概要
脚本は久保田雅史、監督は池上太郎が担当。
アニメ版ロックマンエグゼの3期の中でも知る人ぞ知る神回で、ファンからも評価が高い人気エピソード。
ストーリー(ネタバレ注意)
冒頭開始早々、我らのロックマンが、アステロイドの1人ナパームマンと戦っていた。一方の現実世界では、ネット警察がナパームマンのオペレーター「土門凱(どもん がい)」を捜索していた。土門は逃げ回っている為、まともなオペレートができず、(ロックマンは負傷を負いながらも)次第に追い詰められていく。ナパームマンはチップ(ディメンショナルチップの事なのか普通のバトルチップかは不明)を要求するも、土門がPETを落として車に潰された為、オペレートもチップ転送も出来なかった。
そして場面が変わって翌日。
「バッキャロォ!!なんだこの気合の抜けた詰め方!!てめえ花火を舐めてんのか!?」
怒号響く花火工場。その声の持ち主は六尺玉燃次。自分達の作る花火を観客が楽しみにしている為、作業員達に気合いを入れ直していた。現場に来ていた親方から「あれ以来元気がなかった」と心配していた。ネットナビが普及しているこのご時世に彼は、かつてのナビ「燃次郎」の事を思い出していた。
花火の発射装置の故障で、花火が爆発を起こして大惨事になろうとした騒ぎがあった。その時に燃次郎が燃次の静止を振り切り、自らを犠牲に制御装置を
破壊して惨劇を回避させたのであった。燃次は、「俺の誇りです」と、天国にいる燃次郎にも届くような花火を作ることを誓った。
その日の夜、自宅アパートに帰宅した燃次は、「いつまでもくよくよしていても仕方ない」と新しいナビを作ろうと充電中のPETに手を取った時だった。その中に、傷だらけのナビがいた。そのナビは、(詳細は不明だが)ロックマンやポリスナビから逃げてきたナパームマンであった。
燃次はそのナビを直そうと動物病院に駆け込む。(当然だが)そこではナビは直せないので、夜の町を駆け巡り、ヒグレヤで大量のリカバリー系チップを大量に買い込み(緊急とはいえ真夜中に叩き起された日暮は迷惑であっただろう)、1晩かけてナパームマンを治療した。
ナパームマンが目を覚ますと、自分は逃げ回っている内に見知らぬPETの中に逃げ込んだことを思い出した。
目が覚めた燃次に何故自分を助けたかを聞くと、「目の間で苦しんでいる奴が居たら助ける、そんなの人として当たり前じゃねえか」と返される。
燃次はナパームマンの名前を聞くが、自分は指名手配犯の為名前が出せない為出す言葉を迷っていた。すると燃次は「じゃあ勝手に燃次郎って呼ばせてもらうからな」と会話を続ける。
「そうだ燃次郎!腹減ってねぇか?一緒に朝飯にしようぜ!」
「ナビがメシを食うか!」
どこかとぼけた燃次を見て、ナパームマンはこの状況をラッキーと思い、ほとぼりが冷めるまでこのPETに隠れることにした。
一方の光熱斗とロックマンは、逃走したナパームマンの行方を探していた。
ポリスナビが最後に見たエリア周辺に何処かの電気機器に隠れていると思いしらみつぶしに探すことに。
花火工場に場面が移り、燃次はナパームマンに自信が作っている花火を見せた。
花火職人と知ったナパームマンは、「爆発は俺の大好物だぜ!」と機嫌を良くするが……、
「こいつはそんじょそこらの花火じゃねえ。なんたって、俺の夢が詰まってんだからよ!」
「お前の夢……?」
「そうさ、俺の夢は、俺の作った花火で世界中の人を幸せにすることなんだ」
それを聞いたナパームマンは、「爆発で人を幸せにする?ハッ、なに言ってやがる…そんなこと出来るわけねえだろ!」と本論し、口論がヒートアップしていく。
そんな時に、ナパームマンを捜索している熱斗が工場内に入ってきた。燃次から見れば危険な花火工場に迷い込んできた子供。当然追い返そうとするが、熱斗がネットセイバーのエンブレムを見せた事で、誤解が解けてジュースを奢った。熱斗が探しているナビの事を聞き、捜査の協力を約束する。(画像などの特徴を伝えて無かった為)燃次の持つPETの中でその様子を窺っていたナパームマンこそが、熱斗の探しているナビとは知らずに…。
一方の土門は、ナパームマンの安否を気にせずに次の計画を進めていた。その後ろには花火大会のポスターが…。
その数日後。
燃次が製作していた「燃次郎玉」が完成させた。
自分と同じ名前の花火に困惑するナパームマン。曰く、これは「爆発が人を幸せにすることを証明する」花火なのだという。意見の変わらぬ燃次に「まだそんなデタラメを」と言い捨てる。
しかし、やはり口喧嘩をしても気が合うようで、この頃には帰り支度をしに行く燃次を威勢良く見送るなど、互いの信頼関係も次第に出来つつあった。
そして、ナパームマンはひょんなことから過去の事故を知る親方に、燃次郎の話を聞くこととなる。
燃次が自分を気に入っていること、燃次郎という名をつける意味。それを知ったナパームマンは、気持ちの整理がつかないまま、その夜、燃次に「もしもお前がよかったらこのまま自分のナビにならないか」と誘われる。
自分がネット警察から追われる身であること、燃次の誘いへの答え、様々な気持ちが交錯するまま、その夜は更けていく…。
「燃次…俺は…」
その翌日、とある動物病院の聞き込みで、数日前にナパームマンを直してくれと頼まれてきた人物が訪れた情報を掴んだ。その人物は少し前に知り合った六尺玉燃次である事に驚き、熱斗は急いで会場のベイエリアに急行。
その頃、打ち上げ準備をしている燃次にナパームマンは本当の事を打ち明けようとした。
その直前に土門の暗躍によって花火を乗せたフォークリフトが暴走。引火したら大爆発が起きかねない。到着した熱斗は先にウイルスを倒そうとロックマンをプラグインする。…しかしウイルスの大群の総攻撃で苦戦する。
ナパームマンは燃次に自分をプラグインするように頼む。だが燃次は燃次郎の事を思い出し戸惑っていたが、「俺は燃次郎と違う!」と一喝し、プラグインしてウイルスを撃退。結果的にロックマンを助けた。その一部始終を隠れていた土門が目撃した。
熱斗は燃次のいる関係者テントに行き、ナパームマンの事を問いただす。
燃次は燃次郎=ナパームマンである事を知らなかった為、ナパームマンの画像を見せてその事実を知る。
全てを諦めきったナパームマンの真っ直ぐな目を見て、燃次は熱斗を連れて席を外した(何の話をしようとしてたのかは視聴者視点では不明だが、おそらく説得と思われる)。だが、そのスキをついて土門が燃次のPETを奪取。また一緒に犯罪を起こそうとナパームマンに呼びかけた。が…
「俺は…俺を必要としてくれる人間を見つけたんだ」
「あいつが言ってた…。爆発で人を幸せにする事が出来ると」
「なら、爆破の能力しか無い俺でも、誰かを幸せにすることが出来るかも知れねえ!」
そう言って悪事から足を洗う事を宣言するナパームマン。
だが、土門は狂った目付きで「お前の本心が残酷なアステロイドだということをわからせてやる」とディメンションナルチップを取り出す。
「やめろ…やめろおおおおおお!!」
制止も虚しくPETにスロットインされ、理性を失ったナパームマンが実態化し暴走する。
騒ぎに駆けつけた熱斗はロックマンとクロスフュージョンし、ナパームマンと戦闘。
バルカンでトドメを刺す直前に燃次が割り込み、ナパームマンにやり直すチャンスを与えて欲しいと説得をする。それを応えたのか、ナパームマンは我に返った。
土門は(熱斗が予め呼んだ)ネット警察に取り囲まれ、これで一件落着…………
にはならなかった。
土門は最後の悪あがきとして、花火の発射装置を観客に向けてしまった。
このままでは大惨事を巻き起こってしまう。
その時、ナパームマンが最後の力を振り絞って発射装置を空に向けた。
「燃次の夢を…悪事なんかに利用させてたまるか…!」
そして…。
「燃次…。ホントだ。お前の花火が皆を笑顔にしてやがるぜ…。あるんだな、人を幸せにする爆発ってやつがよ…。今度生まれ変わったら、俺も――」
花火が(何も知らない観客達視点で)予定通り夜空に向けて放たれた。
その衝撃でデリート(ナビにとって「死」を意味する)しかけていく…。
しかし真辺鈴が燃次のPETを発見しディメンションナルチップを取り出すことに成功。
薄れていくナパームマンの意識の中、プラグアウトの音が…。
「これは例外中の例外。あくまで実験的な更生プログラムの一環と考えて下さい」
その翌日、真辺が燃次に上記の事を厳しく言いながらプログレスPETを渡す。そのエンブレム部分には、ナパームマンと同じエンブレムが。
そう、デリート直前にプラグアウトしPETに回収され、データの修復されたナパームマンが更生プログラムの一環の元、燃次のナビとして託されたのであった。
二人で変わらない口喧嘩をしながらアパートへと帰っていくのだった。
この後、彼らはデューオに選ばれし者として熱斗、ロックマン達と共に激しい戦いに身を投じる事となるのだが…それはまた、少し後の話…。
余談
- 何故か爆破テロ犯の土門の名前が殆ど言われてなかった
- 今回に限った事であるが、ディメンションナルチップがナビの意思に反した状態で挿入されると、理性を失わせて暴走させるという恐ろしい機能も備わっていると発覚した。仮に一般ナビに使ったら、第2第3の暴走したナパームマンが現れたかもしれない。