朧(バジリスク)
おぼろ
cv:水樹奈々
お幻の孫。伊賀鍔隠れ衆の一人で次期当主。「破幻の瞳」をその身に宿す。
当主の家柄でありながら絶望的なまでに忍者としての才能がなく、ほとんど一般人同然であり戦闘力は皆無。その才能の無さたるや、祖母であり伊賀鍔隠れ衆の厳格な頭領であるお幻が匙をなげるほどで、甲賀に嫁にやるという弱気な決断をした一因ともなっている。
次期当主としても実権はお幻や薬師寺天膳が握っており、ほとんどお飾りでしかない。
誰にでも別け隔てなく接する心優しい少女で、伊賀者たちにも純粋に慕われ、大事にされている。
伊賀と甲賀の和平を誰よりも喜んでおり、婚約を結んだ甲賀弦之介にも深い恋慕の情を抱いている。
性格
先述の通り少々天然ボケの入った心優しい少女で、周囲の者を引き付け癒す魅力を持っている。
世間知らずで正しく「お嬢様」といった趣だが、それでいて芯は強く、自分の信念を曲げない気丈さと精神力の強さを持っており、単なるお飾りではない器の大きさを見せる。
しかし、それ故に実際に争いとなっても自身の力を使うことを望まず、弦之介と相対することを嫌い、頑なに伊賀側の旗印となることを拒否し続けている。
そのため、伊賀者たちも当初は朧に悟らせずに甲賀者の抹殺を進めようとしていた。
戦闘力
先述の通り、次期当主になるべく忍びの修行を受けたにもかかわらず、それら一切が身につかず、朧自身の戦闘力は皆無である。
しかし、その「戦いの才能の無さ」の裏返しで、その目で見たありとあらゆる超常の力を問答無用で無効化してしまう強力な「破幻の瞳」をその身に宿している。
恋人であり後に不倶戴天の敵となってしまう甲賀弦之介の「瞳術」にも似るが、瞳術はあくまで素質と修行の果てに身につけた「技術」であるのに対し、「破幻の瞳」は朧の「戦いに向かぬ純真さ、優しさ」が産み出した文字通りの「異能」であり、根本的な由来が異なる。
原作小説においては、他の忍者の術はすべて(SF的な意味での)科学的説明がつく原理があるのに対し「破幻の瞳」のみは「理屈では説明のつかない超能力」として描かれている。
このことが顕著に表れているのは弦之介の「瞳術」との差異であり、彼の術は効果こそ強烈ではあるがあくまで「視線を使った催眠術」という明確な原理があるため、視線を合わせなければ効果を発揮せず、盲人などには効かない、という制約もある。
一方、朧の「破幻の瞳」はそういった理屈を必要とせず、ただ朧が見るだけで一方的にあらゆる忍者の術を無効化してしまう。
そのため、「瞳術」の脅威を何よりも危惧していた天膳からは伊賀の切り札として目されており、彼が執拗に無力なはずの朧を伊賀の大将として祭り上げようとした理由にもなっている。
しかしこの瞳は味方にも効いてしまうという諸刃の剣で、作中でも「見ないで下され」と懇願する伊賀衆は少なくない。そのリスクと、朧の「戦いを嫌う」という忍者らしからぬ性格を理解していたお幻からは、いざという時のために7日の間目を塞ぐ塗り薬を渡されている。