帽子の一種。ケピ(フランス語:Képi)。
19世紀初め、当時フランスの植民地であったアルジェリア駐留のフランス軍は現地の厳しい暑さに対応するため、この頃フランス軍の制式であったシャコー帽を簡略化したケピ帽を開発した。
構造は、芯が入った円筒形の胴が本体となり、天頂部は水平にまっすぐ張られる。庇は水平。
後に、官帽程では無いものの上部に僅かな膨らみを持ったものや、庇が下向きで曲線を描いたものも現れたが、これらもケピ帽の1つとされることが多い。
使用例
本国フランスでは、開発されてから第一次・第二次世界大戦を経て現在でもフランス軍の制帽として使用されている。
フランス軍の外人部隊の白い帽子は部隊の象徴的存在で、外人部隊を表すアイテムの一つとしてしばしば用いられる。
フィリップ・ペタン(1856~1951) | 第一次大戦期の外人部隊 |
日本では
日本では「官帽」に押され気味だが、シンプルながらお洒落な雰囲気があるこの帽子もそこそこ人気である。
現在では主に京阪電気鉄道※、叡山電鉄、阪急電鉄の女性社員、京都市交通局(地下鉄及びバス)、阪堺電気軌道、広島電鉄、九州旅客鉄道※ などと関西より西の交通事業者に多い様子。
一方で東海地方より東では、豊橋鉄道、東急電鉄と京浜急行電鉄の女性乗務員、札幌市交通局の女性職員といった具合に従事者数の割に着用者が少なく、東日本旅客鉄道のSL列車の車掌(高崎地区)や函館市交通局の箱館ハイカラ號の乗務員※ など懐古的なジョイフルトレイン限定で用いられることも。
※京阪電気鉄道、九州旅客鉄道(JR九州)、箱館ハイカラ號は男性のみ
九州旅客鉄道 | 阪急電鉄 |
かつては、昭和期の婦人警官、営団地下鉄、大阪市交通局、近畿日本鉄道、ターミナル駅の赤帽の制服として用いられていたのでご覧になった方は多いはず。
交通事業者以外では、ホテルのドアマンやポーター、警備員などでもシックな雰囲気を好んで使用する業者は少なくない。
大日本帝国陸軍の軍帽
かつては… 100年以上遡れば、文明開化とともに設立された大日本帝国陸軍の軍帽(制帽)でもあった。
建軍にあたってフランス軍を範としたためフランス式の軍服が採用され、自ずと軍帽はケピ帽となった。
明治の末には官帽型のものが採用されたため、大正に入ると一般的に用いられるものでは無くなったが、最も格式高い「正装(大礼服)」と、その下に位置する「礼装」は終始一貫して豪奢な飾りのついたケピ帽式のものであった。
戦時服 | 大礼服 |
以下余談
- 戦後の日本に於いては、軍人で後にフランス大統領となった シャルル・ド・ゴールが被っているイメージが強かったためか「ド・ゴール帽」という渾名が付いた。
- 簡単な構造で統一感があるデザインであるため、マーチングバンドのユニフォームにも多く用いられる。
- 警備員向けに市販されているため新品を購入する事が出来る。中にはホテルマンやマーチングバンドのユニフォームに使えるオシャレなものある。ただし、仮に身分を詐称した場合は大きなトラブルとなる。