概要
戦前における、日本統治時代の台湾で生まれ育った日本人のことを指す言葉である。
彼らは下関条約の締結された1895年から、主に公務員・企業の駐在員・農業従事者などが、海を渡って台湾の地に足を踏み入れた移民の子孫であり、第二次世界大戦が終結した1945年までの50年間、現地の台湾人(漢人系・台湾原住民)と友好関係を築き、共に暮らしていた。
しかし、彼らの殆どは敗戦後に中国国民党による中華民国政府の方針によって日本本土に強制送還され、その数は約20万人と言われ、軍人と軍属を含めると50万人近かったとされている。
台湾で生まれ育ち、現地の人々と共に暮らしていた彼らにとって、台湾は紛れもなく大切な「故郷」であったが、中国国民党によって故郷から引き裂かれ、引き揚げる彼らに許された持ち出し物は、一人あたり現金1000円(当時の貨幣)・僅かな食糧・リュックサック2つ分という最低限の必需品だけしか持たせてもらえなかったという。
映画『湾生回家』
戦後約70年が経ち、かつて「湾生」と呼ばれた人々が高齢化し、彼らの存在が忘れ去られようとしている現状を憂い、彼らの人生と想いを後世に伝えるべく、台湾において40名近い湾生の人々を取材し、そのうち6名の物語を中心に纏め上げ製作されたドキュメンタリー映画『湾生回家』が、2015年に公開され台湾で大ヒットを記録し、日本でも2016年に公開された。
予告