概要
「気が違う→キチガイ」と似た成り立ちで、「気が触れる→気触り」となり、狂気・狂人を指した言葉。
「キチガウ」とはあまり言われなかったように、この言葉も基本的に他称で、「気触り/気ぶり」の形で使われる事が多かった。
有名な例として藤子・F・不二雄の『ノスタル爺』に「気ぶりの爺さま」というキャラクターが登場する。
そう呼ばれる様になった原因は詳細を省略するが、周りから見ると「いきなり幼女の名前を呼んで抱きついて泣き出した変なおっさん」であった上、せっかくの情けも振り払って「牢屋でいいからこの村に居させてくれ」と言い本当に大人しく牢屋に住み着き始めたことからそう呼ばれる。
特にこのキャラクターが「抱けーーっ!!抱けっ抱けっ抱けーーーーー!!!」と叫ぶシーンがネットミーム化しており、推しのカップリングに対して当該シーンを掲げる行為が広まった。
これにより、さながら爺さまが過激派カプ厨であるかのように認識されるようになり、そのような状態になる事を指して「気ぶる」と呼ぶようになった。自己申告で使われる機会も急増した。
転じて、カップリングが成立しそうでしない様子を目にした時に生じるじれったい・もどかしい感覚を指すようにもなった。
更に転じて、直接カップリングに干渉し成立させに行く、仲人的な行為も指すようにもなった。
度重なる規制にも拘らず「キチガイ→ガイジ」などと、よりカジュアルな罵倒語として氾濫を続ける「気違い」とは異なり、本来の意味で「気触り」が使われる機会はほぼ無くなっていたという点も、使い勝手が良かったものと思われる。
とは言え、ネット文化に疎く、本来の意味で使われていた時代を知っている人間の前で使えば、かなり良くない誤解を生みかねないのでリアルでの使用には注意すべきだろう。
余談
「気を触る/気をふる」と表記した場合、「気に障る」と同等の、気分を害する・イライラするといった、全く異なる意味になる。
ただし、文脈によっては「興味を惹かれる」といった、ポジティブな意味になる事もある。
漢字違いの「気振り」という言葉も存在するが、こちらは「気配」と「素振り」を合わせたような意味になる。その成り立ちから基本的に「けぶり」と呼んで変格もさせない。