『無理や無茶をして勝てるなら、誰だって苦労はしないよ』
概要
ゴブリンスレイヤーの外伝である『イヤーワン』2巻に登場した只人の女性魔術師。
くすんだ金髪で眼鏡をかけ、豊満な肉体に継ぎ接ぎだらけのローブを纏っている魔術師然とした人物で、辺境の街の外れにあるあばら家に住んでいる。
人物
中性的な口調で、蜥蜴人に師事していたせいか、かなり言い回しが回りくどく、どことなく蜥蜴僧侶に似た語り方をする。街の冒険者からは偏屈な人物として知られている。
林檎酒が好物なのか、彼女を紹介した魔女が手土産に持って行くことを勧めており、実際に飲酒している事が多い。
必要とあらばゴブリンの血を用いた臭い消しもためらわず、普通なら当たり前だと流してしまうような些細なことでも追求する。彼女の依頼に同行する中で、ゴブリンスレイヤーはゴブリンに関する多くの知識を身に付け、考え方にも影響を受けることになった。
能力
様々な絵の描かれた札の束を魔術に用いる。かつては蜥蜴人に師事して様々な魔術を身に付けたようで、ゴブリンスレイヤーは自分よりもかなり高いレベルにあると見ている。
使用する魔術
※呪文の説明文については「ゴブリンスレイヤーTRPG(以下TPPG)」も参考としている。
- 炎与(エンチャント・ファイヤ)
「《アルマ(武器)……インフラマラエ(点火)……オッフェーロ(付与)》」
武器を魔法の炎で包む術。
ゴブリンの襲撃を受けた際、ゴブリンスレイヤーの扱っていた武器に使用した。
- 促進の真言
「《促進(エクスペダイト)》」
本作の魔術の行使は三語の真言を組み合わせて唱えるものが多いが、これは一語のみで発動する。
魔術の媒体である札を用いて利用したことで、思考速度を加速させる事に成功。終盤における危地を突破することに一役買っている。
活躍
《界渡り(プレインズウォーカー)》と呼ばれる、神々の盤である四方世界の外へ至る存在になることを目指しており、その鍵である《灯(スパーク)》を探し求めていたところ、ゴブリンスレイヤーがゴブリンの巣で手に入れた《灯》を宿す指輪を持ち込んだことで知り合う。
その指輪を譲るよう頼み込んだ彼女に対し、ゴブリンスレイヤーが求めた報酬が「ゴブリンを殺すのに役立つもの」であったため、想定外のことに爆笑する。その後、ギルドから依頼されていた怪物辞典のゴブリンの項を改訂するためと称してゴブリン退治とそれに同行する自身の護衛を依頼し、そこで得られる情報を真っ先に提供することを提案、何度もゴブリンスレイヤーと行動を共にすることになる。
一方、関係を誤解して嫉妬していた牛飼娘に対してはそのような関係ではないと謝罪し、彼は話せばちゃんと通じる相手だと伝えた。牛飼娘にはそれ以上の印象は残っていないが、ゴブリンスレイヤーと牛飼娘の関係に少なくない影響を与えている。
最後の依頼では、ゴブリンスレイヤーと共に《界渡り》に至るための場所である暗黒の塔へ向かう。無限に湧くゴブリンをゴブリンスレイヤーが殺し、扉の鍵であるこの世ならざる立体を彼女が解き明かすという分担で塔を登り続け、数多のゴブリンを殺した末、遂に屋上へと辿り着く。そこで彼女は、ゴブリンスレイヤーに謝辞を述べると共に、彼が小鬼を殺す者であることを肯定し、《灯》が消えた《呼気》の指輪と小屋に残されたものを報酬とすることを告げ、虚空に身を躍らせて姿を消した。
時系列としては後の話になる本編には登場していないものの、ゴブリンスレイヤーからは時折、彼女の受け売りとも取れる発言が出て来ることもあり、その与えた影響の大きさから彼にとってある意味「先生」に次ぐ第二の師であるとも見ることが出来る。
なお、彼女がゴブリンスレイヤーに支払った報酬の中には《転移》の巻物がある。そして妖精弓手のトラウマであるところの“臭い消しの洗礼”の元凶でもある。
関連タグ
『デイ・イン・ザ・ライフ』の第4.5話にて、東の国境を守護する女将軍の妹であることが明確化した。
孤電の術士が登場したイヤーワン2巻の冒頭では、蜥蜴僧侶と女将軍の出会いが描写されている。