最初と最後の空母とは、艦隊これくしょんの空母娘として登場する鳳翔と葛城につけられるカップリングタグである。
史実で彼女たちは、世界初の空母と帝国海軍最後の空母として互いに建造された時こそ違えど、その数奇な運命を同じような形でたどっていくこととなる。
鳳翔は第二次大戦以前、世界で初の航空母艦として建造され、栄えある帝国海軍初の“正規空母”となった。しかし、大戦開始後すでに旧式化していたためミッドウェー海戦に参加するもその後は予備戦力として加わる以外はもっぱら飛行訓練の練習空母となり終戦を迎える。
一方、葛城も戦況が絶望的な中で戦時急造で建造をされ一航戦として迎えられるも、すでに帝国海軍が艦載機の運用や自身の航行もままならない状態のため、まともに空母として使われずに内地での日々を過ごす。さらに米軍による大規模な爆撃を受けぼろぼろになりながらもなんとか航行可能状態で終戦を迎えた。
このように、彼女たちは空母としてその生を受けるも不遇な状況により大きな活躍を得られず“空母”としての役目を終えてしまう・・・
が、彼女たちの本当の活躍はここからはじまる。
ふたりとも戦後、復員船へと改造を受け各地で故国への帰りを待つ将兵や邦人たちを延べ17回におよぶ航海で10万人前後の復員を果たすこととなる。
そして、すべての役目を終えた2隻の空母は、昭和21年(1946年)に大阪の日立造船所で解体される。鳳翔は築港工場、葛城は桜島工場で解体作業が行われるが、距離にして5kmも離れていない距離だった。
これは空母としての戦うことを宿命づけられた2隻の空母の、戦うことではなく人々を守り、救うことに尽力することに最期を捧げたことへの賞賛、そして、最大の労いとしての想いを込めたタグである。
――なお、この二隻の解体された地には2016年現在、日本有数のテーマパークであるユニバーサル・スタジオ・ジャパンが建っている。
人も兵器も含めたあまたの日本の先達がその命を懸け、そして戦後も人々の為に尽くした彼ら彼女たちの頑張りは、今の平和な世に生きる日本の人々の憩いと笑顔の、確かな礎となっている。