宝くじ、というものをご存知だろうか。
我が国日本では、小さなモノでは10万円。
大きなものだと数億円のお金を、超低確率で手にすることができるクジである。
毎年何人もの幸運な億万長者が生産されているが、彼ほど幸運な当選者は、未だかつてこの国にはいなかったのではないだろうか。
概要
「宝くじで40億当たったんだけど異世界に移住する」とは「小説家になろう」にて、すずの木くろ氏より投稿されているウェブ小説作品。
モンスター文庫にて書籍化、MFコミックスよりコミック化されている。
多額の資産を得た主人公が偶然にも異世界への入り口を見つけ、現代日本の物資を運び住人たちに援助しながら交流、発展を進めていくストーリー。
あらすじ
志野 一良は、試しに買ってみた宝くじで40億円の高額当選を引き当てた。
寄付や投資を迫る連中から逃げるため、一良は先祖代々から伝わる古い屋敷に避難する。
一良が避難先である屋敷の中を調べていると、とある一室が異世界と行き来できる空間であることを発見する。
文化レベルや技術レベルがかなり低いとみられる異世界に、主人公は時に品物を、時に技術を持ち込み、その世界で自分の価値を見出そうとする。
登場人物
- カズラ
本作の主人公。本名は志野 一良(しの かずら)。
購入した宝くじで高額当選したものの、寄付や投資を迫る人間に付きまとわれ、山奥の古い屋敷で避難生活していたが、とある一室が異世界と行き来できる空間であることを発見し、そこで出会った人々の困窮している様子を見て、現代日本から物資を運び込み援助することに決める。
優しく、人に頼まれると断れないお人好しな性格であるが、どことなく抜けているところがあり、他人の言葉の意図を誤解して受け止めることがしばしばある。
機械類などの異世界の文明と比較して明らかに進みすぎている物資や知識を持ち込むことには否定的ではあるが、しかし実際に困窮し自身に縋る人々らを邪険に扱うこともできず、徐々に持ち込む物資の質や量が増加していく。
グリセア村
カズラが異世界にきて最初に訪れた村。
様々な物資を持ち、村人の命を救ったカズラのことを神だと思っており、彼を守るためにはたとえ領主を敵に回すことも厭わない。
- バレッタ
本作のヒロイン。村でのカズラの生活の世話をしている。
村人の命を救い皆から「神様」と崇められているカズラのことを「自分たちと変わらない人間」だと気が付いており、それ故に無理をしがちなカズラの助けになろうと奮闘する。
後述の理由から異常な身体能力と驚異的な学習能力を持ち、一週間で凡その日本語(漢字までも)を覚え、主人公が持ち込んだ本を読破し、製鉄技術や蒸気機関、科学知識など、時代を先取りした知識を入手してしまっていく。
イステリア
領主ナルソンが直接統治している都市。
- ナルソン=イステール
ナルソン領領主。グリセア村も彼の統治下にある。
善政を敷いており、飢饉の続く辺境にも配慮した統治をしているものの、4年後に控えた休戦協定
の期限に備え軍備の強化も求められており、難しい領地運営が続いている。
様々な物資を持ち込むカズラに従い、懇意にしつつ更なる物資や支援を引き出そうと目論む。
- ジルコニア
ナルソンの妻。騎士として優れた実力を持ち、ナルソンに代わり軍事方面の事務を行っている。
カズラから更なる物資や支援を引き出すため、自分の娘や侍女、必要ならば自身の身体をもってカズラを誘惑し、関係を持とうと画策する。
- リーゼ
ナルソンの娘。美しい容姿と、民を想う嫋やかな姿勢から市井での人気は非常に高い。
公の場では猫を被っており、本当は少々お転婆で、オシャレや宝石が好きな女の子。
両親のことを尊敬しているものの、過度に節制していることには不満を持っており、もっと贅沢がしたいと考えている。
- アイザック
ナルソン領の兵士を率いる団長。
清廉潔白な人物であり、カズラのことを神と信じてからは、彼の支援を引き出そうと策略を仕掛けるナルソンやジルコニアに対し(必要なことだとは思いつつも)嫌悪感を抱いている。
リーゼの結婚相手として期待されていたが、カズラの出現により有耶無耶になってしまった。
用語・設定など
- 異世界
カズラの先祖代々に伝わる屋敷の一室から行くことのできる世界。
中世ヨーロッパ風の文明を持つが、製鉄技術は発明されておらず、鐙や水車も開発されていないが、貴金属の加工技術や料理、衛生概念は普及しているなど偏った進歩をしている。
現代日本から持ち込んできた物資は、異世界ではその効能がオーバーに発揮されており、例えば異世界人が栄養ドリンクを飲めば瀕死であっても活力がみなぎる健康体に復活し、食料を食べ続ければ異常な身体能力を発揮しだす。
反対に異世界の食品をカズラが食べても、まったく栄養にならない。
- グレイシオール
異世界で信奉されている豊穣を司る神様。
「かつて一人の男としてこの世界に訪れ、見たこともない道具や知識を与え、飢餓に苦しむ人々に食料を施し、それを食べた人たちは怪力をもった。それを聞きつけた強欲な領主が、男にもっと物資を出すように要求すると、男は世界から去ってしまい、領主は病にかかり死んでしまった。」という言い伝えがある。