平均放銃点40000点、平均あがり点1500点。
しんこんをおそったひげき
当該試合の進行
このワードが爆誕したのは、Mリーグ・KADOKAWAサクラナイツが毎年行っている好例企画「サクラナイツ最強決定戦」の2023年版。
同企画はサクラナイツのメンバーが2半荘で勝負し、順位に応じて豪華グルメが手に入るという内容で、普段の対局とは異なりトラッシュトーク(雑談・挑発などの私語)が許可されている点が特徴。
毎回豪華グルメやトラッシュトークが視聴者の間で大きな話題となる人気企画である。
そんな「最強決定戦」の2023年版では、前年オフのドラフトで指名され、体調への不安などを理由に引退した大御所・沢崎誠プロに代わってチームに加わった渋川難波プロが初出場。
同企画の収録直前に同じくプロ雀士の早川林香プロと挙式を行ったばかりの渋川プロは「結婚指輪が守ってくれる」と豪語し、意気揚々と試合に臨むのだが…
第一の放銃
第一試合は比較的接戦となり、東4局開始時点で首位から最下位までの点差は僅か12000点。その中で内川幸太郎プロが抜け出そうとしており、渋川プロが5000点差の2位につける格好となっていた。
そんな中、渋川プロの下家に鎮座する岡田紗佳プロ(当時最下位)が7巡目に白と一索を除く么九牌をすべて揃え、国士無双の一向聴となる。役満完成に期待が高まる中、岡田プロは解説席にいる白鳥翔プロ(渋谷ABEMAS所属。ちなみに、白鳥プロは岡田プロの元カレでもある)を意識してか、一索を「鳥」に見立て、「白鳥!白鳥!」と連呼を始める。
この時点で渋川プロは待ち牌の一方である一索を対子で保有していたが、別に雀頭ができたために解体を始める。しかし、1枚目の一索が河に流された直後、岡田プロが白をツモり一索待ちで国士無双を聴牌する。
なおも岡田プロは白鳥コールを続けるが、渋川プロはそれをトラッシュトークと見抜けず、次のツモ牌は刻子を形成できる必要牌だったため、あっさりと2枚目の一索を放銃。渋川プロは32000点を失い、2位から一気に断トツの最下位に転落してしまった。
結局この放銃が響き、第一試合は最下位に沈んだ渋川プロだったが、総合優勝の条件を紙に書き記して逆襲への決意を露わにするなど、闘志はなお衰えていなかった。
第二の放銃
しかし、渋川プロのそんな熱意も虚しく、続く2試合目・早くも東1局で事件が勃発。
今度は堀慎吾プロ(渋川プロの下家)が暗刻を続々と完成させ、役満・四暗刻の一向聴となったのである。
2戦連続の役満完成に期待が高まる中、そうとは知らない渋川プロは11巡目、上家・内川プロが捨てた赤牌の五筒をチー。岡田プロから「ちっちゃい男!」とバカにされてもなお、「これが逆転への大きな一歩」と、ここからの逆襲に相当な自信を覗かせる渋川プロ。事実、この鳴きを成就させたことで、渋川プロの手牌は断么九・ドラ・赤2で最低でも満貫確定の好条件で聴牌となっていた…
…のだが、実際のところ、戦況は渋川プロの思惑とは真逆の方向に動いていた。
鳴いてツモがズレた結果、渋川プロはなんと堀プロに待ち牌のひとつで既に対子となっていた八筒を献上してしまう。これによって四暗刻単騎の聴牌となり、堀プロは待ち牌を残り2枚の「東」に設定してダマテン。
次の岡田プロが「西」、その次の内川プロが「南」と堀プロにとって惜しい牌を連続で掴む中、先ほど八筒を献上してしまった渋川プロが掴んだのはまさかの「東」。先述の通り断么九狙いの渋川プロは即決で東を捨ててしまい、親役満48000点を放銃。
渋川プロは自身のチーによって敵に待ち牌を献上し、自分は危険牌を掴まされるという盛大な自滅によって、2試合連続での役満振り込みという前代未聞の事態をしでかしてしまったのだ。
加えて、八筒を献上してからのツモ牌は先述の通り「西」⇒「南」⇒「東」であり、半ばカウントダウンのような様相になっていたことも芸術点の高さに拍車をかけた。
この事態に実況席は大興奮。1本場になっても渋川プロに対する言及が続いた。
その中で解説・白鳥プロが「平均放銃点40000点!」と切り出すと、続けて実況の日吉辰哉が「平均あがり点…1500点(1試合目に2000点と1000点を和了したのみ)!!」「勝てるわけがねえ!勝てるわけねえだろう!?(笑)」と大爆笑。
こうして渋川プロはネタキャラとしての地位を確固たるものとし、「平均放銃点40000点」なるパワーワードが爆誕したのだった。
- 先述の通り、対局前に渋川プロは「結婚指輪が守ってくれる」という趣旨の発言をしたが、2回の役満放銃に対し、実況の日吉が「指輪粉々に砕けてる」と後追いをかけ、解説陣を大いに笑わせた。これらの発言により、渋川プロは自分が喋ったわけでもないのに最もトークで魅せたプレイヤーに贈られる「トラッシュトークキング」を獲得した。
- 堀プロは岡田プロが国士無双で和了った際の「EDWIN賞(最多打点賞。副賞でEDWINの商品詰め合わせがが獲得できた)いただきました」という発言に対し、「まだわかんないよ?」「国士より珍しいのだったらOKでしょ」などと、本案件の前振りともとれる発言をしていた。岡田プロはEDWIN賞が相当欲しかったようで、堀プロに和了られて最高得点が入れ替わった際「嫌だー!EDWIN賞欲しいー!!」と連呼し身悶えしていた。
- 渋川プロは二度目の放銃後も、三巡連続でポンを鳴いた直後の打牌で岡田プロの裸単騎に放銃してしまうなど、芸術点の高い放銃をコンスタントに積み重ね、最終的には2戦目だけで対戦相手全員に和了を献上し、-51200点でフィニッシュ。渋川プロ自身が2023年11月7日にマークした史上最低得点(-47600点)を大きく更新した…のだが、まさかこの直後にこの人がワースト記録を更新することになるとは、本人含め誰も予想できなかっただろう…
俺の32000返せ:同じく、Mリーグ関連で爆誕したパワーワード。