概要
三度の飯より怪談・奇談が好きという変わり者の戯作者志望。温和で争いを好まない穏やかな性格の持ち主で、色恋沙汰にまるで縁が無い(「江戸で五指に入る野暮天」を自認している)。
元はとある武家の次男として生を受けたが、幼い内に京橋の蝋燭問屋【生駒屋】に養子に出された過去を持つ。その折、先々代の店主が蒐集した古書に触れて幽世に興味を示すようになり、先代が亡くなるや店を大番頭に譲って若隠居となり、怪談奇談を求めて諸国を旅するようになった。
普段は子供のナゾナゾ遊びの「考物」(かんがえもの)の執筆を暮らしの糧としているが、諸国漫遊の末に集めた不思議話や怖い話を【百物語】に仕立てて開版したいという夢を持つ。またこうした経緯により、又市一味からは「考物の先生」と呼ばれている。
後に裏渡世にも関わる版元から「菅丘李山」(すげおか りざん)の筆名で開版し、世話物で人気を博すも、又市一味との日々への思いや自身も仕掛けに組み込まれていた立場などから百物語の開版は生涯叶わなかった。
続編「後巷説百物語」では薬研堀に隠居する物知りの老爺【一白翁】(いっぱくおう)の肩書きで主役として登場。老いて好々爺になった百介の姿を観る事が出来る。
遠縁の親戚だと言う娘・小夜と共に平和に暮らす百介だが、実は小夜の出生には、嘗て関わり合いになったおぎんとの因縁が…。
余談
尚、【続巷説百物語】のいちエピソード「老人火」の発表前には、名前に「山」の字と「もも」の読みが含まれることや(「菅丘李山」も「すもも」との語呂合わせによる変名である)同シリーズ作中に底本の『絵本百物語』についての言及が登場しないことから、『絵本百物語』の作者「桃山人」と同一人物ではないかとする考察がなされることもあった。
※『絵本百物語』自体は同シリーズと世界観を同じくする百鬼夜行シリーズの『狂骨の夢』にて言及されるシーンがあることから、存在はしているようである。
【巷説百物語】の作者・京極夏彦の別シリーズ【書弔堂】シリーズにも名前のみ登場しており、売れっ子の戯作者ながらも突然筆を折り表舞台から消えた謎の存在として語られている。