警察官や軍人や自衛官、駅員、船員、学生… 等々の制服を着る職業の人が被っているあの帽子のことである。
制帽といえば通じてしまうため「官帽」という名前の知名度は理不尽なほど低い。
主として男性向けの制帽として用いられ、女性は別の帽子(ケピ帽やハイバック帽)を使用する事が多い。
女性版あの帽子ことハイバック帽
構造
芯の入った胴(鉢巻)に、帽庇、顎紐がついて、天頂部にクラウンと呼ばれる独特の膨らみがある。
顎紐は一般的には革製(本革ないし合成皮革)、通常左右のこめかみの部分で小型の釦(耳釦)で留められている。これを実際に顎紐として用いる場合もあれば、この顎紐を飾りとして別体の顎紐を使って着用する場合もある。
職制・階級を示す方法
よく用いられる手法が、胴に金色や銀色のモールで線を入れたり、或いは胴に鉢巻と呼ばれる帯を巻く方法である。(金色や銀色の線が入っていたり、胴の色が違うといえば分かりやすいか)
胴の色を変える
例えば、国鉄の駅掛員の場合、一般職員は黒色で飾りの無い胴、助役は赤色の胴に金線一本、駅長が赤色の胴に金線二本といった具合である。
… 逆に駅長さんの帽子の赤色の部分が胴でその上の膨らんでいる部分がクラウンといえば分かりやすかったかも。
帽章を変える
通常、この帽章の部分で所属する組織や事業者を示すこととなる。
大日本帝国陸軍では、一般の将兵が五芒星、近衛師団のみ五芒星を桜葉が囲むという意匠で、同じ陸軍内でも所属によって帽章を変えていた。
海軍では、士官は桜に錨を桜葉が囲む意匠で、下士官は錨を楕円が囲む意匠と言った具合に階級によって帽章が変えられていた。水兵は水兵帽で官帽ではなかった。
警備会社や鉄道会社、或いは公官庁などでは全体的な意匠を揃えながらも、一般職員を銀色の帽章、上級管理職を金色の帽章としたり、或いは管理職の帽章をやや派手な意匠とする手法を取る事業者や組織も存在する。
帽庇に飾りを入れる
上級幹部の制帽に葉状の飾りを入れて、一見してそれとわかるよう工夫する組織も存在する。
この手法を取る組織は軍隊や警察などが多い様子。
余談
- サイズを変えられる構造ではないので、細やかなサイズ設定がある。現在では、帽体の胴の円周の長さをcmで表す表記が一般的。(本稿作成者がかつて働いていた職場は1cm刻みでサイズ設定があった)
- 同じような頭の大きさでも、頭蓋骨の形や、髪型、着用者の好みによってサイズが変わってくる。例えば浅めの着用感が好みの人は小さめのサイズとなるし、深く被る被り方が好みの人は大きめのサイズとなる。一方で、軍隊など「着用者の好みよりも着用規定(見た目の統一感)が重視される組織」の場合はサイズの選び方こそ異なるものの細かいサイズ設定が重視されることに変わりはない。
- 故に帽子を誰かから借りた場合、サイズが違うと物凄く違和感を感じることに…
- エラソーではあるが、上述の余談を総括すると、「サイズ」や「被り方」もコスプレやイラスト作成時、或いはキャラクター作りでそこそこ重要な要素となる。