歪みゲー
ゆがみげー
歪みゲーとは、歪んだような世界観のゲームのこと。歪みゲーの中でも主に1990年代後半に製作された独特の世界観のゲームがよく知られている。
どのゲームも奇怪で個性的な登場人物と独特な世界観がある。
『クーロンズゲート:九龍風水傳』
1997年2月28日にソニー・ミュージックエンタテインメントからプレイステーションソフトとして発売されたアドベンチャーゲーム。
キャッチコピーは「常識は、今のうちに捨てておいてください。」
プレイヤーは超級風水師の主人公となり、突如として現れた陰界の“九龍城”へ潜入。乱れた風水を正し、世界の崩壊を防ぐために戦う…。
かつて香港に実在していた「九龍城砦」をモチーフとした作品で、サイバーパンク映画のアジアっぽい猥雑な雰囲気に溢れている、電線とジャンク、そして瓦礫の山が積み重なったほぼ廃墟に近いスラム街が舞台となる。
2010年4月14日から2013年4月10日の間、PSP/PS3用ゲームアーカイブスで配信。2015年9月16日よりVitaに対応し、再配信された。ファンからの要望に答える形で復刻配信が決定した異例の作品である。
2017年10月26日には本作の前日譚となる『クーロンズゲートVR suzaku』がプレイステーションVR用タイトルとして発売。
そして現在は続編となる『クーロンズリゾーム』が開発中。
『バロック(BAROQUE)』
1998年5月21日にスティングからセガサターン用ゲームソフトとして発売されたローグライクゲーム。
「大熱波」と呼ばれる災害で、人間も物も「歪んでしまった」世界。
記憶喪失だが強い罪の意識に苛まれている主人公は、上級天使と名乗る男に命令されて神経塔への探索を始め、自分自身の過去を明らかにしていくこととなる。
1999年に様々な要素が追加・変更されたPS版が発売された。PS版のみ「歪んだ妄想」というサブタイトルがつき、特徴的な言葉のせいかネットなどで紹介される時はこのサブタイが付けられることが多い。
2020年にはセガサターン版の完全移植であるNintendo Switch版が発売した。
2007年にグラフィックやシステムの大幅な改編が成されたリメイク版がPS2用ソフトして発売、次いで2008年にWii版が発売された。2012年にはiOS版(PS2版ベース)が配信開始された。
ただし、リメイク版はよりアニメ調になったことやBGMの変更などで、陰鬱な雰囲気が軽くなった事もあり、オリジナル版プレイヤーからは賛否が分かれている(逆にオリジナル版が怖くて手を出せなかったがリメイク版でプレイできたというファンもいる)。
『ガラージュ - Garage: Bad Dream Adventure』
1999年3月25日に東芝EMIから販売されたPC用ゲームソフト。
謎解きを主体としたポイント&クリック型アドベンチャーゲーム。
主人公は精神治療装置ガラージュにかけられ、自らの精神世界に入る。そこで生体機械として異形の姿になった主人公は、崩れそうな木造建築物と錆びた金属とあらゆる場所が汚水で満たされた閉ざされた世界からの脱出を目指す…。
ゲームの序盤こそ「どうぶつの森」的な感じの和気あいあいとしていた空気が、ストーリーが進むにつれて本来の「歪みゲー」といわれる側面が滲み出されていくような流れとなる。
システム的にはゲームの仕組みにも破綻がなく正統派であり、シナリオもまとまっているためプレイヤーの間では良い評価を得ている。
しかしながら総合的な流通数がかなり少なく、“幻の奇ゲー”と呼ばれていた。中古市場では10万円を軽く超える価格で取引されている。
2004年に監督・作場知生氏によって“私家版”という形で再販が行われたが、当然ながら出荷数は個人で可能な範囲に留まっていた。
2020年12月、“完全版”発売に向けたクラウドファンディングが始まり、目標額の300万円はすぐに到達し、最終的には762%サクセスである2288万5922円の調達に成功した。
完全版では、新たなチャプターやサブクエスト、マルチエンディングが登場。さらに、ほぼすべての画像のレタッチや加筆修正、AIフレーム補完による動画の修正が加えられるほか、ユーザーインターフェイスやゲームバランスの改良も施されている。
2021年12月にiOS/Android版がリリースされた。手頃な価格だが、プラットフォーマー判断で一部表現が規制された形となった。
2022年7月8日に本来の表現に差し戻されたPC(Steam)版がリリースされた。
2024年6月6日にはNintendo Switch版が発売。