に助力した。
帰国後は戦棋の戯れと偽りアークスに難攻不落城塞都市ゼイルナー攻略の道筋を示させた策を実行し、大成功を収める。妖精ガウンの事件の一件も含めアークスの有能さに執心する。
ナダール討伐戦後はアークスの活躍を聞き、離間工作として報酬を送る。
魔力計発表式でお互いに正体を知った上でアークスに声をかけ、再び勧誘した。
夢を語るロマンチストで、頂点に立つ事を夢見ている。アークスが惹かれた程の器量を持つが本性は凶悪なまでに強欲。国王シンルからはギリス帝国以上の難敵と見做されている。
web版では魔力計発表式で登場し、敵国ではあれど事情は複雑でシンルとの仲は不仲ではないとされている。
クレイブとは旧知の仲で彼が修行の旅に諸国を回っていた時に船に乗せていた。
海賊のような風貌の巨漢な男。年齢は五十を迎えるが容姿は若く活力に漲っている。
- ヴェイパー・アルザス
書籍版5巻にて登場。
城塞都市ゼイルナーの元国王。アークスの策を実行したグランシェル軍に都市を陥落された後、地方で対抗していたが敗北。一族の為に傘下に加わった。
バルバロスが認める程の有能な男。
ヒオウガ族
- アーシュラ
大族長で四鬼天を配下に持つ。
衰え始めた一族を憂い、紀元書に記された導師に望みを掛けて探し続けている。
論功式典でアークスを見初め、単独で接触。鳳の証を持つ彼を導師だと確信し、彼に仕えるべくセツラに命じて身辺調査を始めていく。
一族の中でも特に信心深く、導師への渇望が強い。黒髪で絶世の美貌を持つ女性。
- ヤハンニ
アーシュラの部下。密偵役。
アークスの容姿を見て導師の存在に疑念を抱く。言い伝えを信じるアーシュラと異なり、否定的。
ドネアス王国
- ルジャーノ・ドアネス
国王。ライノール王国を敵視している。
ジエーロが提案した帝国とのライノール王国への破壊工作を渋るが、魔力計欲しさに実益を取った。
視野狭窄で指導者として有能とは言えない人物。
- ジエーロ
工作員。
魔法院の地下に眠る魔人グロズウェルを解放し、帝国と組んでライノール王国内部を破壊する作戦を国王に提案した。
実は破壊工作は魔人の力を手にする為の建前に過ぎず、作戦通りにクローディアを騙して魔人を復活させる。力を得た後は魔法院で暴れ、講師や生徒達と対立。圧倒的な力に酔いしれるが本人の知識の甘さで本来の力を発揮できず、アークスに盲点を突かれて窒息死した。その後はグロズウェルに肉体を乗っ取られ、最後は塩となった。
貫禄のある肉体に凶相を持つ壮年の男。
その他
- ギルズ
流浪の商人。イメリア出身で地球の関西弁で話す。
王国と関連する国家の商会を網羅している。利害なく物流が不足している村へ回っており、撲滅精神の義賊の旅人【ダンウィード】のような商売もしている。
村でアークス一行と出会い、刻印具の実力を目の当たりにして商談取引を持ち掛ける。
別の町で再会後はナダール伯爵の目論見に勘づいたアークスの情報整理を手伝った後、旅立った。終戦後はメイファの元へ姿を現し、彼女に王国の魔導師部隊の練度向上にアークスが要因である事を意図的に漏らした。後にアークス邸に訪問し、彼の発明に感銘を受ける。
呪文だけで効力を理解するなど魔法の心得もあったり、気配を消す事ができるなど謎めいた胡散臭い人物。抜け目のない性格をしている。
チューリップハットを被り、狐のような糸目が特徴。目は鋭い。
自称「アークスの親友」。書籍版では【不二】の通り名を持つ。
- エイドウ
書籍版3巻に登場。web版では未登場。
【遮線】の通り名を持つ魔導師。実力は国定魔導師並み。
かつては荒れた王都で一団を率いており、シンル達と出会い治安維持を目的に組んでいた。貴族に悪行を押し付けられ、彼らに救いを求めたが逆に追い詰められ王都を去った経緯を持つ。やがてシンルの正体を知り、生き残った仲間を連れて各地を回り復讐の機会を窺っていた。
セイランを狙う為に帝国軍と組むも決裂し、デュッセイアの襲撃で窮地に陥ったアークス達に助力。セイランからシンル達の裏切りは自身の身柄を守る為の演技であった事を話され、救援に駆けつけたクレイブとも和解した。
王国に帰省後はシンルの命でアークス邸の料理人兼護衛の任に就く。スウの正体を知っている様子。
黒髪に細身で痩せた男性。青年時代は陰気であったらしい。影を帯びた人物だが根は真面目で良心的。得意魔法は影。魔力量は10000程。
- 悪魔
レイセフト領地、試練の洞窟に潜んでいた何か。
箱の中で眠り続けていたが、リーシャが踏んだ拍子に壊れてしまい目を覚ます。
以降は彼女の背中に憑りついて行動を共にするようになる。
魔人事件では改めて「クラウン」と名乗り、リーシャの戦闘に知恵を授け助言する。このとき、魔人の力を手に入れたジエーロを一方的に蹂躙したアークスに強い恐怖心を抱くようになる。
高度な知識を持ち、リーシャに貢献はしているが専門用語の意味を伝えていないので大半は理解されていない。話し方も一方的であり、どこか厭世的で物事に達観している。リーシャ曰く「意地が悪い」性格。
悪魔は自称で本名も性別も不明。台詞を察するに、過去の人物で魔法に携わる技術者と思われる。
- カルダート・ディンバーグ
元スヴェルグ男爵家の執事。細剣術の名人であり、クレメリア家から皆伝を得た程の実力者。
北で隠居の予定であったが、現在は王都で暮らしている。
ノアに余計な毒舌を教えた張本人。温厚な見た目だが癖のある老人。
過去の人物
- アスティア
【精霊年代】に登場する人物。三聖の一人。【聖賢】【導師】の通り名を持つ魔導師。
双精霊と共に世界救済の旅に出て、仲間達を多くの知識を以て支えた。魔力量が少なく、非常に聡明な頭脳の持ち主でアークスと共通している。グロズウェルとの決闘で幾度も勝利し、人々から褒め称えられいた。
現代では英雄の一人として語られるが【鈴鳴り】と【宿り木の騎士】と比べると知名度は低い。
アークスが読んだ本によると感情起伏が薄く、口数が少なかったとされる。
- グロズウェル
【精霊年代】に登場する人物。
元は豊富な魔力量を持つ優秀な魔導師であったが、才故に傲慢となり人を顧みる事はなかった。
アスティアと決闘を繰り返しては負け、嫉妬心から悪魔と取引して魔人と化すも敗北する。
現代では御伽噺の悪人の代名詞とも呼べる存在として語られている。
ライノール王国の魔法院の地下で封印されていたが、帝国とドネアス王国の共同破壊工作で復活。ジエーロの肉体に力を奪われる形となるが、彼の死によって意識を取り戻し、アークスを聖賢と誤認したまま襲撃する。しかし大魔法の連続で敗北し、最後はアークスからアスティアの真なる想いを明かされ、満足したように眠りについた。
アークスが読んだ本によると負けず嫌いで素直な気性ではなく、寂しさと強い承認欲求からアスティアに執着していた。天稟は抑圧。サイファイス家の祖先。
- アルゴル
【精霊年代】に登場する人物。
農家の男性。真面目で働き者であったらしく、家畜を脅かす存在には過激な側面もあった模様。作中ではカズィが彼の記章を愛用している。武器は鎌。
グロズウェル曰く「陰気な農夫」。
精霊・妖精
- チェイン
鎖の精霊。【精霊年代】に登場する双子の片割れ。ウェッジの妹。
アークスの夢に現れ、【クラキの預言の書】に登場する災厄を止めるよう命じる。
外見は十代後半の少女で、スウと同じ黒髪に瑠璃色の瞳を持つ。
- ガウン
【精霊年代】に登場する妖精の一人。冥世の番人と呼ばれ、基本的に墓地に出現する。
書籍版2巻で登場。北部連合の一部にアルノーザスの墓場を荒らされ、災厄を防ぐべくアークスに協力を求めた。初対面でも相手の名前がわかり、風や土などの魔法や自慢の猟犬【幽霊犬トライブ】を従わせている。しかし、大の猫嫌い。
解決後はアークスにトライブが宿る【ランタン】を贈り、別れを告げた。
後にアークスの祝賀会に招待され、再会する。
性格は子供のように無邪気。姿は小柄で蒼いフード付きのローブを纏っている。素顔は深い闇。
世界観
この世のすべての事象が【言理の坩堝】から生み出されたものとされている。
ライノール王国
大陸中心の国。国土は小さいが最も魔法が栄えている。
王族が東方の出身で、この地の氏族をまとめ建国した名残により東と西の文化が不可思議に折衷しているのが特徴。東に蛮族の山、西にギリス帝国、南に海洋国家、まともに和平が続いているのは北のみ。国力が上がらず、三カ国による圧力に徐々に弱体化している。
制度は絶対王政。王族はクロセルロード家。王族特有の秘伝魔法は雷鳴。
傘下にはラスティネル領、サファイアバーグ、がある。
ギリス帝国
大陸の北西に位置する超大国。
ライノール王国と同じく貴族制で一部では権力乱用は見られるも、基本的には実力主義。
侵略した国からも優秀な人材を抜擢し上層部に据えている。
兵員数の関係上、軍制の改革を余儀なくされており、指揮系統の分化が進んでいる。
ライノール王国とは古くから戦争を繰り返し、一世代前には国宝と砦を奪取している。
一時和平を結んではいるが虎視眈々と侵略の機会を窺い、ナダール討伐戦で再開する。
海洋国家グランシェル
大陸の南に位置する国家。
書籍版ではアークスの作戦で城塞都市ゼイルナーが陥落し傘下に加わった。
クロス山脈(国名不明)
大陸の東に位置する国。移住民らしく、元の出身国は不明。
一族名は氾。ライノール王国とギルス帝国では『蛮族』と蔑称している。王国の東に位置し、度々戦が起きている。
用語
魔導師
【魔法文字】と【古代アーツ語】で構成した呪文で魔力を使い唱える人間を指す。
この世界では魔力を持つ自体が才能であり、魔力量の平均は二千程度。
戦で活躍し爵位を賜れた魔導師もいる経緯から貴族の魔導師の家系は魔力量が多い。
魔力量が乏しいと継戦能力に欠けている点から、一部の軍家では長子に生まれても跡継ぎから外れる場合もある。作中ではレイセフト家が当てはまる。
特に貴族では『魔力量=優秀』という概念が根強いが一部からは本質が見えていないと批判的な意見もある。
古代アーツ語
魔導師が魔法を行使する時に使う言葉。
世界最古の言語ともいわれており、言葉そのものに力が宿っている。
単語の組み合わせや魔力量を使うと魔法が発動する。紀元書に全てが収められているらしいが、現代ではその語録の多くは失われ、解読に至っていない。
魔法文字
【古代アーツ語】を表記する為に使用されている文字。
地球の星記号に酷似している。呪文を唱えると空中に文字(色は属性によって異なる)、魔法陣が出現する。魔法銀を使用し、物に刻むと【刻印】という特殊な道具を作ることができる。
刻印
物質に【魔法文字】を刻み、魔法銀を施すことで魔法の力を発揮できる特殊な道具を製造できる技術。【練魔】を応用すると効果を更に発揮するが、作中ではアークスと取り込んだ魔導師しか扱えない。専門職。
練魔
体内の魔力を練り上げることで生みだされる特殊魔力。
元は古代技術の一つで、現在は失伝していたがアークスが復活させた。
魔力が圧縮されたような状態で、体外に放出すると強力な推進力を発生させる。
作中では【刻印】【魔力計】で使用されている。
天稟
天から与えられた資質、または才能。
言葉で括れない曖昧な力の源泉ではなく、確固とした能力。貴族の中でも持つ者は一握りの身のみ。
血筋も関係しており、限定的な魔法やクレメリア家の予知、レイセフト家の火耐性と強化がある。
紀言書
【古代アーツ語】で書かれた古代の書物。膨大な量の書物で六篇に渡り過去、現在、未来のことが記述されている。
【天地開聞録】
第一紀言書。言葉が生まれた始原や世界創造が描かれている。
【精霊年代】
第二紀言書。双精霊ウェッジとチェインの世界調律の物語。
【クラキの預言書】
第三紀言書。世の始まりから終わりまでの出来事が記されている。
【大星章】
第四紀言書。自然の断りを解き明かそうとした学者メガスの一生が書かれた。
【魔導師たちの挽歌】
第五紀言書。魔法文化が最も隆盛し、文明が栄華を誇った時代の記述。
【世紀末の魔王】
第六紀言書。世界を滅ぼす四つの魔王と滅びの歌が書かれている。
魔力計
地球の温度計を参考にアークスが発明した特殊道具。
放出した魔力の量で変化する圧力、もしくは波動を読み取り計測する。目盛りの単位はマナ。
ガラスの管に【練魔】で加工した魔法銀を封入したもの。
範囲は1、2メートル程。歴史的大発明で、魔法の習熟速度、戦力の平均化、魔法の失伝防止、魔力制御など魔法技術に幅広い恩恵を与えた。
余談
書籍版の絵は担当のふしみ彩香氏の趣向が色濃く反映されており、一部では内容や設定と矛盾した挿絵になっている。
女性キャラはロリか巨乳で、スカートの下ははいていないのが基本。コミック版では露出が控えめ。
以下、設定矛盾の一部。
・美少女顔のアークスが少年顔。
・嫡子リーシャ(10歳)の正装。
→レイセフト家の家訓は質実剛健とある。服は母親の意向のものと書かれているが、超ミニスカートに加えてブラウスはスケスケ。
・2巻表紙。アーベント邸にいるリーシャ。
→兄妹共に数か月に一度しか会えない程多忙であり、重要な書類等を保管しているアーベント邸にクレイブが警戒対象のリーシャを招いた描写は一切ない。
・3巻表紙。ディートリアの持つピザ。
→異世界にピザが登場した描写はない。
・ディートの断頭剣の付属腕輪がない。
・試練中のリーシャの服装が上記の正装。
→文は軽装と外套と書かれている。
・5巻表紙。厳格な将軍家の令嬢シャーロット(13歳)の赤い(エロ)ドレス。ちなみにスウシーアと同色。ついでに白服を好まないアークスとパースの色も被っている。
→web版では【窓際に腰掛ける美女】を思わせる程の儚げな白いドレス。
・6巻表紙。スウシーアの瞳の色が赤になっている。
→web版と書籍版共に黒髪瑠璃色と明記されている。
・スウシーアの学生版での髪型(後ろ髪も下ろしたツインテール)が普段と同じ。
→シニヨンの2つと書かれている。
さすがにレビューでも突っ込まれている…。