概要
猫猫と親しくなる一人。
度を越えた虫好きで、「笑いながら虫を集めてる変な女がいる」と下女の間で噂になる程。
猫猫は薬草、子翠は虫と、分野は違えど通ずる部分がある研究者肌の少女。もうすぐ後宮の勤めを終える行く宛のない小蘭にコネの作り方を教えるなど面倒見もよく、仲良し三人組となる。
しかし「どこ」所属の侍女あるいは女官であるのかはイマイチ判然としていない。
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ネタバレ
この先に重大なネタバレあり
その正体は後宮から去った阿多妃に代わり上級妃である「淑妃」についた楼蘭妃その人。楼蘭妃が猫猫の前で一言も声を発さなかったのは、子翠として既に面識があり声でバレてしまうから。大勢連れてきた侍女たちは楼蘭の影武者になれるように彼女と顔や体格の似た者たちであり、侍女のふりをして後宮内の情報を集めていた。
猫猫は虫の記録をつける子翠を見て、貴重な紙をたくさん持っている上に字も書けることから、高貴な身分の出身ではないかと薄々勘付いていた。本来の性格は「子翠」の方が近く、昔から侍女のふりをして脱走し市井と触れ合ってきたため、気さくな性格をしており、子の一族内の者たちからも慕われている。
子の一族の家長である子昌と後妻の神美との間に生まれた娘であり、先妻の娘である翠苓こと子翠の異母妹にあたる。しかし元々本家出身の後妻の神美の方が発言権が強く、異母姉は「子」の名前が入った「子翠」の名を名乗ることを許されず、一族内では臣下として扱われ神美に虐げられていた。しかし楼蘭は姉とは仲が良く、両親の目がないところでは姉妹として接しており、翠苓にとっても楼蘭は大切な妹である。
父の子昌は元々婚約者だった神美を一途に愛していたが、神美は人質として先帝の上級妃として後宮に入ってしまった。その後先帝は臣下の子昌に、先帝が神美の侍女大宝に生ませ自らの子として公には認知しなかった娘を引き取らせ、適齢期になった後に子昌に娶らせて孫が生まれたことで、願いをひとつ聞き入れる事を約束をし、子昌は神美を後宮から戻すことを願い神美は子昌の後妻となった。
しかし人質の事実を知らなかった神美は、先帝の上級妃として国母になる野望を秘めていたにもかかわらず、幼女趣味の先帝に見向きもされずお手付きにすらならなかった上に自分の侍女大宝が幼女だからという理由でお手付きの上に子(翠苓の母)を孕んだ事にプライドを傷付けられ、子昌から「棘が毒になって帰ってきた」と言われる程の歪んだ性格になり、懸命に生きようとする善人を各種の欲と快楽に堕として感覚を麻痺させ その善性を奪い捨てさせるように仕向け、その犠牲 となる者(特に子ども)たちを嘲笑う事を好み、そうした形で弱者を虐げていたぶる事を楽しむような、残虐な性格となってしまった(母の被害に遭った子どもたちは、楼蘭こと子翠が全力で保護していたが)。
楼蘭こと子翠は母の神美には付き従っているものの、かつて楼蘭が侍女のふりをしていると見分けすらつかない事がわかってからは、母は自分には関心がない事を理解してしまった。先帝を含む現政権を憎み一族を巻き込んだクーデターを目論む母と、母への愛からただそれに従う父を見てきた為、自分は一族郎党処刑される運命にあるとある種の諦めを抱いており、その中でも、せめて一族の中でまともな感覚を残していた人間(特に子どもたち)だけでも助けようとしていた。
翠苓たちの目論見を見破った猫猫を拐い、後宮から無断で出た事が壬氏たちに判明した為、上級妃から外され討伐の対象となる。その後クーデターが発覚したことで子の一族の本拠地が壬氏率いる官軍の襲撃にあった際に、猫猫に仮死薬を飲ませた子どもたちの蘇生を託し、けじめとして壬氏を母と翠苓もとに連れて行く。そして二人の前で姉の翠苓が先帝の孫であること、神美の後宮入りは人質のためだった事を明かし、信じたくない思いで怒り狂った母が銃の暴発で死んだのを見届けると、壬氏に「死んだ人間は罪に問わない」ことを約束させ仮死状態の子どもたちの安全を確保した後、武官の銃に撃たれ崖から落ちていった。
公には死亡したことになっていたが、実は猫猫が別れる寸前に託した簪に弾が命中したことで致命傷を避けていた。生き延びた子翠は傷付いた簪を露店で売った後、「玉藻」と名乗り港へと消えていった。
猫猫にとっても子翠は小蘭と同様に「友だち」と呼べる大切な存在であり、事あるごとに彼女のことを思い出しており、子翠が生きている事を願っている。