概要
『逆転裁判4』第4話の登場人物。作中では既に故人。
7年前、成歩堂龍一が一度弁護士バッジを失うことになった裁判で扱われた殺人事件の被害者。享年67。
或真敷優海の父であり、みぬきの祖父にあたる人物。弟子に或真敷ザックとバランが居る。
『逆転裁判6』では、ザックとバランの他にもう一人、Mr.メンヨーという弟子が居たことが明らかとなっている。
生前は大魔術集団「或真敷一座」の座長として日本のショービズ界を席巻し、その独創的なマジックの数々で世間の人々を魅了した偉大なマジシャン。
一座の絶頂期には記念館の設立や記念切手の発行が行われるなど国民的な人気を誇り、テレビで彼らを見ない日はなかったという。
『逆転検事』では直接登場しないが、バンドーランドにてタチミサーカスの花形マジシャンであるマキシミリアン・ギャラクティカとマジック対決を行っている。
晩年は重度の糖尿病と末期がんを患って闘病生活を送っており、入院先の病院で額をピストルで撃たれて亡くなった。またこの病状から、長年に渡り贅沢な生活、それに伴う不摂生を続けていたことがうかがえる。
亡くなる直前、天斎は二人の弟子を異なる時間帯に呼び出していたようで、それに従って病室を訪れたバランが天斎の遺体を発見し、バランよりも早い時間に呼び出されていたザックが天斎殺害の容疑者として逮捕された。
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この先、重大なネタバレがあります!
人生の幕引き
天斎の死はザックによる殺人ではなく、天斎自身による自殺である。
みぬきがまだ幼い頃、娘の優海がザック達との練習中に起きた事故で重傷を負い、しかも忽然と姿を消してしまった。自分から弟子達に世代交代する大事な時期だったこともあり、事故は表沙汰にならないよう天斎の手で揉み消されたが、その後天斎は優海の事故のことでザック達を脅迫し、自分の言いなりにしていった。
それから数年後、体を病魔に蝕まれ、死期を悟った天斎はザックとバランのどちらかに座長の座と自分のマジックの興行権を譲ることを決め、病室に自分以外居なくなる点滴の最中に時間をずらした上で二人の弟子を呼び出すのだが、二人に宛てた手紙には「ピストルで額を撃ち抜け」という、弟子達に自分の殺害を依頼するかのような内容を書いており、病室にかつてマジックの小道具として使用していた実弾の発射が可能なピストルを2丁用意した。
ただし、手紙には「額を撃て」とは書かれていたがターゲットの指定まではされておらず、病室にあるピエロの人形の額を撃つというのが天斎の用意していた「正解」だった。事件当夜、師匠の意図を見抜いたザックはピストルでピエロの額を撃ち、天斎は彼に座長の座とマジックの興行権を譲渡する書類を渡し、優海の件で脅迫していたことを謝罪した。
ザックが病室を去ってから数分後、今度はバランがやって来るが、彼は引き金を引くことが出来なかった。天斎はバランにザックを後継者に決めたことを告げ、バランが病室を出た後、自ら引き金を引いて命を絶った。
しかし、天斎が自殺した直後、座長の座と興行権の横取りを企んだバランがザックを殺人犯に仕立て上げようとして現場を工作し、ザックは殺人の容疑で逮捕・起訴された。
裁判はある人物が用意した偽物の証拠品が原因で成歩堂が弁護士バッジを剥奪されることになり、更にザックが裁判中に裁判所から逃走したことで判決が下されないまま7年の月日が流れてしまう。
その後、残されたバランと一座は興行権を持たないために天斎のマジックを使用できず衰退の一途を辿っていった。天斎の死から9年後、養父の成歩堂を通じてザックから密かに興行権を受け継いでいたみぬきが新たな座長となり、一座はようやく完全復活の足掛かりを得る(『6』第2話)。
この天斎の死を巡る裁判と、後日起きた現職の検事が殺人の容疑で死刑判決を受けた裁判が呼び水となり、法の暗黒時代が幕を開けることになる。
優海の件に関しては、危険なマジックとはいえ「仕事中の事故」の範疇であるためまだ気の毒と言えるが、だからと言ってそれを弟子たちの脅迫に利用したのはやりすぎである(しかも娘の生存を知ったうえで)。更に自殺に関しても、ただでさえ無茶と言えるような試験の直後という、弟子たちに疑いがかかってもおかしくないタイミングで行ったことで、余計に事態をややこしくさせてしまった。
総じて、「人としての情が全くないわけではないが、自分本位な行動で周りを無駄に振り回す」という一座の負の面を、よりにもよって最悪な形で現世に置いていったこともあり(しかもこいつと違って直接的な事件の被害者ですらない)、非常に罪深い人物である。