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概要編集

石田衣良による短編小説シリーズ。略称は「IWGP」。

池袋を舞台に、「トラブルシューター」のマコトが仲間たちと共に事件を解決していくのが主なストーリー。カラーギャングをはじめとしたストリートカルチャーと接点が深いのが特徴。シリーズが進むにつれて自殺問題やブラック企業、更には技能実習生問題など社会派の色を濃くしていく。

文庫本は文藝春秋社の雑誌「オール讀物」で発表された短編3話+長編1話という構成になっている。第1シリーズは全10巻+外伝2巻で、現在は第2シリーズが連載中。

2000年には宮藤官九郎脚本で実写ドラマ化され、スマッシュヒットを記録した。なおドラマでは登場人物の設定が大きく異なるため、別個記事を参照。→I.W.G.P.


登場人物編集

※演はドラマ版演者、CVはアニメキャスト


主要メンバー編集

真島誠(マコト)

演:長瀬智也

CV:熊谷健太郎

主人公。本作は彼の一人称視点で書かれている。

実家の果物屋を手伝いながら池袋西口公園(=池袋ウエストゲートパーク)を根城に活動している青年。彼の評判を聞きつけた様々な人物が、自身の関わっているトラブルや事件の解決を依頼するというのがお決まりの導入。

抜群の推理力・発想力を持ち、事件の犯人や諸悪の根源を的確に突き止めるだけでなく、後述のコネクションを総動員して鮮やかかつ破天荒な手法でトラブルを解決する。文章力もかなりのもので、ひょんな事からファッション誌のコラムを担当するようになる。高卒だが教養は豊かで、社会問題にも詳しい。またタカシの陰に隠れがちだがフィジカル面も中々の強さ。

性格は優しくお人好し。トラブル解決を依頼してきた人物―その大半が社会的には弱者である―を決して見捨てず、彼らのために奔走する。一方でトラブルの原因となった悪役には厳しく、「黒いフードの夜」のように時にえげつない手段を取る事もある。また女運が無く、シリーズ初期には何度か恋をするものの悲恋に終わっている(「サンシャイン通り市街戦」、「西口ミッドサマー狂乱」)。

どの集団にも属さず単独主義を貫いているが、Gボーイズをはじめとした池袋周辺の不良少年少女や警察に顔が利く。また様々な事件を解決していく中で「トラブルシューター」として認知されるようになり、年々コネクションを拡大していく。シリーズ終盤では「池袋のバランサー」と称されるほどになった。

とある事件からクラシック音楽の鑑賞を趣味としている。作中で挿まれる諸々の楽曲をBGMとしながら読むのもいいだろう。


安藤崇(タカシ)

演:窪塚洋介 ※アニメ版にも最終話にカメオ出演した。

CV:内山昂輝

カラーギャング・Gボーイズのリーダーで、「キング」という称号を持つ。

ポーカーフェイスのイケメン。圧倒的なカリスマ性を持ち、Gボーイズに所属する不良少年少女達から熱狂的な支持を集めている。一方で彼を尊敬・畏怖する者は多くとも、親しい友人と呼べる人物は少ない。

ストリートで磨き上げられた戦闘力は作中最強クラスで、反社やヤクザも彼の前では赤子同然。「Gボーイズ冬戦争」では本職の殺し屋から直々にファストスタイルを褒められた。また頭の回転もかなり速く、マコトより先にトラブル解決の案を出すこともある。

性格はクールで、時に氷のような冷徹さを見せる。しかしマコトと同様に弱者に手を差し伸べる優しさも持ち合わせている。

マコトは共に数多くのトラブル解決に関わってきた戦友。彼の素質を高く評価しており、よく「Gボーイズ」に勧誘しているほか、自身の能力や配下の不良少年少女を動員して協力する事も多い。

スピンオフ「キング誕生」では高校時代の姿が描かれている。ほぼ同時に母と兄を亡くした経験、更に兄を殺したギャング集団との弔い合戦の中で戦闘力とカリスマ性を身に着け、氷のように冷たい「キング」へと成長していく過程が描写された。

原作とドラマでは色々かけ離れており、共通点がカリスマと戦闘能力ぐらいしかない。


マコトの母

池袋駅西口の小さな果物屋を切り盛りしている。夫と死別した後、女手一つでマコトを育て上げた。

マコトをして「最終兵器」と言わしめる女傑で、肝っ玉が据わっている。また情にもろく、「龍涙―ドラゴン・ティアーズ」では中国人技能実習生の境遇に同情し、養子縁組をすることで彼女を救う懐の深さを見せた。

町内会のリーダー的な立場にあり、マコトとは別の切り口でトラブル解決に乗り出すこともある。


斎藤富士夫(サル)

池袋を根城とする暴力団・羽沢組の構成員。小柄だが戦闘力は高く、また頭も切れる。

マコトの中学時代の同級生で、当時はいじめられっ子だった。不登校となり町を流離っていたところを組に拾われ、筋者の世界へ。「エキサイタブルボーイ」でマコトと再会し、共に組長の娘の捜索を行った。再会以来マコトとは親しい間柄となり、以降度々登場。極道の立場からトラブル解決にもちょくちょく協力する。

スピンオフ「赤・黒(ルージュ・ノワール)」では準主役として活躍。ちなみにこの外伝は本編と同一の世界線で、「西一番街テイクアウト」で言及されている。


警察関係者編集

吉岡

池袋署生活安全課のベテラン刑事。ぶっきらぼうだが面倒見は良く、根は良い人物。

学生時代のマコトはしょっちゅう補導されていたため、彼とのつきあいは長い。Gボーイズには眉を顰めつつもマコトのことは信頼しており、トラブル解決のために便宜を図ってやることも多い。マコトの方でも(時折風俗店で偽名として使いつつも)何だかんだで尊敬している。


横山礼一郎

池袋署の署長の若手警視正。好青年だがマコトを上回る切れ者。キャリア組故にあまり現場に出られないが、世間でも話題となるような大規模な事件の際には捜査の指揮を執る。

小さい頃のマコトと面識があり、「サンシャイン通り市街戦」で再会。以来彼をよく目にかけており、「水の中の目」「池袋フェニックス計画」等では警察幹部の立場からサポートする。


その他の登場人物編集

あきれたボーイズ(波多野秀樹(ラジオ)、森永和範、水野俊司(シュン)、砂岡賢治(ケンジ))

第3作「オアシスの恋人」及び最初の長編「サンシャイン通り市街戦」でマコトと共に活躍したオタク達。それぞれに得意分野があり、カラーギャングの抗争の裏で蠢く陰謀をすっぱ抜いた。

ラジオは江古田在住のアマチュア無線オタクで、通信・電波関係なら何でもござれ。その後もちょくちょく登場しており、電脳分野からマコトをアシストする。「キャッチャー・オン・ザ・目白通り」では悪徳化粧品業者のパワハラ朝礼を撮影して炎上させる事でトラブル解決の一助をした。

和範は「エキサイタブルボーイ」が初登場。重度の引きこもりだったが、マコトとの交流がきっかけで少しずつ社会復帰していく。並外れた我慢強さを持ち、張り込みに無類の強さを発揮。

シュンは第1作「池袋ウエストゲートパーク」より登場した専門学校生。イラストが得意で、似顔絵を描いて犯人探しに協力した。

ケンジはシュンの知り合いで、コンピュータ関係に強い。好きなキャラクターはラムちゃん

この他にも「電子の星」では所謂割れ厨のオタクと共に人体損壊を見世物にしていたSMクラブを撃退するなど、ヤンキー・ギャングのみならずオタクの出番は何かと多い。


氷高善美

羽沢組直系氷高組組長。サルの直属の上司。

銀行員然とした風貌が特徴のインテリヤクザ。外伝「赤・黒(ルージュ・ノワール)」では、組の金に手を付けた小峰に資金回収を命じ、監視役としてサルをつけさせた。

この他にも同じく池袋を拠点とする暴力団・豊島開発と共闘する事もちょくちょくある。


主なエピソード編集

「池袋ウエストゲートパーク」

記念すべき第1作。

1997年の夏、「ストラングラー(首絞め魔)」による女子高生を狙った事件が立て続けに発生。更にマコトの仲間だったリカが何者かに殺されてしまう。マコトはタカシ率いるGボーイズ達と共に捜索の末「ストラングラー」を捕まえるが、どうもリカを殺した犯人は別にいるようで…


「エキサイタブルボーイ」

第2作。サルの初登場回。

池袋を拠点とする暴力団・羽沢組の組長の娘が突如失踪。マコトは羽沢組構成員となったかつての同級生・サルと共に行方を追う。


「サンシャイン通り市街戦」

書き下ろしの長編第1作。

池袋東側を根城とするカラーギャング「レッドエンジェルス」と「Gボーイズ」の抗争が勃発。小競り合いは日に日に激化し、遂には殺人事件まで発生。池袋のストリートは市街戦の様相を呈していく。マコトは事件を取材する映像作家の加奈や、「あきれたボーイズ」と共に抗争終結のために奔走する。

ドラマ版・テレビアニメ版の双方でクライマックスに据えられた、非常に人気の高いエピソード。


「水の中の目」

書き下ろしの長編第2作。

雑誌のコラムで、数年前に発生した暴行事件を題材にすることにしたマコト。関係者へ取材する中で様々な人物と知り合うが、出所した犯人たちが再び事件を起こす。マコトを囮とした警察の大規模な作戦によって犯人は再逮捕されるが、実は一連の事件の黒幕は目の前にいたのだった…

シリーズ全体でも1、2を争う鬱回。


「骨音」

誰も聞いたことのない、不思議な音源を使ったバンドが池袋で流行っていた。同時期にホームレスの連続襲撃事件が発生。実は両者にはおぞましい繋がりがあり…


「反自殺クラブ」

長編第5作。

自殺した親の孤児による、集団自殺を阻止する組織・反自殺クラブ。マコトは彼等と共に最近続発している集団自殺のプロデューサーを追う事になる。しかし自殺プロデューサーの魔の手はマコト達にも忍び寄り…

こちらもかなりの鬱回。題材が題材だけに全編を通して重苦しい空気が漂う。


「Gボーイズ冬戦争」

長編第7作。

「Gボーイズ」の絶対的なキング、タカシ。しかし叛意を翻したナンバー2・ヒロトにより、池袋のギャング集団は二分される事になる。

社会派な作風に舵を切っていたシリーズ後半では珍しい、純粋なバトル回(?)。


メディアミックス編集

ドラマ以外にもメディアミックス化された事例がある。

舞台編集

2017年には『池袋ウエストゲートパーク SONG&DANCE』という題名で舞台化された。

アニメ編集


2019年9月にアニメ化が告知された。2020年7月から放送したいとの事だったが、2020年10月からに変更となった。

TOKYOMXサンテレビKBS京都AT-XBS11静岡放送等にて放送。なお、静岡放送は、実写ドラマ版も放送している。


スタッフ編集

監督越田知明
シリーズ構成志茂文彦
キャラクターデザイン谷口淳一郎
音楽中川大二朗、高田龍一
アニメーション制作動画工房

主題歌編集

オープニング

「ニードルノット」THE PINBALLS


エンディング

「after song」INNOSENT in FORMAL

「思うまま」INNOSENT in FORMAL

「忘却の空 (25th Anniversary Ver.)」 清春


余談編集

第1作のタイトルでありシリーズ全体の名称となっている「池袋ウエストゲートパーク」とは、実在する池袋西口公園を言い換えたもの。近年は治安が改善し、劇中のような物騒な場所ではなくなっているものの(その代わり新宿歌舞伎町周辺の「トー横キッズ」が近年社会問題化している)、今も若者の憩いの場となっているのは変わらない。

放送当時、おもに遠方から池袋を訪れた観光客を中心に、そのままの名称では存在しない池袋ウエストゲートパークを実際に探そうとして徒労に終わったケースがままあったという。


関連タグ編集

石田衣良 小説 I.W.G.P.

文藝春秋 TBS 池袋


清春:ドラマ版主題歌『忘却の空』(SADS)を歌ったアーティスト。後にテレビアニメ版でも第7話の特殊エンディングとして『忘却の空』が流れた。詳細は後述リンクを参照のことだが、ネタバレに注意を。


体操ザムライ:同時期に池袋を舞台に体操を題材としたアニメ化作品。こちらは2002年の時間軸となっており、改修前の西口公園も登場している。


外部リンク編集

原作紹介サイト

東京芸術劇場公式サイト内舞台版紹介

アニメ公式サイト

アニメ「池袋ウエストゲートパーク」EDに「忘却の空」が流れる ドラマ版主題歌の起用に清春「IWGPと再会出来たことを嬉しく思います」(ねとらぼ)

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